Shopifyでのオンライン販売では、クレジットカードや電子決済が主流ですが、「銀行振込」を導入することで、より多様な顧客層に対応できます。
特に、カード利用に抵抗がある顧客や法人取引を行うストアにとって、銀行振込は信頼性の高い決済手段です。加えて、手数料を抑えながら高額商品の販売にも対応できるため、ストア運営の幅を広げる効果があります。
本記事では、Shopifyで銀行振込を導入する方法や、そのメリット・デメリット、さらに導入におすすめの外部決済サービスまで詳しく解説します。
目次
Shopifyにおける銀行振込について
Shopifyで銀行振込を導入するメリット
Shopifyで銀行振込を導入するデメリット
Shopifyに銀行振込を導入する方法・手順|Shopifyの管理画面
Shopifyに銀行振込を導入する方法・手順|外部決済サービス
Shopifyに銀行振込を導入できるおすすめの外部決済サービス
 
Shopifyにおける銀行振込について
オンラインショップを運営する上で、顧客に安心感を与える決済手段の一つが「銀行振込」です。ここでは、銀行振込の基本的な仕組みから、Shopifyでの導入可否や設定方法までを分かりやすく解説します。
銀行振込の仕組み
銀行振込とは、購入者が銀行を通じて販売者の口座へ直接代金を支払う決済方法です。
ECサイトでは、注文完了後に提示される振込先情報を基に、購入者が銀行窓口やATM、インターネットバンキングなどから入金を行い、販売者がその入金を確認した後に商品を発送します。
クレジットカードを持たない方でも利用でき、ネットバンクがあれば誰でも決済できる汎用性の高さが特徴です。一方で、販売者が入金を手動で確認する必要があるため、発送までのリードタイムが長くなる場合があります。
現代ではキャッシュレス決済が主流になりつつありますが、カード利用に抵抗のある層や高額商品の購入時など、銀行振込は今も一定の需要を持つ重要な決済手段です。
Shopifyで銀行振込は導入できるのか
Shopifyでは、クレジットカード決済や電子マネー決済と並んで、銀行振込やコンビニ決済などの「手動決済」にも対応しています。
これらは自動決済サービスとは異なり、購入者の入金確認を店舗側が行う方式ですが、カードを持たない顧客層にも対応できるため、機会損失の防止に有効です。
特に日本市場では、銀行振込は依然として利用率の高い決済手段であり、Shopifyでも標準機能として設定可能です。ストア運営者は、自社の販売ターゲットに合わせて、クレジットカードや電子決済と併用する形で導入することが一般的です。
Shopifyで銀行振込を導入する方法
Shopifyで銀行振込を導入する方法は、管理画面から直接設定する方法と、外部の決済代行サービスを利用する方法の2種類があります。
どちらの方法でも、Shopify上で銀行振込を決済手段として追加でき、顧客により幅広い支払いオプションを提供可能です。
それぞれの導入手順や設定の流れについては、本記事の後半で詳しく紹介します。
Shopifyで銀行振込を導入するメリット
Shopifyストアで銀行振込を導入すると、特定の顧客層のニーズに応えながら、売り上げ拡大と顧客基盤の拡充を実現できます。
主なメリットは次のとおりです。
- クレジットカードを持たない・利用に抵抗がある顧客層を取り込める
- 高額商品の購入ハードルを下げられる
- クレジットカード手数料やチャージバックリスクを回避できる
- 導入が簡単で運用負担が少ない
- 顧客に安心感と信頼性を与えられる
- 企業・法人顧客にも対応できる
それぞれを詳しく解説します。
クレジットカードを持たない・利用に抵抗がある顧客層を取り込める
キャッシュレス化が進む一方で、依然としてクレジットカードを持たない、あるいはオンライン決済に不安を感じる顧客は少なくありません。
未成年者やクレジットカード審査に通らない方、個人情報保護を重視する高齢者などがその代表です。銀行振込を導入することで、こうした層にも購入機会を提供でき、「希望する支払い方法がない」ことによるカゴ落ちを防ぐ効果も期待できます。
高額商品の購入ハードルを下げられる
家具や家電、高級アパレル、オーダーメイド品など高単価商材では、クレジットカードの限度額や心理的抵抗が購入を妨げるケースがあります。
銀行振込なら、顧客は自分の口座から直接支払いができ、カード上限を気にせず安心して高額決済が可能です。
特にBtoB取引や請求書払いを伴う企業間決済では、銀行振込が主流です。Shopifyでこの支払い方法を提供すれば、個人顧客だけでなく法人取引にも柔軟に対応できます。
クレジットカード手数料やチャージバックリスクを回避できる
クレジットカード決済では、決済手数料が発生し、継続的なコストとなります。
銀行振込は販売者と購入者が直接やり取りするため、決済手数料がかからず利益率を高く保てる点が魅力です。
また、クレジットカードのようにチャージバック(不正利用による支払い取消)のリスクもなく、不当な損失を防止できます。
ただし、KOMOJUやSBペイメントなど外部の決済代行サービスを利用する場合は、別途手数料が発生する点に注意が必要です。
導入が簡単で運用負担が少ない
Shopifyでは、管理画面の設定から銀行振込を手動決済方法として簡単に追加できます。コーディングやAPI連携といった専門知識は不要で、ストア開設直後の事業者でも数分で設定可能です。
外部決済サービスを使わずに運用できるため、初期費用を抑えながら決済手段を拡充できます。スタートアップや小規模事業者にとっても導入ハードルが低く、スムーズに始められる点が大きな利点です。
顧客に安心感と信頼性を与えられる
銀行振込は、日本国内で長年にわたり信頼されてきた決済手段です。オンライン決済に不慣れな顧客でも、「銀行を通じた送金」という安心感から購入をためらうことが少なくなります。
特に新規ブランドや高価格帯商品の販売では、顧客に安全な印象を与えやすく、ストアの信頼構築にもつながります。
企業・法人顧客にも対応できる
企業間取引用のECサイトでは、経理処理の都合から銀行振込を指定するケースが一般的です。
Shopifyストアで銀行振込を導入すれば、BtoBや個人事業主を対象とした販売にも対応可能になり、取引先の幅を広げられます。
Shopifyで銀行振込を導入するデメリット
銀行振込は幅広い顧客層に対応できる一方で、運用面での手間や顧客体験の面でいくつかの注意点があります。
Shopifyで銀行振込を導入する際の主なデメリットは次のとおりです。
- 入金確認作業が発生し、運用負担が増える
- 発送までに時間がかかり、顧客満足度が下がる
- 未払いが発生し、機会損失につながる
- 振込手数料や手間により購入率が下がる
- 銀行営業時間の影響で入金処理が遅れる
それぞれを簡潔に解説します。
入金確認作業が発生し、運用負担が増える
銀行振込では、顧客からの入金を手動で確認し、注文情報と照合する作業が必要です。
名義違いや入金漏れがある場合は個別に対応しなければならず、確認作業が煩雑になります。
注文が増えるほどこの負担は大きくなり、結果的に人件費や処理コストが増加する可能性があります。
発送までに時間がかかり、顧客満足度が下がる
銀行振込は入金確認後に発送を行うため、即時決済に比べて商品到着までのリードタイムが長いです。
特に週末や祝日を挟むと入金反映が遅れ、顧客が「支払ったのに届かない」と感じるケースもあります。
スピードを重視する顧客にとっては不満の要因となり、リピート率の低下につながる恐れがあります。
未払いが発生し、機会損失につながる
銀行振込では、注文後に支払いが行われない「未払いリスク」が避けられません。その間、在庫が確保された状態になるため、他の顧客が購入できず販売機会を逃すことがあります。
また、入金を促す連絡やキャンセル処理などの対応工数も増加します。
未払い防止のためには、決済代行サービス(KOMOJU、SBペイメントなど)を併用する方法も検討すると良いでしょう。
振込手数料や手間により購入率が下がる
購入者側は振込手数料を負担する場合が多く、銀行やネットバンクでの手続きも必要です。
キャッシュレス決済に慣れた顧客にとっては手間が多く、購入を途中でやめてしまう「カゴ落ち」の原因になることがあります。
特にスマートフォンユーザーや若年層を中心に、利便性の低さが購買意欲の減退につながる点に注意が必要です。
銀行営業時間の影響で入金処理が遅れる
銀行のシステム上、土日祝は入金処理が行われず、反映が翌営業日以降になる場合があります。
そのため、金曜夜の振込などは翌週の月曜まで確認できず、発送の遅延や問い合わせ増加につながることがあります。
入金タイミングをあらかじめ明示し、余裕を持った発送スケジュールを設定しておくことが重要です。
Shopifyに銀行振込を導入する方法・手順|Shopifyの管理画面
Shopify管理画面から直接「銀行振込」を設定可能です。この方法は決済手数料を抑えたい場合や小規模なストア運営に適していますが、入金確認や注文ステータスの更新は全て手作業で行う必要があります。
主な手順は次のとおりです。
1. Shopify管理画面にログインする
2. 手動決済方法を追加する
3. 振込情報を入力する
4. 設定を保存・有効化する
5. 注文完了メールに振込先情報を表示する
それぞれの手順を詳しく解説します。
1. Shopify管理画面にログインする

まずはShopifyの管理画面にログインし、画面左側メニューの一番下にある「設定」をクリックし、「決済」を選択します。
2. 手動決済方法を追加する

画面を下にスクロールし、「手動の決済方法」をクリックします。
表示された一覧から「銀行振込」を選択します。
3. 振込情報を入力する

ポップアップが表示されたら、追加情報(決済方法を選択する際に表示される文章)と決済手順(決済方法で注文した後に表示される文章)を入力します。これらの文章には次の情報を入力します。
- 振込先銀行情報(銀行名、支店名、口座番号、口座名義)
- 振込期限(例:注文日より7日以内)
- 手数料の負担(例:お客様負担)
- 出荷条件(例:入金確認後に発送)
- 未入金時の対応(例:期日内に入金がない場合はキャンセル)
入力内容は購入者のチェックアウト画面や注文確認メールに表示されるため、明確で分かりやすく記載しましょう。
例文は次のとおりです。ぜひ参考にしてください。
追加情報(決済方法を選択する際に表示される文章)
銀行振込は、下記の口座へ商品代金をお振込みください。
振込手数料はお客様のご負担となります。
【振込先口座情報】
銀行名:〇〇銀行
支店名:〇〇支店
口座番号:0000000(普通)
口座名義:〇〇ストア Shopify店
ご注文日から7日以内にお振込みをお願いいたします。
土日祝を除く3営業日以内に入金を確認後、商品を発送いたします。
期限内にお支払いが確認できない場合は、注文をキャンセルさせていただく場合があります。
 
決済手順(決済方法で注文した後に表示される文章)
この度はご注文いただきありがとうございます。
お支払い方法は銀行振込で承りましたので、下記の銀行口座へ商品代金をお振込みください。
なお、振込手数料はお客様のご負担となります。
【振込先口座情報】
銀行:〇〇銀行
支店:〇〇支店
口座番号:0000000(普通)
口座名義:〇〇ストア Shopify店
振込期限はご注文確定後7日以内です。
土日祝を除く3営業日以内に振込確認を行い、入金が確認でき次第、商品を発送いたします。
期限を過ぎても入金が確認できない場合は、自動的にキャンセル扱いとなりますのでご注意ください。
4. 設定を保存・有効化する

全ての情報を入力後、「銀行振込を有効化する」をクリックして設定を完了します。
これで銀行振込の導入が完了です。
5. 注文完了メールに振込先情報を表示する
銀行振込を選択した顧客に対して、注文確認メールに振込先口座情報を自動で表示できます。
これにより、購入者が後から口座情報を探す手間を省き、未入金リスクを減らせます。
設定手順は次のとおりです。
1. Shopify管理画面で [設定] → [通知] → [注文の確認] の順に進む
2. 右上の 「コードを編集」 をクリックする
3. メール本文(HTML)内に銀行振込の案内文を追記する
なお、この設定にはLiquidテンプレートの基礎知識が必要です。編集前にコードのバックアップを取ることをおすすめします。
Shopifyに銀行振込を導入する方法・手順|外部決済サービス
Shopifyストアでは、外部決済サービスを利用して銀行振込を導入できます。この方法を使えば、入金確認や支払い管理の自動化が可能になり、手動での処理負担を大幅に減らせます。
設定の流れは次のとおりです。
1. 外部決済サービスのアカウントを作成する
2. 必要情報を入力し審査申請を行う
3. 審査通過後、Shopify上でアプリをインストールし各種設定を行う
4. テスト注文を行い、銀行振込オプションが正しく動作するか確認する
Shopifyに銀行振込を導入できるおすすめの外部決済サービス
Shopifyストアで銀行振込を導入することは、顧客の支払い選択肢を増やし、購入を促進するために非常に効果的な手段です。
銀行振込を導入できる外部決済サービスは次のとおりです。
- KOMOJU
- SBペイメントサービス
- GMOイプシロン
- GMOペイメントゲートウェイ
- Paidy
- NP後払い
それぞれのサービスの特徴を詳しく解説します。
KOMOJU

KOMOJUは、日本国内向けの決済代行サービスです。
クレジットカード決済だけでなく、銀行振込やコンビニ決済、キャリア決済、電子マネー決済など、多岐にわたる支払い方法をまとめて導入できる点が大きな特徴です。
SBペイメントサービス

ソフトバンクグループが提供するSBペイメントサービスも、Shopifyとの連携が可能です。
幅広い決済手段に対応しており、銀行振込もその一つとして提供されています。
不正検知サービスやマーケティング支援など、オプションが充実している点も特徴です。
GMOイプシロン

GMOイプシロンも、日本国内で多くのECサイトに利用されている決済代行サービスで、Shopifyとの連携に対応しています。
特に、銀行振込(バーチャル口座)を提供している点が大きな特徴です。注文ごとにGMOイプシロンが自動で専用の振込先口座(バーチャル口座)を発行するため、ストア側でネットショップ専用口座を用意する必要がなく、入金確認も注文情報に自動でひもづけられるため、取引量が多くても効率的に管理できます。
GMOペイメントゲートウェイ 

GMOイプシロンと同じGMOインターネットグループですが、GMOペイメントゲートウェイはより大規模な事業者向けの決済サービスです。
クレジットカード、コンビニ決済、電子マネーなど多様な決済方法を提供しており銀行振込(バーチャル口座)にも対応しています。
Paidy

Paidy(ペイディ)は後払い決済サービスとして有名ですが、顧客が希望する場合、銀行振込での支払いが可能です。直接的な銀行振込の決済代行というよりは、後払いサービスの支払い方法の一つとして銀行振込が提供されます。
NP後払い

株式会社ネットプロテクションズが提供するNP後払いも、後払い決済サービスです。顧客は商品到着後にコンビニエンスストアや郵便局、銀行などで支払いを行えます。
NP後払いも直接的な決済代行というよりは、後払いサービスのオプションとして銀行振込が含まれています。