物流の現場で使われる「才数」とは、どのような単位なのでしょうか。「1才はどのくらいの大きさ?」など、初めて扱う場合は分かりにくい点も少なくありません。
才数は荷物の容積を把握するために使われる尺度で、荷物の寸法から計算できる他、輸送スペースや運賃を考える際にも関係します。
本記事では、才数の意味や1才の大きさ、計算方法をはじめ、重量との関係、トラック・コンテナ別の目安、計算時の注意点まで分かりやすく解説します。
目次
才数とは
まず、才数の意味や1才の大きさ、物流で使われている理由を解説します。
才数の意味と読み方
才数は「さいすう」と読み、荷物が占める容積(体積)を表すために物流の現場で使われている単位です。「1才」「2才」のように表し、数値が大きくなるほど荷物が占める空間も大きくなります。
「才」は、日本で古くから使われてきた尺貫法に由来します。尺貫法では、長さを「尺」、質量を「貫」、体積を「立方尺」などで表していました。日本ではその後メートル法への統一が進み、現在はメートルやキログラムなどの法定計量単位が基本となっています。
一方、物流では荷物の大きさを把握する際の慣用的な尺度として「才」という表現が現在も使われています。ただし、才は現在の法定計量単位ではなく、取引や証明に用いる体積の単位には立方メートル(m³)などを使用する必要があります。
1才の大きさ
1才は、1辺が1尺の立方体と同じ容積です。1尺は約30.3cmのため、1才を現在一般的に使われている単位で表すと、約0.0278m³(約27.8L)です。農林水産省の資料でも、1才は1立方尺にあたり、約0.0278m³または27.8Lとされています。
数字だけでは大きさを想像しにくい場合は、縦・横・高さがそれぞれ約30cmの箱をイメージすると分かりやすいでしょう。厳密には約30.3cm四方ですが、おおよそのサイズ感をつかむのであれば、30cm四方の立方体に近い大きさと考えられます。
なお、1才は「約27.8L分の荷物が入る」という意味ではなく、あくまで外形から見た空間の大きさを表す容積です。荷物の具体的な才数の求め方については、後ほど詳しく解説します。
物流で才数が使われる理由
物流では、荷物の重さだけでは輸送に必要なスペースを判断できないため、容積も重要な情報です。
例えば、同じ重量でも、小さくまとまる金属製品とかさばる家具では、トラックの荷台で占めるスペースが異なります。重量に余裕があっても、容積が大きければ荷台が先にいっぱいになることもあります。
そこで、荷物が占める空間を把握する尺度の一つとして才数が使われます。才数が分かれば、必要な車両を検討したり、荷台にどの程度積めるかを見積もる際の目安にできます。
また、才数は運賃を設定する際の単位として使われる場合もあります。国土交通省・全日本トラック協会の「標準的な運賃」の解説では、個建運賃について、個数や重量の他、m³(才)を単位として設定する方法が示されています。
才数の計算方法
才数は、荷物の縦・横・高さから容積を求め、1才に相当する容積を基準に計算できます。
ここでは、1才=1立方尺(約0.0278m³)として、cm・mmから求める方法と、m³から換算する方法をそれぞれ紹介します。
cm・mmから才数を計算する方法
荷物の寸法がcmで分かっている場合は、縦・横・高さを掛け合わせた値を、1才に相当する約27,818cm³で割って求めます。
才数=縦(cm)×横(cm)×高さ(cm)÷27,818
例えば、縦40cm・横30cm・高さ20cmの荷物なら、計算式は次のとおりです。
40×30×20÷27,818≒0.86才
従って、この荷物の才数は約0.86才です。
寸法がmmで記載されている場合は、mmをcmに直してから同じ計算式に当てはめると分かりやすいでしょう。例えば、400mmは40cm、300mmは30cmとして計算します。
m³(立米・CBM)から才数に換算する方法
荷物の容積が既にm³で分かっていれば、寸法から計算し直す必要はありません。1才≒0.0278m³なので、次の式で才数に換算できます。
才数=容積(m³)÷0.0278
例えば、0.5m³の場合は、
0.5÷0.0278≒18才
となります。
また、1m³は約36才に相当するため、概算では「m³×約36」として求めることも可能です。
なお、「立米(りゅうべい)」はm³を指す呼び方です。また、CBMは「Cubic Meter」の略で、同じく立方メートルを表します。そのため、0.5m³・0.5立米・0.5CBMはいずれも同じ容積として才数に換算できます。
才数の計算を簡単にする方法
荷物の数が少なければ手計算でも対応できますが、日常的に多くの荷物を扱う場合は、毎回計算するのは手間がかかります。また、寸法の入力や単位の換算を繰り返すほど、計算ミスも起こりやすくなります。
才数を頻繁に確認する場合は、自動計算できるツールを活用すると効率的です。
自動計算フォームを利用する
才数を手軽に求めたい場合は、ウェブ上の自動計算フォームを利用する方法があります。
縦・横・高さなどの寸法を入力すると、自動で才数を算出できるため、計算式を使って一つずつ計算する手間を省けます。荷物の才数をその場ですぐに確認したい場合にも便利です。
ただし、フォームによって採用している換算基準が異なる場合があります。業務で利用するときは、計算式や換算基準を確認しておきましょう。
Excelで自動計算する
複数の荷物の才数をまとめて計算する場合は、Excelを活用する方法があります。
縦・横・高さを入力する欄と、才数を算出する計算式をあらかじめ設定しておけば、荷物の寸法を入力するだけで計算できます。商品名や数量などの情報と併せて管理できるため、複数の荷物を継続的に扱う場合にも便利です。
ただし、才数の算出に用いる換算基準は、運送会社によって異なる場合があります。実際の運賃計算などに使用する場合は、利用する運送会社の計算方法を確認した上で設定しましょう。
才数の計算で注意したいこと
才数の計算式が合っていても、使用する寸法や換算方法が適切でなければ、実際の輸送条件と計算結果にズレが生じます。ここでは才数の計算で注意したいことを詳しく解説します。
梱包後の外寸で計算する
輸送する荷物の才数は、商品本体ではなく、実際に運ぶ状態の外寸を基に計算することが重要です。
例えば、家具や精密機器は、商品を緩衝材で包んだり、段ボールや木枠で保護したりすることで、梱包(こんぽう)前より縦・横・高さが大きくなることがあります。本体の寸法で計算すると、実際に荷台で占めるスペースより才数を小さく見積もってしまいます。
カタログや社内で管理している寸法を使う場合も、それが商品本体の寸法なのか、梱包後の寸法なのかを確認してから計算しましょう。
単位をそろえる
複数の荷物をまとめて計算するときは、寸法データの単位が混在していないかにも注意が必要です。
例えば、自社ではmm、仕入先の資料ではcmというように、同じ寸法でも資料によって単位が異なることがあります。Excelなどで一括計算する際に単位が混在すると、計算式自体に間違いがなくても正しい才数は求められません。
継続的に才数を管理する場合は、その都度換算するだけでなく、「寸法はcmで登録する」など、社内で使用する単位をあらかじめ統一しておくと入力ミスを防げます。
換算基準と端数処理のルールを確認する
才数を運賃の見積もりなどに使用する場合は、自社で計算した才数と運送会社が料金算定に使用する数値が一致するとは限らない点にも注意しましょう。
例えば、1m³を才数へ換算する際、約36才とする方法の他、実務上の換算係数として35を用いる例もあります。また、運送会社やサービスによって、運賃を算定する際の換算方法が異なる場合があります。
そのため、才数を運賃や輸送条件の判断に使う場合は、一般的な換算式だけで判断せず、利用する運送会社が採用している換算方法や料金の計算条件を確認することが重要です。
才数と重量の関係
才数は荷物の容積を表す尺度ですが、物流では、その容積を重量に換算して輸送条件や運賃を判断する場合があります。ここでは、才数と重量の関係について詳しく解説します。
実重量と容積重量の違い
実重量は、荷物を計量したときの実際の重さです。これに対して容積重量は、荷物の縦・横・高さから求めた容積を、所定の基準によって重量に置き換えた値です。
このような仕組みがあるのは、輸送できる量が重量だけで決まるわけではないためです。小さく重い荷物もあれば、大きさの割に軽い荷物もあります。後者を実重量だけで扱うと、重量制限に達する前に荷台のスペースを使い切る可能性があります。
そこで、一部の輸送サービスでは実重量と容積重量をそれぞれ算出し、数値が大きい方を運賃計算に用います。例えば、西濃運輸のカンガルー特急便では、この方法が採用されています。
才数から容積重量を求める方法
才数を容積重量に換算するときは、1才当たり何kgとして扱うかという換算基準を使います。
国内のトラック輸送では、1m³を280kgとして換算する方法があります。1才は約0.0278m³なので、この基準では1才がおおむね8kgに相当します。経済産業省の物流に関する調査資料でも、「1m³=280kg(1才=約8kg)」という指標が示されています。
例えば、この基準で3才の荷物を換算すると、容積重量は約24kgです。
3才 × 約8kg = 約24kg
ただし、1才=約8kgは全ての輸送に共通する基準ではありません。西濃運輸では通常のトラック貨物について1m³=280kgを採用していますが、日本通運の国際航空輸送サービスでは6,000cm³=1kgとして計算する例があります。輸送方法や事業者によって換算基準や端数処理が異なるため、実際の運賃を求める際は利用するサービスの条件を確認しましょう。
トラック・コンテナ別の才数の目安
才数が分かると、荷物の量に対してどの程度の大きさのトラックやコンテナが必要になるのかを検討する際にも役立ちます。ここでは、トラック・コンテナ別の才数の目安を紹介します。
トラック別の才数の目安
トラックに積載できる才数は、車両の大きさや荷室の仕様によって異なります。一般的には、軽トラックで100~160才程度、2tトラックで500才程度、4tトラックで800~1,000才程度が目安として紹介されています。
ただし、「2t車なら500才」のように一律に決まっているわけではありません。同じ積載クラスでも、ショート・ロング・ワイドなどの仕様や荷室寸法によって、確保できるスペースが変わるためです。
また、荷室に収まっていても最大積載量を超える荷物は運べません。そのため、トラックを手配するときは、才数だけでなく荷室寸法と最大積載量も確認することが重要です。
コンテナの才数の目安
海上コンテナは、公開されている内容積を才数に換算することで、積載スペースの大きさを把握できます。
例えば、Ocean Network Express(ONE)が公表しているドライコンテナの内容積は、20フィートが33.1m³、40フィートが67.6m³です。1才を約0.0278m³として換算すると、20フィートは約1,190才、40フィートは約2,430才に相当します。
ただし、これはコンテナの内容積を才数に置き換えた目安です。実際に積める貨物量は、コンテナの仕様や貨物の形状、積み方、重量などによって変わります。
才数に関するQ&A
最後に、才数に関するよくある質問とその回答を紹介します。
才数の英語表現は
「才」は、日本の物流業界で慣用的に使われている容積の表現であり、英語にそのまま置き換えられる単位はありません。
英語で荷物の容積を表す場合は、「cubic meter(立方メートル)」や、その略称である「CBM」が使われます。そのため、海外向けに才数を示す必要がある場合は、才をそのまま英訳するのではなく、m³やCBMなどに換算して表すと分かりやすいでしょう。
1パレットは何才か
1パレットの才数は決まっていません。パレットの大きさだけでなく、積み付けた荷物の高さによって全体の容積が変わるためです。
例えば、物流で広く利用されているT11型パレットは、1,100mm×1,100mmのサイズです。このパレットに荷物を高さ1mまで積み付けたと仮定すると、占有する空間は約1.21m³となり、才数に換算すると約44才です。
ただし、実際の才数は荷物を積み付けた後の寸法によって変わります。そのため、「1パレット=○才」と固定せず、パレットを含めた荷姿の外寸から確認することが適切です。
1m³の才数が35才・36才と異なるのはなぜか
1m³を才数に換算したときに35才・36才という異なる数字が使われるのは、換算時の扱い方に違いがあるためです。
1才は約0.0278m³なので、これを基準にすると、35才と36才はそれぞれ次の容積になります。
35才:約0.973m³
36才:約1.001m³
このため、1才=1立方尺を基準に換算すると、1m³は約36才とする方が実際の値に近くなります。
一方、物流の実務では1m³=35才として換算する例もあります。そのため、才数を運賃計算などに使用するときは、35才・36才のどちらかを自己判断で選ぶのではなく、利用する運送会社やサービスの換算基準を確認することが大切です。
丸い荷物や形が不規則な荷物の才数の計算方法は
丸い荷物や凹凸のある荷物は、実際の形状そのものではなく、輸送時に占有する縦・横・高さを基に才数を計算する方法があります。
例えば円筒形の荷物であれば、外寸の幅・奥行きに直径、高さに円筒の長さを用い、直方体として容積を求めます。
ただし、不規則な形状の荷物をどの寸法で計測するかは、運送会社や輸送サービスによって取り扱いが異なる場合があります。運賃の算定に使用する場合は、自己判断で計算せず、利用する運送会社の計測方法を確認しましょう。
宅配便の80サイズ・160サイズの才数は
宅配便の80サイズ・160サイズから、才数を一律に求めることはできません。宅配便のサイズは一般に縦・横・高さの3辺の「合計」で区分されるのに対し、才数は3辺を「掛け合わせた容積」を基にするためです。
例えば、ヤマト運輸の宅急便では、80サイズは3辺合計80cm以内、160サイズは160cm以内です。ヤマト運輸「宅急便のサイズについて」
同じ80サイズでも、40cm×20cm×20cmと30cm×30cm×20cmでは容積が異なるため、才数も同じにはなりません。
そのため、80サイズ・160サイズの荷物を才数に換算したい場合は、サイズ区分ではなく、梱包後の縦・横・高さを確認して計算する必要があります。