「荷札とは送り状のこと?」などと疑問に思っている方もいるのではないでしょうか。
荷札は、荷物に必要な情報を表示し、荷物そのものと情報を結び付けるために使われる札やラベルです。宅配便では送り状が荷札の役割を兼ねていますが、物流倉庫や製造現場では、商品や部品を識別・管理するための荷札も使われています。
本記事では、荷札の意味や送り状・伝票・納品書との違い、役割、記載する情報、種類、運など分かりやすく解説します。
目次
荷札とは
荷札(にふだ)とは、荷物を識別するために、必要な情報を表示して荷物に取り付ける札やラベルのことです。
荷札というと、段ボール箱に貼られた宛名ラベルを思い浮かべる人も多いでしょう。しかし、宅配便に限らず、製造業や倉庫などで扱う商品・部品・貨物にも荷札が使われています。形状や取り付け方も一つではありません。
荷札は、特定の形をした札だけを意味するのではなく、荷物と必要な情報を結び付け、外から確認できるようにするための表示物として幅広く使われています。
荷札と似た用語との違い
荷札と似た言葉には「送り状」「伝票」「納品書」があります。中でも荷札・送り状・配送伝票は、宅配便では同じものを指して使われることがあります。一方、納品書は目的が異なる書類です。それぞれの関係を整理してみましょう。
送り状
宅配便では、荷札と送り状はほぼ同じものとして扱われています。
送り状には、お届け先や依頼主の住所・氏名、連絡先、品名などを記載し、荷物に貼り付けて使用します。つまり現在の送り状は、配送に必要な情報を記録すると同時に、荷物の宛先などを外から確認できる荷札としての機能を備えています。
そのため、宅配便を利用する場面では、荷札と送り状を厳密に区別する必要はほとんどありません。
ただし、「荷札」は荷物に付ける札を広く指す言葉です。宅配便の送り状だけでなく、物流や製造の現場で商品・貨物を識別するために取り付ける札なども荷札と呼ばれます。
伝票
宅配便では、送り状を「伝票」や「配送伝票」と呼ぶことがあります。そのため、この文脈では荷札・送り状・伝票がほぼ同じものを指す場合があります。
一方、「伝票」という言葉自体は、送り状よりも広い意味を持ちます。取引や業務の内容を記録する書類の総称であり、売上伝票や入出庫伝票など、配送以外で使用するものも含まれます。
つまり、宅配便で「伝票」といえば送り状を指すことが多いものの、伝票全てが荷札や送り状に該当するわけではありません。
納品書
納品書は、荷札や送り状とは用途が異なります。納品した商品の内容を相手に知らせるための書類で、商品名や数量、単価、金額などが記載されることが一般的です。
荷札や送り状は、荷物の宛先などを示して配送に使用します。一方、納品書は、受取人が「注文した商品が正しく納品されているか」を確認するために使用します。
そのため、荷札・送り状・配送伝票は同じものを指す場合がありますが、納品書は分けて考える必要があります。
荷札の役割
荷札は、荷物の送り先を表示するだけのものではありません。ここでは、荷札の役割を詳しく解説します。
荷物を識別する
荷札には、多数の荷物の中から対象となる荷物を識別できるようにする役割があります。
物流倉庫や製造現場では、外観が似た荷物を同時に扱うことも珍しくありません。荷物そのものに識別できる情報をひも付けておけば、外観だけに頼らず、それぞれを区別しながら作業を進められます。
荷札によって「どの荷物なのか」を明確にすることは、その後の仕分けや出荷、納品などを正確に進めるための前提の一つです。
荷物の取り扱いを指示する
荷札には、次の工程を担当する人へ、荷物をどのように扱うべきか伝える役割もあります。
荷物は出荷されてから目的地に届くまで、仕分けや積み替え、輸送など複数の工程を通ります。その間に担当者や拠点が変わっても、荷物と一緒に必要な情報が引き継がれれば、次の担当者は適切な処理を判断できます。
つまり荷札は、荷物を識別するだけでなく、工程から工程へ必要な情報を受け渡す媒体としても機能しています。
荷物の履歴を管理する
荷札は、荷物がどのように移動・処理されたのかを管理するためにも活用されます。
荷物に付与された識別情報を各工程で読み取り、処理した記録をシステムに残せば、どの工程まで進んだのかを荷物ごとに確認できます。
例えば宅配便では、集荷から配達までの各段階で記録を残すことで、発送後の配送状況を確認できる仕組みが構築されています。倉庫でも、入荷から出荷までの処理履歴を荷物単位で管理することが可能です。
このように荷札は、現在の荷物を識別するだけでなく、その荷物がどの工程を通ってきたのかを後から確認できる状態をつくる役割も担っています。
荷札に記載する情報
荷札に記載する内容は、使用する場面や荷物の管理方法によって異なります。宅配便の送り状では発送元や届け先などが中心ですが、製造業や物流倉庫で使われる荷札には、商品管理に必要な情報が加わることもあります。主な記載情報を分かりやすく解説します。
発送元・届け先に関する情報
配送に使用する荷札には、発送元と届け先を特定するための情報を記載します。
個人向けの宅配便であれば、氏名、郵便番号、住所、電話番号などが一般的です。企業間の配送では、会社名だけでは届け先を十分に特定できないことがあるため、部署名や担当者名まで記載する場合があります。
また、住所は都道府県や市区町村だけではなく、番地、建物名、部屋番号など、配送に必要な範囲まで記載します。
ただし、必要な項目や書き方は配送会社やサービスによって異なります。荷札を作成する際は、利用するサービスの指定を確認することが必要です。
荷物の内容に関する情報
荷物に関する情報には品名や品番、数量、口数などがあります。
ここで押さえておきたいことは、「品名」と「品番」は同じ情報ではないという点です。品名は「何が入っているか」を表すのに対し、品番は企業が商品や部品を識別するために設定した番号・記号です。
例えば同じ名称の商品でも、サイズや仕様が異なれば別の品番で管理されることがあります。そのため、製造業や倉庫では品名だけでなく品番まで荷札に表示するケースがあります。
さらに、同じ商品を製造・入荷した単位ごとに区別する必要がある場合には、ロット番号などを記載します。
配送日時・納期に関する情報
配送や納品の日時が決められている場合は、その条件も荷札に表示します。
宅配便では配達希望日や希望時間帯など、企業間物流では出荷日や納期などが代表的です。
日時に関する項目も一律ではなく、配送方法や取引条件などに応じて必要な内容を記載します。
取り扱い・管理に関する情報
荷物の性質によっては、「ワレモノ」「天地無用」「横積み厳禁」など、取り扱いに関する表示を付けることがあります。
また、荷札に記載されるものは人が読む文字だけではありません。荷物をシステムで管理する現場では、問い合わせ番号や管理番号をバーコード・QRコードなどで表示することもあります。
荷札の種類
荷札には、一般的な宛名表示に使うものから、色で注意事項を伝えるもの、バーコードを使ってシステムと連携するものまでさまざまな種類があります。ここでは、荷札の代表的な種類を紹介します。
一般荷札
一般荷札は、宛先や荷物に関する情報を文字や数字で表示する基本的な荷札です。手書きで記入するものの他、必要な情報をプリンターなどで印字して使用するものもあります。
宅配便では送り状が荷札の機能を兼ねていますが、物流・製造現場では、商品や貨物に個別の荷札を付けて管理する場合もあります。
ポイントは、荷札の書式が全国共通で一つに決められているわけではないことです。実際には、配送会社の指定や取引先との取り決め、現場の管理方法などに合わせた荷札が使用されています。
カラー荷札
カラー荷札は、色の違いを情報として利用する荷札です。実際に赤や黄、青などさまざまな色の荷札が製品化されています。
例えば、荷物の区分や作業上の注意事項などに色を割り当てれば、文字を読む前に視覚的に区別できます。
ただし、「赤色なら必ず○○」のように、全ての物流現場で共通する意味が決められているわけではありません。そのため、色分けを業務に利用する場合は、色と意味の対応を現場内で統一することが重要です。
また、カラー荷札は独立した形状ではありません。色の付いた紙に針金を取り付けた製品もあるため、「カラー荷札」と「タグ型荷札」の両方に該当するものもあります。
バーコード・QRコード付き荷札
文字や数字に加えて、バーコードやQRコードなどを表示した荷札もあります。
物流現場では、荷札に印刷されたコードを読み取り、商品や出荷先などのデータをシステム上の情報と照合する運用が可能です。実際に店舗別の仕分けに使われるPDラベルでは、出荷先を識別するバーコードなどが利用されています。
ここで重要なことは、バーコードそのものに荷物の情報を全て書き込む必要はないという点です。管理番号などをコード化し、それを読み取ってWMS(倉庫管理システム))などに登録された情報を参照する仕組みもあります。
そのため、バーコード付き荷札は「紙に書かれた情報を機械で読むもの」というより、現物の荷物とシステム上のデータを結び付ける接点として捉えると分かりやすいでしょう。
タグ型荷札
タグ型荷札は、シールのように荷物へ貼るのではなく、ひもや針金などを使って取り付けるタイプです。紙製だけでなく、用途に応じたさまざまな素材の荷札があります。
例えば、ラベルを貼りにくい形状の荷物や、表面に粘着剤を残したくない物品では、取り付け式の荷札を選択できます。
また、タグ型は取り付け方法を表す分類なので、表示方法とは別に考える必要があります。タグ型の荷札を色分けしたり、管理番号やバーコード、QRコードを印刷したりすることも可能です。
このように、一般荷札・カラー荷札・バーコード付き荷札・タグ型荷札は、完全に独立した種類ではありません。「何を表示するか」「どのように識別するか」「どう取り付けるか」を組み合わせて、用途に合った荷札を使用することが実際の運用に近い考え方です。
荷札を運用するときの注意点
荷札の情報が正しくても、運用方法に問題があれば誤出荷や作業の停滞につながる可能性があります。ここからは荷札を運用するときの注意点を詳しく解説します。
荷札と実際の荷物を取り違えない
荷札を正しく作成できていても、別の荷物に取り付ければ表示内容と現物が一致しません。
例えば、A社向けの商品とB社向けの商品をそれぞれ正しく梱包(こんぽう)し、荷札も正しく発行したとします。それでも最後の貼り付け作業でA社向けの荷札をB社向けの箱に付ければ、そのまま誤出荷につながる可能性があります。
ここで重要なことは、「荷札の内容が正しいか」と「その荷札が正しい荷物に付いているか」は別の確認事項だということです。
特に複数の荷札をまとめて発行してから貼り付ける運用では、荷札と現物を組み合わせる工程が発生します。記載内容のチェックだけでなく、取り付ける段階で現物との一致を確認することが重要です。
文字やコードを読み取れる状態で取り付ける
荷札は、取り付ければ良いわけではありません。作業中や配送中にも、必要な情報を確認できる状態を維持する必要があります。
例えば、バーコードが箱の角や凹凸部分にかかって折れ曲がると、読み取りに支障が出ることがあります。文字やコードの上にテープを重ねたり、汚れや破損で表示が見えなくなったりするケースにも注意が必要です。
特に機械で読み取る荷札では、「人の目には内容が分かる」ことと「機器が正常に読み取れる」ことは同じではありません。バーコードなどを使用する場合は、読み取りまで想定して取り付ける必要があります。
なお、送り状の貼付位置や方法は配送会社や荷物によって異なるため、利用するサービスのルールを確認しましょう。
古い荷札やラベルを残さない
段ボールや通い箱などを再利用するときは、以前の荷札やラベルが残っていないか確認します。
新しい荷札が正しくても、古い情報が残っていれば一つの荷物に複数の情報が存在する状態になることに注意が必要です。以前の宛先表示やバーコードなどが残っていると、作業者が判断に迷ったり、不要なコードを読み取ったりする可能性があります。
そのため、梱包材を再利用する場合は、「新しい荷札を付ける」だけでなく「現在の荷物に関係のない表示をなくす」までをセットで考えることが大切です。
複数口の荷物は1個ずつ識別できるようにする
一つの注文や納品を複数の箱に分ける場合は、「全体として一つの出荷」であることと、「それぞれが別々の荷物として扱われる」ことの両方を意識する必要があります。
例えば同じ届け先へ3箱を発送する場合でも、輸送中はそれぞれの箱が個別に仕分け・取り扱われます。そのため、各荷物を識別できる状態にしておかなければなりません。
実際の送り状の扱いは配送サービスによって異なります。例えばヤマト運輸のB2クラウドでは、複数口であっても荷物1個につき送り状1枚が必要とされています。
つまり複数口では、「送り先が同じだから荷札も一つで良い」とは限りません。個口数や送り状の発行方法について、利用する配送会社のルールを確認してから発送することが重要です。
荷札を適切に運用するには、記載内容だけでなく、現物との一致・読み取り可能な状態・情報の新旧・個口単位での識別まで確認する必要があります。荷札を作成する工程だけではなく、荷物に取り付けて出荷するまでを一連の管理対象として考えましょう。
荷札管理を効率化する方法
出荷件数が少ないうちは、荷札を手書きしたり、担当者が一件ずつ確認したりする方法でも対応できます。しかし、出荷量が増えるほど、入力・発行・照合・貼り付けといった作業の積み重ねが大きな負担になります。ここでは、荷札管理を効率化する主な方法を紹介します。
荷札のフォーマットを統一する
まず取り組みやすい方法として、荷札のフォーマットを統一することが挙げられます。
担当者や部署ごとに異なる様式を使用していると、荷札を作成するたびに記載する項目や位置を判断しなければなりません。品番や数量、納期など、業務で必要となる項目と表示位置をあらかじめ決めておけば、同じ形式で荷札を作成できます。
ここで重要なことは、単に記載項目を増やすのではなく、実際の作業で確認する情報を基準にフォーマットを設計するという点です。例えば、検品時に品番と数量を必ず確認するのであれば、それらを見つけやすい位置へ配置するといった工夫が考えられます。
また、手書きする項目が多い場合は、Excelなどでひな形を作成し、必要な情報を入力して印刷する方法もあります。
WMSや送り状発行システムと連携する
荷札の発行件数が多い場合は、WMS(倉庫管理システム)や送り状発行システムなどを利用して、既にあるデータを荷札の発行に活用する方法があります。
例えば、ECサイトで購入者が入力した氏名や住所が受注データに登録されているにもかかわらず、担当者が送り状へ再入力していれば、同じ情報を二重に入力していることになります。受注データを送り状発行システムへ取り込めるようにすれば、こうした転記作業を減らせます。
さらに、WMSでは入出荷や在庫、保管場所などの情報を管理できます。商品や荷札のバーコードを読み取って出荷データと照合するなど、荷札の発行だけでなく検品や出荷作業と組み合わせた運用も可能です。
発送代行に依頼する
荷札の作成だけでなく、ピッキングや検品、梱包、発送まで含めて負担が大きくなっている場合は、発送代行を利用する方法もあります。
発送代行では、委託するサービスや契約内容によって、商品の保管からピッキング、検品、梱包、送り状の発行・貼付、配送会社への引き渡しまでを任せることができます。
ここで確認したいことは、本当のボトルネックが荷札の発行なのか、それとも出荷業務全体なのかという点です。例えば送り状を自動発行できるようになっても、梱包や貼り付けに多くの人手が必要であれば、出荷業務全体の負担は十分に減らない可能性があります。
そのため、荷札管理だけを個別に改善するのではなく、受注後の出荷作業全体を確認し、自社で効率化する範囲と外部へ任せる範囲を検討することが大切です。
荷札に関するQ&A
最後に、荷札に関するよくある質問とその回答を紹介します。
荷札の「エフ」とは何か
「エフ」とは、品物を識別・管理するためのタグに、ひもや針金を通して取り付けられるようにした札のことです。「絵符」や「会符」と表記されることもあります。
古くから荷札として利用されてきましたが、現在では物流だけに用途が限られているわけではありません。商品や在庫の管理、加工する品物の識別、ホテルなどで預かった手荷物の管理といった場面でも使われています。
つまり、エフは特定の配送用伝票を指すのではなく、品物に直接取り付けて、その品物と管理情報を結び付けるための札と考えると分かりやすいでしょう。
荷札はダイソーなどの100円ショップでも購入できるか
荷札は、ダイソーなどの100円ショップでも販売されている場合があります。
例えば、ダイソーでは、紙製の札に針金が付いた「針金白荷札」などが販売されています。荷物や品物に取り付け、必要な情報を書き込んで識別・管理するタイプの荷札です。
ただし、こうした商品は、宅配便で使用する送り状とは異なります。 宅配便の送り状には、配送会社が荷物を届けるために必要な宛先や問い合わせ番号などが記載され、基本的には利用する配送会社に対応した送り状を使用します。
つまり、「荷札を買いたい」といっても、用途によって必要なものが異なります。倉庫や製造現場などで品物を識別するための荷札であれば市販品を利用できますが、宅配便で荷物を発送する場合は、利用する配送会社が指定・提供する送り状や送り状発行サービスを確認しましょう。
木簡は荷札として使われていたのか
日本では、古代に木簡が荷札として使われていたことが分かっています。
木簡とは、文字を墨で書いた木製品のことで、文書だけでなく付札や荷札などにも使用されました。平城宮・京からは、地方から都へ送られた荷物に付けられていた「荷札木簡」が多数出土しています。
例えば、奈良時代に伊豆国から納められたカツオに付けられていた荷札木簡も残っており、産地に関する情報や重量などが記されています。
現在は紙のタグやラベル、バーコードなどが使われていますが、荷物そのものに情報を付けて中身や送り元などを伝えるという考え方には長い歴史があることが分かります。
「荷札酒」とは何か
「荷札酒(にふだざけ)」とは、新潟県加茂市の加茂錦酒造が手がける日本酒の銘柄です。物流や製造現場で使用する荷札の一種ではありません。
「荷札酒」という名称のとおり、荷札を思わせるラベルを採用している点が特徴です。
そのため、「荷札酒」という言葉を見かけた場合は、荷物に取り付ける荷札ではなく、日本酒の商品名を指していると区別しておきましょう。