Shopifyでストアを運営する中で、「購入数を制限したい」「特定の顧客だけに販売したい」と感じる場面は少なくありません。
購入制限は、転売対策や在庫管理だけでなく、ブランド体験や会員施策にも直結する重要な仕組みです。
本記事では、Shopifyにおける購入制限の考え方から、主な制限の種類、標準機能・アプリを使った具体的な設定方法までを分かりやすく解説します。
目次
Shopifyにおける購入制限とは
Shopifyで購入制限を設ける主な理由
購入制限の主な種類
Shopifyに購入制限を設定する方法
Shopify標準機能で対応できる購入制限の範囲
Shopifyに購入制限を導入するおすすめのアプリ
Shopifyにおける購入制限とは
Shopifyにおける購入制限とは、ストア上での注文内容や購入条件に一定のルールを設け、誰が・いつ・どのように商品を購入できるかを制御する仕組みのことを指します。購入できる数量や金額、商品同士の組み合わせ、顧客の属性、販売時間帯などをあらかじめ定めることで、販売の公平性や運営効率を保てます。
購入制限は、転売対策や在庫管理といった実務的な目的だけでなく、ブランド体験の設計やマーケティング施策とも密接に関わる要素です。Shopifyでは、標準機能で対応できる範囲に加え、アプリやコード編集を組み合わせることで、ストアの方針やビジネスモデルに応じた柔軟な購入制御を実現できます。
Shopifyで購入制限を設ける主な理由
Shopifyにおける購入制限は、単に購入数を制御するための機能ではなく、ストア運営全体を安定させ、顧客体験とブランド価値を守るための重要な設計要素です。購入制限を導入する主な理由は、次のとおりです。
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転売・買い占めを防ぎ、ブランド体験を守る
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公平な購入機会を提供し、トラブルを予防する
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在庫・販売ペース・物流条件をコントロールする
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会員施策・VIP施策と連携し、CRMに生かす
それぞれの理由について詳しく解説します。
転売・買い占めを防ぎ、ブランド体験を守る
人気商品や数量限定商品を販売する際に大きな課題となることが、転売業者や一部の顧客による買い占めです。短時間で在庫が消化されてしまうと、本来購入したかった一般顧客が商品を入手できず、不満や失望につながります。こうした状況は、SNSやレビューを通じて拡散しやすく、ブランドイメージの低下を招くリスクもあります。
商品ごとに購入数量の上限を設定することで、1人の顧客が過剰に商品を購入することを防ぎ、より多くの顧客に購入機会を行き渡らせることが可能です。その結果、「誰でも公平に購入できるストア」という印象を与えやすくなり、長期的な信頼関係の構築にもつながります。転売対策として購入制限を設けることは、短期的な売り上げだけでなく、ブランド体験そのものを守るための施策といえるでしょう。
公平な購入機会を提供し、トラブルを予防する
先着販売や期間限定キャンペーンでは、購入の公平性が強く求められます。明確な購入ルールがないまま販売を行うと、「一部の人だけが大量に購入している」「不正に買われたのではないか」といった疑念が生まれ、クレームや問い合わせが増える原因になります。
あらかじめ購入制限を設定し、「1人〇点まで」「1回の注文につき〇点まで」といったルールを明示しておくことで、顧客は安心して購入行動を取ることができます。システム側で制限をかけておけば、運営側の判断に依存せずにルールを一律で適用できるため、対応のばらつきも防げます。結果として、カスタマーサポートの負担軽減や、販売時のトラブル予防にもつながります。
在庫・販売ペース・物流条件をコントロールする
購入制限は、在庫管理や販売ペースの調整という観点でも有効です。特定の商品に注文が集中すると、想定よりも早く在庫が枯渇し、他の商品が売れ残るといったアンバランスが生じることがあります。購入制限を設けることで、在庫の消化スピードを調整し、安定した販売ペースを維持しやすくなります。
また、冷凍商品と常温商品の同時購入不可といった同梱制限は、物流トラブルを防ぐ上で欠かせません。配送条件や梱包(こんぽう)方法が異なる商品を無理にまとめて発送すると、品質低下や配送事故につながる可能性があります。購入制限によってあらかじめ条件を分けておくことで、物流面の負担を軽減し、サービス品質の維持にも寄与します。
会員施策・VIP施策と連携し、CRMに生かす
購入制限は、会員制度やCRM施策と組み合わせることで、マーケティング施策としても活用できます。例えば「会員のみ購入可能」「特定の顧客タグを持つユーザーは購入制限を緩和する」といった設定を行えば、会員登録やリピート購入を促す動機付けになります。
購入条件そのものを特典として設計することで、「このストアで買い続ける価値」を顧客に伝えやすくなります。単に制限をかけるのではなく、顧客ごとに条件を出し分けることで、ロイヤルカスタマーへの優遇やステータス感の演出も可能です。購入制限は「売らないための仕組み」ではなく、「売り方を戦略的に設計するための手段」として活用できる点が大きな特徴です。
購入制限の主な種類
Shopifyにおける購入制限には、さまざまな種類があります。代表的な購入制限の種類は次のとおりです。
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数量
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購入金額
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重量
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同時購入(同梱)
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顧客属性
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アクセス
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時間帯・キャンペーン期間
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決済方法
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配送方法
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年齢
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問診(回答条件)
それぞれについて詳しく解説します。
数量
最も基本的な購入制限が「商品ごとの数量制限」です。例えば「1人1個まで」「1回の注文で2個まで」のように上限を設けることで、転売や買い占めを抑え、公平な購入機会を提供できます。限定品や新商品など、需要が集中しやすい商材では特に有効です。
数量制限は上限だけでなく、「3個以上で購入可能」といった下限設定や、「2〜5個の範囲で購入可能」のような範囲指定でも運用できます。まとめ買いを促したい場合や、同梱・梱包(こんぽう)の都合で最低購入数を設けたい場合に役立ちます。さらに、運用設計によっては「1日当たりの販売個数」など、期間単位での制御を行うケースもあります。
購入金額
購入金額に関する制限には、「合計金額が一定以上でないと購入できない」下限設定と、「一定金額を超える注文は受け付けない」上限設定があります。下限は少額注文の増加による配送コスト・対応負荷を抑える用途で使われ、上限は高額転売や不正注文の抑止、在庫の急激な消化防止に有効です。
金額制限は、ストア全体に適用するだけでなく、特定のジャンル(コレクション)だけに別ルールを設けるなど、対象範囲を切って運用することもあります。送料体系や関税負担、出荷条件と合わせて設計すると、運用の矛盾が出にくいです。
重量
重量による制限は、配送条件の最適化を目的に使われます。重い商品が一定以上カートに入ると配送方法が限定されたり、送料計算が複雑になったりする場合、重量を条件に購入や配送手段を制御すると運用が安定します。
重量制限は「購入自体の可否」をブロックする形だけでなく、送料を重量帯で自動計算するなど、配送ルールと一体で設計する方法もあります。送料の自動化で解決できるのか、購入制限が必要なのかを切り分けて検討すると、制限のかけ過ぎを防げます。
同時購入(同梱)
同梱制限とは、特定の商品同士を同一注文で購入できないようにする制限です。「冷凍と常温は同梱不可」「予約商品と通常商品は同時購入不可」など、配送温度帯や出荷タイミングが異なる商材で多く使われます。物流面のトラブルを減らし、誤注文や追加対応を抑える効果があります。
同梱制限は「特定商品とは一緒に買えない」だけでなく、「同一カテゴリー内の商品のみ同時購入可」「単体では購入不可」といった組み合わせルールにも拡張できます。制限理由をカート上で明示し、顧客が迷わない導線を用意することが重要です。
顧客属性
購入者の属性を条件にする制限は、会員施策や販促と相性が良い手法です。「ログインユーザーのみ購入可」「VIPタグの顧客のみ購入可」「タグ保有者は数量制限を緩和」など、顧客の状態に応じた購入条件を設計できます。先行販売や会員限定セールなど、販売体験に“限定性”を持たせたい場合に効果的です。
また、地域(住所)やアクセス元(国・IPなど)を条件に、購入可否や閲覧範囲を制御する運用もあります。配送対象を国内に絞りたい場合や、特定地域への販売を避けたい場合に検討対象になります。
アクセス
購入制限は「チェックアウトで止める」だけでなく、そもそも対象ページにアクセスできる人を限定する設計もあります。準備中ページを一般公開しない、卸売と小売を分けて運用する、特定顧客だけに限定商品ページを見せる、といった用途です。
アクセス制限は「パスワード」「リンクを知っている人だけ」「特定顧客だけ」など、制御の粒度が複数あります。購入制限より前段で制御するため、運用の意図を明確にしやすい一方、公開範囲の設定ミスが機会損失につながる点に注意が必要です。
時間帯・キャンペーン期間
販売のタイミングを制御する購入制限は、キャンペーン運用や在庫調整に直結します。「期間中のみ購入可能」「発売開始前はカートボタンを非表示」「特定の曜日だけ販売」など、時間や日付を条件に販売を管理します。
標準機能だけで完結しないケースもあるため、アプリやテーマ側の表示制御と組み合わせて、購入導線が途切れない形で設計することが重要です。開始・終了の境界で誤購入が起きないよう、事前告知や表示メッセージもセットで整えます。
決済方法
決済制限は、注文条件に応じて利用可能な支払い方法を制御する考え方です。例えば「高額注文では代引を無効化」「特定顧客には銀行振込を非表示」など、トラブル予防や運用最適化に使われます。
決済制限は顧客体験に直結するため、突然の非表示で混乱が起きないよう、事前説明や代替手段の提示が欠かせません。
配送方法
配送制限は、商品特性や注文条件に応じて配送手段を制御する方法です。「高額商品では追跡なし配送を不可にする」「重量が一定以上なら小型便を非表示」「店舗受取は条件付きで不可」など、配送事故や利益毀損(きそん)を防ぐ用途で使われます。
配送制限は重量制限・同梱制限と連動しやすいため、どの条件で何を制御するかを整理して、二重に制限をかけない設計がポイントです。
年齢
酒類など年齢確認が必要な商材では、年齢制限を設けて未成年への販売を防ぎます。ストア訪問時の年齢認証、商品購入時の年齢確認など、運用方針に応じて実装方法を選びます。
法令順守が目的となるため、「確認フローが形骸化しないこと」と「購入体験を損ねないこと」の両立が重要です。
問診(回答条件)
医薬品や使用条件が厳しい商材では、購入前に質問に回答させ、その内容に応じて購入可否を制御するケースがあります。例えば、妊娠・授乳の有無、年齢、既往歴など、条件に当てはまる場合は購入をブロックする、といった設計です。
このタイプは、質問設計と分岐条件が要になるため、運用側で回答内容をどう保管・確認するかも含めて設計します。
Shopifyに購入制限を設定する方法
Shopifyで購入制限を設定する方法は、大別して次の三つがあります。
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標準機能を使う
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コード編集を行う
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アプリを活用する
Shopifyの標準機能はノーコードで手軽に導入できる一方、対応できる制限内容は比較的シンプルで、数量や在庫、配送先などに限られます。
より高度な制御を行いたい場合は、LiquidやShopify Functionsなどを用いたコード編集によって、購入条件を細かく設計可能です。商品や顧客、金額、期間などを組み合わせた柔軟な購入制限を実装できますが、専門的な知識や開発リソースが必要になるため、全てのストアにとって現実的な選択肢とはいえません。
Shopifyアプリを使えば、コード編集を行わずに多様な購入制限を実現できるため、運用負荷を抑えながら柔軟な制御が可能です。購入制限を効率的に設定できるおすすめのアプリについては、記事の後半で詳しく紹介します。
Shopify標準機能で対応できる購入制限の範囲
Shopifyの標準機能では、購入制限を「厳密に強制する」というよりも、販売ルールを成立させるための基本的な制御を行えます。ここでは、標準機能のみで対応できる購入制限を種類ごとに整理します。
販売数量

最も基本的な方法が、在庫数を販売上限として利用する方法です。
管理画面の商品設定で在庫数を制限数に設定し、「在庫切れの場合でも販売を続ける」をオフにすることで、在庫が0になった時点で購入できません。「先着30点まで」「当日分のみ販売」といった数量管理に適しています。
ただし、この方法は「1人当たりの購入数」を制御するものではなく、あくまでストア全体の販売数を管理する仕組みである点には注意が必要です。
配送先地域

販売対象を国内のみに限定したい場合は、配送設定を使って購入制限を設けられます。
「発送と配達」の設定で海外向けの配送ゾーンを削除すると、チェックアウト時に日本以外の住所の選択ができません。
この制限はストア全体に適用されるため、「特定の商品だけ国内限定」といった個別制御には対応できませんが、越境販売を行わないストアでは有効な手段です。
注文金額
ShopifyではCheckout Blocksを使って、注文金額に対する制限(最低金額・最高金額)を設定できます。この機能はShopify Plusプランのストアでのみ利用可能で、Plus以外のプランでは標準機能として提供されていません。
注文金額制限を設定すると、指定した金額より下回る・上回る注文はチェックアウトできないようにブロックできます。例えば「合計注文額が最低1,000ドル未満の場合は購入不可」「最大15,000ドルを超える注文はできない」といったルールを設定できます。
顧客属性
Shopifyでは、B2B顧客のみに購入を許可する販売設計が可能です。オンラインストア全体をB2B専用にすることも、特定の商品だけをB2B顧客に限定公開することもできます。一般顧客には商品を非表示にし、B2Bカタログに含めることで、ログインした法人顧客のみが閲覧・購入できる状態を実現します。
B2Bカタログでは、会社ごとに表示する商品や価格を個別に設定でき、価格調整や数量ルールの管理も可能です。これにより、卸売や法人向けなど、D2Cとは異なる取引条件を柔軟に提供できます。
なお、B2Bカタログ機能はShopify Plusプラン限定で提供されている法人取引向けの機能です。
Shopifyに購入制限を導入するおすすめのアプリ
Shopifyで柔軟な購入制限を実現するには、専用のアプリを活用することがもっとも効果的です。ここでは、目的や操作性に応じた代表的な購入制限アプリを三つご紹介します。
RuffRuff 注文制限

「RuffRuff 注文制限」は、チェックアウト段階で注文を厳密に制御できる購入制限アプリです。テーマを書き換えずに導入できるため、アンインストール後にコードが残る心配がなく、ストア運営への影響を最小限に抑えられます。
制限対象は「全商品」「特定商品」「コレクション」「商品タグ」「バリエーション」などから柔軟に指定でき、商品単位・バリエーション単位・カート単位といった細かな粒度で制御が可能です。条件に違反した場合は、チェックアウト時にアラートメッセージを表示して注文を確実にブロックするため、運用ルールを形骸化させません。
Shopify Flowや会員ランクアプリとの連携にも対応しており、「お一人様1点限り」「VIP会員限定販売」「特定条件下での決済・配送制御」など、実運用に即した複雑な購入制限をノーコードで実現できます。
設定可能な主な購入制限の種類は次のとおりです。
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個数制限
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金額制限
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同梱制限
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顧客制限
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決済制限
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配送制限
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アクセス・閲覧制限
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重量制限
料金プランは有料の「ライトプラン」のみで、月額の場合は9ドル、年額の場合は90ドルで利用可能です。3日間の無料体験が利用できます。
シンプル会員限定販売

「シンプル会員限定販売」は、ログインしている会員のみが商品を購入できるよう制御できる、日本製の会員限定販売アプリです。
商品ごとに「会員限定(アカウント必須)」の購入条件を設定でき、非ログイン状態の顧客には購入をブロックする仕組みを簡単に導入できます。
購入ボタンのテキストや案内メッセージを自由に変更できるため、「ログインして購入」「会員登録後に購入可能」など、ストアの導線やトーンに合わせた表現が可能です。また、複数の商品にまとめて会員限定販売を設定できるため、会員向け商品や限定ラインを効率よく運用できます。
料金プランは月額9.99ドルの「Basic Plan」のみで、7日間の無料体験が利用可能です。
GATE 注文制限

「GATE 注文制限」は、チェックアウトページにおける購入ルールを一元管理できる、日本発の購入制限アプリです。
個数・金額・商品・同梱・顧客タグ・配送国など、さまざまな条件を組み合わせて、購入制限・決済方法・配送方法の出し分けをノーコードで設定できます。
購入条件に合わない注文はチェックアウト時点で自動的にブロックされ、アラートメッセージを表示することで顧客にも分かりやすく案内できます。
また、条件に応じて決済方法や配送方法の表示・非表示・並び順を制御できるため、不正注文対策やオペレーション負荷の軽減にも効果的です。
料金プランは無料プランの他、月額7ドルの「Proプラン」が用意されています。有料プランでは3日間の無料体験が利用可能です。