Shopifyストアでクレジットカード決済を導入していると、顧客からの異議申し立てによってチャージバックが発生する場合があります。
チャージバックが認められると、売上代金だけでなく、発送済みの商品やチャージバック手数料まで失う可能性があるため、仕組みを理解し、適切に対応することが重要です。
また、返品・返金とは手続きの主体や流れが異なるため、違いを把握しておく必要があります。
本記事では、Shopifyにおけるチャージバックの概要や手数料、返品・返金との違い、主な発生理由、発生後の流れ、管理画面での確認・対応方法、提出する証拠、チャージバックを防ぐための具体的な対策まで詳しく解説します。
目次
Shopfiyのチャージバックの概要
まず始めに、Shopifyにおけるチャージバックの基本的な仕組みと影響について解説します。
Shopifyのチャージバックとは
Shopifyのチャージバックとは、クレジットカード所有者がカード会社や銀行に請求への異議を申し立て、決済が取り消される仕組みです。Shopifyに限らず、クレジットカード決済を導入しているECサイトではチャージバックが発生する可能性があります。
Shopifyストアでチャージバックが発生すると、ストア側は売上代金を失うだけでなく、商品を発送済みの場合は商品が戻ってこないケースもあります。また、チャージバック手数料が発生するため、ストア運営への金銭的な影響も無視できません。
なお、チャージバックの最終的な判断を行うのはShopifyではありません。ストア側が提出した証拠などを基に、カード発行会社や銀行が判断します。
Shopifyのチャージバック手数料
Shopifyペイメントを利用している日本のストアでは、チャージバックが発生すると1件当たり1,300円のチャージバック手数料が発生します。
チャージバックがストア側に有利な形で解決した場合は、異議を申し立てられた金額とチャージバック手数料が返金されます。一方、カード所有者側の主張が認められた場合は、売上代金とチャージバック手数料を負担しなければなりません。
商品発送後にチャージバックが認められた場合は、商品、売上代金、手数料の全てを失う可能性があります。そのため、チャージバックが発生した際は、内容を確認した上で速やかに対応することが重要です。
Shopifyの「チャージバック」と「返品・返金」の違い
チャージバックと返品・返金は、いずれも顧客に代金が戻る可能性がある仕組みですが、手続きを行う主体や流れが異なります。
返品・返金は、顧客がストアに返品や返金を申し出て、ストア側が内容を確認した上で対応することが一般的です。一方、チャージバックは、カード所有者が銀行やカード会社に請求への異議を申し立てることで開始されます。
| 項目 |
チャージバック |
返品・返金 |
| 手続きの開始 |
顧客が銀行やカード会社に異議を申し立てる |
顧客がストアへ返品・返金を申し出る |
| 判断・対応 |
銀行やカード会社が審査する |
ストアが返品・返金ポリシーなどに基づいて対応する |
| 売上代金 |
チャージバック開始時に対象金額が引き落とされる |
ストアが返金処理を行う |
| 手数料 |
チャージバック手数料が発生する |
通常、チャージバック手数料は発生しない |
| ストア側の対応 |
必要に応じて証拠を提出する |
商品の返品受付や返金処理を行う |
顧客とのトラブルを返品や返金によって早期に解決できれば、チャージバックへの発展を防げる可能性があります。そのため、返品・返金ポリシーを明確にし、顧客から問い合わせがあった際は迅速に対応することが重要です。
なお、チャージバックの手続きが開始された後は、対象注文をShopifyから通常どおり返金できません。返金が必要な場合は、チャージバックの状況を確認した上で適切に対応しましょう。
Shopifyでのチャージバック発生後の返金可否
チャージバックの手続きが開始された後は、Shopifyを通じて対象注文を通常どおり返金できません。チャージバックが開始されると、銀行によって対象金額がストア側から引き落とされるためです。
一方、まだ問い合わせの段階で資金が引き落とされていない場合は、返金できるケースがあります。ただし、状況によっては問い合わせへの対応と返金処理が重複する可能性があるため、内容を確認した上で対応する必要があります。
チャージバック開始後に顧客への返金が必要な場合は、まず顧客から銀行へチャージバックの取り下げを依頼してもらい、正式に解決した後で返金を行います。
Shopifyでチャージバックが発生する主な理由
Shopifyでチャージバックが発生する理由は、不正利用だけでなく、重複請求や商品未受領、返金の未処理などさまざまです。ここでは、Shopifyでチャージバックが発生する主な理由を解説します。
不正利用
カード所有者が決済を承認していないと主張するケースです。
盗難されたクレジットカードや流出したカード情報が使用された場合などに発生します。
身に覚えのない請求
カード所有者がクレジットカードの利用明細に表示された店舗名や請求内容を認識できず、異議を申し立てるケースです。
実際には本人や家族が購入していても、明細に表示される名称とストア名が異なることでチャージバックにつながる場合があります。
重複請求
カード所有者が同じ商品やサービスについて二重に請求されたと判断したケースです。
実際に重複して請求している場合だけでなく、別々の注文や一時的なオーソリを二重請求と誤認されることもあります。
サブスクリプションのキャンセル
顧客がサブスクリプション(定期購入)をキャンセルしたにもかかわらず、料金を請求されたと主張するケースです。
キャンセル手続きのタイミングや更新日について顧客とストア側の認識が異なる場合にも発生する可能性があります。
商品未受領
顧客が購入した商品やサービスを受け取っていないと申し立てるケースです。
配送中の紛失や遅延だけでなく、配送会社では配達済みとなっているものの、顧客が受け取っていないと主張する場合もあります。
商品への不満や商品説明との相違
顧客が受け取った商品について、破損している、不良品である、商品ページの説明と異なるなどと申し立てるケースです。
商品ページの説明や画像が実際の商品と大きく異なる場合も、チャージバックにつながる可能性があります。
返金やクレジットの未処理
返品や注文キャンセル後に、顧客が期待していた返金やクレジット処理が行われていないと申し立てるケースです。
返金処理そのものは完了していても、カード会社側への反映に時間がかかり、顧客が未返金と判断する場合もあります。
Shopifyでチャージバックが発生した場合の流れ
Shopifyでチャージバックが発生すると、通知の確認から証拠の提出、カード会社による審査まで一定の手続きが進みます。ここでは、Shopifyでチャージバックが発生した際の大まかな流れを紹介します。
1. 顧客が銀行やカード会社へ異議を申し立てる
顧客がクレジットカードの請求に問題があると判断すると、カード発行会社や銀行へ異議を申し立てます。
申し立ての内容に応じて、チャージバックまたは問い合わせの手続きが開始されます。
2. チャージバックが開始される
チャージバックが開始されると、Shopifyペイメントでは対象となる金額とチャージバック手数料が差し引かれます。
日本の場合、チャージバック手数料は1件当たり1,300円です。
3. Shopifyから通知を受け取る
チャージバックが発生すると、Shopifyからストアの連絡先メールアドレスへ通知が届きます。
Shopify管理画面から対象注文を開き、チャージバックの理由や回答期限を確認しましょう。詳しい確認方法は後述します。
4. チャージバックの内容を確認する
カード発行会社の申し立て内容を確認できる場合は、顧客がなぜ異議を申し立てたのかを把握します。
申し立ての理由を正しく理解することで、必要な証拠を判断しやすくなります。
5. 顧客への連絡や証拠の収集を行う
顧客に直接連絡し、チャージバックに至った理由を確認します。誤解や認識の違いが原因であれば、話し合いによって解決できる可能性があります。
異議申し立てに反論する場合は、理由に応じた証拠を用意します。不正利用であればIPアドレスや請求・配送情報、商品未受領であれば追跡情報や配達証明、重複請求であれば注文履歴や取引記録などが主な証拠です。
6. 期限までに証拠を提出する
証拠を提出できる期間は限られており、通常はチャージバックが申請されてから7〜21日程度です。Shopify管理画面に表示される期限を必ず確認しましょう。
証拠は量を増やすことよりも、申し立て内容に直接関係する情報を分かりやすく提示することが重要です。追跡情報や顧客とのやり取りなどは、外部リンクだけでなくスクリーンショットや書類として提出すると確認しやすくなります。
また、「今すぐ送信」を選択して回答を提出すると、その後は証拠を編集できません。必要な資料がそろっていることを確認してから提出しましょう。
7. カード会社が証拠を審査する
提出された証拠を基に、カード発行会社や銀行がチャージバックの正当性を審査します。
Shopifyは証拠提出をサポートしますが、最終的な判断には関与しません。
8. 審査結果が確定する
ストア側に有利な結果となった場合は、異議申し立ての対象となった金額とチャージバック手数料が返金されます。
一方、顧客側の主張が認められた場合は、対象となった売り上げを回収できません。銀行やカード会社が最終判断を下した後は、原則として追加の証拠を提出したり、Shopifyを通じて再審査を求めたりできません。
Shopifyでチャージバックが発生したときの3つの対応方法
チャージバックが発生した場合は、申し立ての内容に応じて対応方法を選択します。ここでは、主な対応方法を解説します。
チャージバックに同意する
顧客の申し立てが正当である場合は、チャージバックに同意します。
例えば、実際に二重請求していた場合や、キャンセル済みのサブスクリプションに料金を請求していた場合などが該当します。
チャージバックに同意する場合は、証拠を提出して争う必要はありません。ただし、チャージバックが開始された後は通常の返金処理とは異なるため、Shopify管理画面からチャージバックへの同意手続きを行います。
顧客にチャージバックを取り下げてもらう
顧客との話し合いによって問題を解決できた場合は、顧客から銀行やカード会社へチャージバックの取り下げを依頼してもらいます。
ただし、顧客から「取り下げた」と連絡を受けただけでは、チャージバックが自動的に解決するとは限りません。
顧客から銀行が発行した正式な取り下げ通知書などを取得し、チャージバックへの回答フォームから証拠として提出します。取り下げ後も金融機関間での処理に時間がかかる場合があるため、Shopify管理画面上のステータスも確認しましょう。
請求が正当であることを証明する
顧客の申し立てが事実と異なる場合は、請求が正当であったことを示す証拠を提出します。
提出すべき証拠は、チャージバックの理由によって異なります。
| チャージバックの理由 |
主な証拠 |
| 不正利用 |
IPアドレス、請求情報、配送情報、3Dセキュア認証、過去の注文履歴 |
| 身に覚えのない請求 |
注文情報、請求情報、配送情報、顧客とのやり取り |
| 重複請求 |
注文番号、取引履歴、領収書、各請求の内容 |
| 商品未受領 |
追跡番号、配送状況、配達証明、配送先住所 |
| 商品への不満 |
商品説明、商品画像、発送記録、顧客とのやり取り |
| サブスクリプション |
利用規約、キャンセルポリシー、キャンセル履歴、利用履歴 |
| 返金未処理 |
返金履歴、返品・返金ポリシー、顧客とのやり取り |
証拠を提出しても、必ずストア側に有利な判断がくだされるとは限りません。カード発行会社や銀行が提出内容を審査し、最終的な判断を行います。
Shopify管理画面でチャージバックを確認・対応する方法
Shopifyペイメントを利用している場合は、Shopify管理画面からチャージバックの確認や証拠の提出ができます。ここでは、Shopifyの管理画面でチャージバックを確認する方法を詳しく解説します。
チャージバックが発生している注文を確認する

Shopify管理画面から、チャージバックが発生している注文を絞り込んで確認できます。
確認手順は次のとおりです。
1. Shopify管理画面から「注文管理」を開く
2. 「検索と絞り込み」をクリックする
3. 「絞り込みを追加」を選択する
4.「チャージバックと問い合わせのステータス」を選択する
5. 「未完了」を指定する
対応が必要なチャージバックや問い合わせがある注文を一覧で確認できます。
チャージバックの詳細を確認する
対象となる注文を開き、チャージバックの理由や回答期限を確認します。
カード発行会社から申し立ての詳細が提供されている場合は、その内容も確認しましょう。顧客が異議を申し立てた背景を把握することで、適切な対応や証拠を判断できます。
チャージバックの証拠を追加する
チャージバックに異議を申し立てる場合は、対象注文から証拠を追加します。
追加手順は次のとおりです。
1. Shopify管理画面から「注文管理」を開く
2. 対象となる注文を選択する
3. チャージバックのバナーから「証拠を追加」をクリックする
4. 必要な情報を入力する
5. 証拠となるファイルをアップロードする
6. 内容を確認して保存する
証拠は回答期限まで編集できます。ただし、早期に回答を送信した場合は、その後の編集ができません。
チャージバックへの回答を提出する
証拠の準備が完了したら、「今すぐ送信」から回答を提出できます。
すぐに提出しない場合でも、Shopifyが設定された期日に利用可能な証拠をカード会社へ送信します。
回答期限を過ぎると新しい証拠を追加できないため、余裕を持って準備しましょう。
チャージバックのステータスを確認する
Shopify管理画面では、チャージバックのステータスから手続きの進捗(しんちょく)を確認できます。
回答前の状態や審査中、審査結果が確定した状態などが表示されるため、対応後もステータスを確認しておきましょう。
なお、管理画面でチャージバックや問い合わせを管理できるのは、原則としてShopifyペイメントを利用している場合です。外部の決済サービスを利用している場合は、各決済サービスが定める方法で対応します。
Shopifyでチャージバックを防ぐ方法
チャージバックを完全に防ぐことは難しいものの、不正注文への対策や顧客とのコミュニケーションを徹底することで発生リスクを抑えられます。ここでは、Shopifyでチャージバックの発生を防ぐ方法を詳しく解説します。
Shopifyの不正注文分析を活用する
Shopifyでは、注文情報を基に不正利用のリスクを分析できます。
特に高リスクと判断された注文は、商品を発送する前に注文内容や顧客情報を確認しましょう。
不審な点がある場合は、顧客へ連絡して本人確認を行うことも有効です。
高リスクの注文は決済確定前に確認する
不正注文のリスクが高いストアでは、決済を手動で確定する方法も検討できます。
注文内容を確認してから決済を確定することで、不正利用が疑われる注文を発送前にキャンセルしやすくなります。ただし、オーソリには期限があるため、決済の確定漏れには注意が必要です。
3Dセキュアを活用する
3Dセキュアは、クレジットカード決済時に追加の本人認証を行う仕組みです。
Shopifyペイメントでは、不正利用のリスクなどに応じて3Dセキュアによる認証が活用されています。
不正なクレジットカード利用を防ぐことで、不正利用を理由としたチャージバックの削減につながります。
クレジットカード明細の請求名を分かりやすくする
カード利用明細に表示される名称がストア名と異なると、顧客が購入を思い出せず、「身に覚えのない請求」として異議を申し立てる可能性があります。
顧客が認識しやすいストア名やドメイン名を設定し、注文確認メールや領収書も送信しましょう。
配送追跡を利用する
物理的な商品を販売する場合は、追跡番号が発行される配送方法を利用することが重要です。
配送状況や配達完了を確認できれば、商品未受領を理由とするチャージバックが発生した際の証拠として活用できます。高額商品の場合は、署名付きの配達確認を利用することも有効です。
商品説明を正確にする
商品ページには、商品の仕様やサイズ、状態などを正確に記載しましょう。
実物と商品説明の差を減らすことで、「商品が説明と異なる」といった理由によるチャージバックを防ぎやすくなります。
返品・返金ポリシーを明確にする
返品できる条件や期限、返金方法などを明確に定め、顧客が確認しやすい場所に掲載しましょう。
返品や返金に関するルールを事前に伝えることで、顧客との認識の違いによるトラブルを減らせます。
顧客からの問い合わせに迅速に対応する
商品が届かない、返金されていないといった問い合わせを放置すると、顧客がストアではなくカード会社へ直接相談し、チャージバックを申請する可能性があります。
顧客から問題について連絡を受けた場合は、できるだけ早く対応し、チャージバックに発展する前に解決を目指しましょう。
注文や顧客対応の記録を保存する
注文情報、配送履歴、追跡情報、顧客とのメールやチャットなどは保存しておきましょう。
万が一チャージバックが発生した場合でも、取引の正当性を示す証拠を速やかに提出できます。
また、チャージバック率が高い状態が続くと、カードネットワークの監視プログラムの対象となり、罰金や追加料金、決済処理への制限につながる可能性があります。
Shopifyペイメントを利用している場合は、管理画面でチャージバック率を確認し、発生原因を分析しながら対策を続けることが重要です。