在庫を抱えずにオリジナル商品を販売できる「Printful(プリントフル)」は、個人クリエイターや小規模ブランドに人気のオンデマンドプリントサービスです。Tシャツやバッグ、ポスターなどのデザインを登録するだけで、注文から製造・発送までを全て自動化できる点が特徴です。
世界9カ国・12拠点で運営されており、ShopifyやEtsy、Amazonなど主要ECプラットフォームとも連携でき、海外販売もスムーズに始められます。
本記事では、Printfulの仕組みや料金プラン、Printifyとの違い、強みと注意点、そしてShopifyと連携して販売を始める手順までを分かりやすく解説します。
これからオリジナルグッズの販売を検討している方は、ぜひ参考にしてください。
目次
Printful(プリントフル)とは?
Printful(プリントフル)は、在庫を持たずにオリジナル商品を販売できるオンデマンドプリントサービスです。受注から製造・発送までを自動化できるため、個人でも手軽に自社ブランドやオリジナルグッズの販売を始められます。ここでは、Printfulの概要や仕組み、料金体系について詳しく解説します。
Printfulの概要

Printfulは、オンデマンド印刷とフルフィルメント(受注処理・梱包(こんぽう)・配送などの代行)を組み合わせたサービスです。利用者がデザインを登録すると、注文が入ったタイミングで商品が製造され、Printfulが購入者へ直接発送します。
在庫を抱える必要がなく、制作から配送までの工程を自動化できる点が大きな特徴です。
2013年にラトビア出身のラウリス・リベルツ氏とデイヴィス・シクスナンズ氏によってアメリカ・カリフォルニアで創業され、2025年現在は世界9カ国・12施設を拠点に事業を展開しています。ShopifyやEtsy、Amazonなどの主要ECプラットフォームと連携できるため、海外を含む幅広い市場に対応しています。
さらに、Printfulには無料のデザイン作成ツールが備わっており、初心者でも簡単に商品をデザイン可能です。Tシャツやパーカー、バッグ、アクセサリー、ポスターなど、幅広いジャンルの商品を無在庫で販売できるため、個人クリエイターから小規模ブランドまで利用が広がっています。
Printfulの料金プラン
Printfulには、無料プラン(Printful Free)と有料プラン(Printful Growth)の二種類があります。
無料プランでは、月額費用をかけずに通常の機能を全て利用可能です。商品が売れたときにのみ製造・配送コストが発生する仕組みのため、初期費用を抑えてリスクなく始められます。
一方、Printful Growth(月額24.99ドル)は、ブランド展開を強化したいユーザー向けの上位プランです。次のような特典が含まれています。
- 製品価格が最大33%オフ
- 商品ブランディングオプション(ラベル・パッケージなど)が9%オフ
- サンプル注文が25%オフ
- 期間限定のお得な商品情報
- 大型全面プリント(一部の製品)
- 年間売り上げ12,000ドル達成で翌年の月額料が無料
商品が売れたときのみ費用が発生する点はどちらのプランも共通で、在庫リスクがない点が大きな利点です。最初は無料プランで始め、売り上げやブランドの成長に応じてGrowthに移行する運用が推奨されます。
PrintfulとPrintifyの違い
Printfulとよく比較される類似サービスが「Printify(プリンティファイ)」です。どちらもオンデマンドプリントをベースとしていますが、運用体制に明確な違いがあります。
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項目
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Printful
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Printify
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| 製造・発送 |
自社施設で一貫対応 |
世界中の提携業者に委託 |
| 品質管理 |
自社で統一基準を維持
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委託先により品質差が生じる場合あり |
| 製品数 |
約440種類 |
約1,300種類 |
| ブランディング対応 |
柔軟(ラベル・梱包(こんぽう)など可) |
限定的 |
| 有料プラン |
月額24.99ドル |
月額29ドル〜 |
| 連携EC |
Shopify、BASE、Amazon、Etsy など共通対応 |
Printfulは自社工場による一貫生産のため品質が安定しており、ブランドとしての信頼性を重視する事業者に向いています。一方、Printifyは提携先が多く製品数の選択肢が豊富で、コスト重視の運営に適しています。
「品質・ブランド重視ならPrintful」「品ぞろえとコスパ重視ならPrintify」と使い分けることが賢明です。
Printfulの強み・特徴
Printfulは、他のオンデマンドプリントサービスと比較して、品質・利便性・連携性の三点で優れています。特に、Shopifyなど主要ECプラットフォームとのスムーズな連携や、自動化による効率的な販売運営が魅力です。ここでは、Printfulが選ばれる主な理由と、他社にはない強みを紹介します。
主要ECとの連携と自動化
Printfulの最大の特徴は、Shopify・BASE・Amazon・Etsyなど主要なECプラットフォームと自動連携できる点です。
商品登録から注文処理、発送までがワークフローとして自動化されるため、販売者はデザイン制作やマーケティングに専念できます。
Shopifyストアで注文が入ると、Printfulが自動で商品を製造・発送し、追跡番号の更新まで行ってくれます。
海外販売のしやすさ
Printfulは、北米やヨーロッパを中心に世界9カ国・12施設の拠点を持つグローバル企業です。購入者の所在地に最も近い拠点で商品を製造・発送するため、海外注文でも配送コストやリードタイムを最小限に抑えられます。
また、ShopifyやAmazonなどのプラットフォームと連携することで、物流などを意識せずに国際販売を始められる点も大きな利点です。
初めて海外販売に挑戦するユーザーにとって、Printfulは非常にハードルの低い選択肢といえます。
写真ベースのリアルなモックアップ生成
Printfulでは、デザインした商品を視覚的に確認できるモックアップ画像の生成機能を提供しています。
他社の多くがTシャツのイラスト上にデザインを載せるスタイルなのに対し、Printfulでは実物写真にデザインを合成する仕組みを採用しています。モデル着用画像など、より現実的な完成イメージを自動生成できます。
これにより、販売ページのビジュアル品質を高められるだけでなく、購入者に具体的な印象を伝えやすくなる点もメリットです。
刺しゅうオプションの対応
Printfulでは、プリントだけでなく刺しゅうによるデザイン加工にも対応しています。
標準カラー刺しゅうでは15色から一つのデザインに最大6色までの糸を組み合わせられます。
帽子やポロシャツなど、刺しゅうを生かした高付加価値なアイテム制作にも利用でき、ブランドの高級感を演出できます。
豊富な製品カテゴリーとOEM対応
Printfulが対応する製品カテゴリーはアパレル・雑貨・ホームアイテム・ペット用品・キッズ製品など多岐にわたります。
代表的なカテゴリーは次のとおりです。ただし一部製品は日本への発送が非対応な場合もあります。
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アパレル:Tシャツ、パーカー、ポロシャツ、レギンス、パンツ、パジャマ、ワンピースなど
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帽子:キャップ、バケットハット、ニット帽、サンバイザーなど
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バッグ:トートバッグ、リュック、ハンドバッグ、ボディバッグなど
- アクセサリー:ワッペン、缶バッチ、ヘアアクセサリー、シューズ、サンダル、スマホケース、ノートPCケース、ステッカーなど
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ホーム・リビング:ポスター、キャンドル、マグカップ、文房具、タオルなど
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ペット用品:首輪、バンダナ、リードなど
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ベビー・キッズ:ベビー服、キッズTシャツ、パーカー、ロンパースなど
これら全てがオンデマンド対応のため、在庫を持たずに多彩な商品ラインナップを展開できます。さらに、タグやパッケージなどのブランディング要素をカスタマイズできるOEM機能も備えており、ブランドとしての世界観を確立したいユーザーにとって大きな武器になります。
Printfulのデメリット
Printfulは海外でも高く評価されるオンデマンドプリントサービスですが、全てのユーザーにとって完璧なサービスとはいえません。特に、日本国内向けの販売を想定している場合には、納期・サポート・販売環境の三点で注意すべきポイントがあります。
Printfulの主なデメリットは次のとおりです。
- 納期は他サービスよりやや長めの場合がある
- サポートはメール対応のみ
- 販売機能はないため別途ネットショップの開設が必要
それぞれを詳しく解説します。
納期は他サービスよりやや長めの場合がある
Printfulのお届け予定日は、注文処理にかかる日数と配送日数の合計で計算されます。公式サイトでは、注文処理時間は製品全体で2〜5営業日と案内されていますが、実際に各商品ページを確認すると、3〜6営業日程度のものが多く見られます。
一方で、製品の種類や時期によっては、11〜15営業日かかるケースもあります。これはPrintfulが海外の自社拠点で製造・発送を行っているためで、国内サービスと比べると配送までにやや時間を要します。
国内の主要サービスのお届け予定日は次のとおりです。
- Up-T:最短当日出荷〜約3営業日前後
- オリジナルプリント.jp:最短当日出荷〜約5営業日前後
- SUZURI:約7営業日前後
このように、国内サービスの方が全体的に納品が早い傾向にあります。そのため、納期を最優先する場合は国内サービスの利用が適しています。
サポートはメール対応のみ
Printfulのサポートはメール対応のみで、電話窓口は設けられていません。そのため、商品の不良や配送トラブルなどが起きた際に、即時の対応を求めることは難しいです。
一方で、国内の主要サービスである「Up-T」では24時間電話サポートが、「オリジナルプリント.jp」では平日電話サポート体制が整っています。
販売機能はないため別途ネットショップの開設が必要
Printfulは商品を製造・発送するサービスであり、販売機能そのものは備えていません。そのため、商品を販売するには自分でネットショップを作成するか、外部のECプラットフォームと連携する必要があります。
Printfulで販売する主な方法は三つあります。
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Quick Stores(クイックストア):Printful内で簡易ストアを作成できる機能です。別サイトを用意せず販売できますが、米国のみ利用可能です。
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EC連携(Shopify・Etsyなど):ShopifyやEtsyなどと接続すれば、注文から発送までを自動化できます。日本ではこの方法が主流です。
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手動注文:Printfulの管理画面から顧客の注文を直接入力する方法です。少量販売には便利ですが、手間がかかります。
一方、国内サービスであるUp-TやSUZURIでは、販売まで一体化した仕組みが整っています。
Printfulを使う場合は、Shopifyなどと連携することで本格的なブランド運営ができますが、販売環境の構築には準備が必要です。
Shopify×Printfulの始め方(手順)
Printfulは、Shopifyと連携することで販売から発送までを自動化でき、より効率的にストアを運営できます。ここでは、アカウント作成から商品の登録、サンプル注文までの基本的な流れを紹介します。
①アプリ連携と初期設定

まずはShopifyのアプリストアで「Printful: Print-on-Demand」をインストールします。
アプリを追加すると、Printfulとの接続画面(Hey, do you have a Printful account?)が表示されるので、「No, create an account」で新規アカウントを作成します(既にアカウントがある場合は「Yes, sign in」)。
接続完了後は、Printful管理画面右上の言語設定から「日本語(JP)」を選択することで、操作メニューが日本語表示に設定できます。
②商品を作成する

初期設定が完了したら、販売したい商品を作成します。Shopify管理画面内で「Publish products to store」をクリックすると、Printfulの商品作成画面に遷移します。
デザイン画面では次の操作が可能です。
- デザインする箇所を選択
- 画像ファイルをドラッグ&ドロップ
- カラーやサイズを変更
- テキストやクリップアートを追加
- プレビューを確認して保存
完成したら「テンプレートを保存する」をクリックし、モックアップ画像を設定し、価格や商品名やサイズ情報を入力して「公開する」をクリックします。これでShopifyのストアに商品が反映されます。
③支払い方法を設定する

Printfulでは、注文が入ると自動的にPrintfulが商品を製造・出荷します。その際、Printfulに支払うための決済方法を登録しておく必要があります。
Printful内メニューの「その他」→「支払い」→「支払い方法」を開き、「支払い方法を追加」からクレジットカード・PayPalアカウント・Apple Payのいずれかを登録します。これで自動決済が有効化され、販売がスムーズに行われます。
⑤サンプル注文で品質を確認する

販売を始める前に、自分の商品をサンプル注文して品質を確認することがおすすめです。
Printfulでは、アカウント登録後24時間以内にサンプル注文を行うと、30%のディスカウントが適用されます。
通常1〜2週間ほどで手元に届くため、実際の色味や生地の質感を確認できます。
販売前に現物をチェックしておくことで、トラブル防止や品質向上につながります。
Printfulに関するQ&A
Printfulは初心者でも始めやすい一方で、「本当に売れるのか?」「発送はどこから?」など、導入前に気になる点も多いサービスです。ここでは、公式ヘルプや利用者の声から特によくある質問をまとめました。
Printfulで商品が売れないのはなぜか
Printfulで商品が売れない場合、価格設定や需要のミスマッチが主な原因です。高すぎる販売価格や、需要の少ないデザインを選んでいるケースが多く見られます。
また、ショップの信頼性不足(レビュー・SNS発信の欠如)も影響します。まずは人気アイテム(Tシャツ・バッグなど)で実績を作り、価格や商品ラインアップを少しずつ調整しましょう。
Printfulでは、テンプレートを活用してデザインを素早く改善できる点も強みです。
Printfulの商品はどこから発送されるか
Printfulは世界9カ国・12拠点で運営されており、注文者の所在地に最も近い施設から商品が発送されます。これにより、海外注文でも比較的短いリードタイムで商品を届けられます。
日本向けの注文は、主に熊本県にあるパートナー拠点で製造・発送されるため、国内配送のような感覚で利用できます。
国際配送も自動で処理されるため、海外販売を行う際も特別な手配は不要です。
Printfulは初心者でも問題なく使えるか
アカウント登録後すぐに商品を作成でき、専門知識がなくても始められます。
画面上でデザインをドラッグ&ドロップするだけでテンプレートが完成し、Shopifyなどと連携すれば販売・発送まで自動化されます。
また、初回はサンプル注文(割引あり)を利用して、仕上がりを確認してから本格販売に移ると安心です。
Printfulはどんな人に向いているサービスか
Printfulは、次のような方に特におすすめです。
- 在庫を持たずにブランドを始めたい人
- デザインやクリエイティブに集中したい人
- 海外販売を視野に入れている人
- 少人数で効率的にショップを運営したい人
品質管理を重視したい場合はPrintful、低コスト・多品種展開を狙う場合はPrintifyを選ぶなど、目的に合わせた使い分けも有効です。