Shopifyでストア運営をしていると、「決済方法を増やして売り上げを伸ばしたい」「クレジットカードを持たないお客様にも購入してもらいたい」と考えることはありませんか?
Shopifyに代引き決済を導入すると、クレジットカード決済ができない顧客層にアプローチし、効率的に売り上げを伸ばせます。
本記事では、Shopifyにおける代引き決済の基本的な知識や具体的な設定方法、運用を効率化するおすすめアプリを詳しく解説します。
目次
代引きとは
Shopifyで代引きを導入するメリット
Shopifyで代引きを導入するデメリット・注意点
Shopifyの代引き設定方法
主な配送業者の代引き手数料
Shopify代引きおすすめアプリ
Shopifyの代引きに関するQ&A
代引きとは
代引きとは、オンラインショッピングなどで購入した商品の受取時に、配達員に直接代金を支払う決済方法で、英語では「Cash on Delivery (COD)」と呼ばれます。
クレジットカードを持たない人や、オンラインでの決済に抵抗がある人を中心に利用されています。
日本国内ではおよそ5人に1人が利用するデータもあり、今もなお多くの人々に選ばれる主要な決済手段の一つです。
Shopifyで代引きを導入するメリット
Shopifyで代引きを導入するメリットは次のとおりです。
- 購買率が向上する
- 情報漏えいのリスクがない
- クレカ決済手数料が発生しない
それぞれを詳しく解説します。
購買率が向上する
代引きを導入すると、支払い方法の選択肢が増えるため購買率の向上につながります。
クレジットカードを持たない人や、オンラインでのカード利用に抵抗がある人々が、決済方法がないために購入を断念する「かご落ち」を防ぎ、新たな顧客層を獲得できます。
特にクレジットカードの発行対象年齢に満たない若年層の他、プライバシーの観点からカード情報をむやみに登録したくない顧客層にも対応できるため、売り上げ増加が期待できます。
情報漏えいのリスクがない
代引きは、情報漏えいリスクがないという点でストアと購入者の双方にメリットがあります。
購入者は、オンライン上でクレジットカード情報を入力する必要がないため、個人情報が流出する心配なく購入できます。
一方、ストア側は購入者のカード情報を取り扱う必要がないため、情報管理にかかるコストやセキュリティ対策の負担を軽減できます。
クレカ決済手数料が発生しない
代引きはオンラインストア運営側にクレジットカード決済手数料が発生しない点がメリットです。
クレジットカード決済では売上額の数%を手数料としてカード会社に支払いますが、代引きは会社ではなく配送業者に決済業務を委託するため、手数料を支払う必要がありません。
そのため、手数料負担が軽減されストアの利益率向上につながります。
Shopifyで代引きを導入するデメリット・注意点
Shopifyで代引きを導入する主なデメリットは次のとおりです。
- 手数料が発生する
- 置き配が使えない
- 上限金額がある
- 支払い画面に自動反映できない
- 海外配送では使えない
それぞれを詳しく解説します。
手数料が発生する
代引き決済を導入する際の大きなデメリットは、手数料が発生する点です。これはストア運営者・購入者両者共に負担になります。
ストア運営者側では、配送業者から回収代金を振り込んでもらう際の振込手数料や、商品代金が5万円以上の場合に必要となる収入印紙代などのコストが発生します。
一方、購入者側には代引き手数料が請求されます。例えば代金引換額が1〜9,999円の場合、ヤマト運輸と佐川急便では330円、日本郵便では290円がかかります。
代引き手数料の詳細は後述します。
置き配が使えない
代引きでは対面でのやり取りが必須となるため、置き配に比べて時間と手間が掛かります。
また、購入者が配達時に不在だと再配達の手続きが必要になるため、配送業者の負担が増えます。
再配達が繰り返されると商品の受け取りが遅延するだけでなく、最終的に返品扱いになりストア運営側が送料や手数料を負担する場合もあります。
上限金額がある
多くの配送会社では、代引き決済に上限金額が設けられています。
例えば、ヤマト運輸は30万円、日本郵便は50万円、佐川急便は500万円が上限で、それを超える金額の商品には代引きが利用できません。
この制限により支払いができず、販売機会を逃してしまう可能性もあるため、高額商品を取り扱う場合は他の決済方法を併用することが重要です。
支払い画面に自動反映できない
Shopifyの注文確定画面では代引き手数料が自動で反映されないため、購入者が支払う表示金額と実際の支払金額に差が生じることがあります。
この差額が原因で、受取時に購入者が戸惑ったり、クレームにつながる恐れがあります。
そのため、代引き手数料は別途明記し、購入前に分かりやすく伝えておくことが重要です。
海外配送では使えない
日本から海外発送を対象にした代引きは利用できません。そのため、日本の事業者が越境ECを行う際には、クレジットカード決済や国際的に利用されているオンライン決済サービスを導入する必要があります。
一方で、海外から日本への通販では一部の代引きサービスが提供されています。ヤマト運輸の「国際宅急便コレクト」は、海外の事業者が日本の消費者へ商品を発送する際に、代金引換で受け渡しができる法人向けサービスです。また、佐川急便が提供する「海外送金サービス」では、海外の通販事業者が販売した商品を日本国内で配送し、消費者から回収した代金をSGシステムを通じて海外事業者に送金する仕組みが整えられています。
Shopifyの代引き設定方法
Shopifyに代引き決済を導入する方法は次のとおりです。
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1. 管理画面で手動の決済方法画面を開く
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2. 代引き (COD)を有効化する
-
3. 実際に代引きが利用できるか確認する
それぞれの手順を解説します。
1. 管理画面で手動の決済方法画面を開く

まずは管理画面で決済方法画面を開きます。
管理画面の左側メニューから「設定」をクリックした後、設定画面内の「決済」を選択します。
支払い設定のページを開き、「手動の決済方法」の項目までスクロールします。
2. 代引き (COD)を有効化する

手動の決済方法画面を開いたら、次に代引きを有効化します。
「手動の決済方法」の項目にある「手動の決済方法を追加する」をクリックし、表示されるドロップダウンメニューから「代引き (COD)」を選択します。
「追加情報」の欄に、表示する追加情報や、代引き手数料に関する注意書きなどを入力し、「有効にする」をクリックすれば設定は完了です。
3. 実際に代引きが利用できるか確認する

Shopifyで代引きの設定が完了したら、実際に代引きが利用できるかを確認しましょう。
テスト環境などの支払い方法の選択画面で、代引き (COD)のオプションが表示されていることを確認し、代引き (COD)を選択して、注文を確定します。この時点で注文が正常に作成されれば、代引き設定は正しく機能しています。
テスト注文は、実際の購入者の注文としてストアに記録されます。不要な場合は、後から管理画面でキャンセルまたはアーカイブします。
主な配送業者の代引き手数料
ヤマト運輸・佐川急便・日本郵便の代引き手数料について詳しく解説します。
なお、ここで紹介するのはあくまで基本的な代引き手数料です。購入者が支払い時にクレジットカードやデビットカードを利用する場合にはカード決済手数料が、また配送会社からストア運営者の口座へ送金する際には銀行振込手数料が別途発生します。詳しい条件や最新情報は、各配送会社の公式サイトでご確認ください。
ヤマト運輸
ヤマト運輸の代引き(宅急便コレクト)手数料は、代金引換額に応じて分かれています。
代金引換額
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代金引換手数料
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1円〜9,999円
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330円(税込)
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10,000円〜29,999円
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440円(税込)
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30,000円〜99,999円
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660円(税込)
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100,000円〜300,000円
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1,100円(税込)
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1件当たりの代金引換額が55,000円(税込)以上の場合は、印紙代相当額220円(税込)が必要です。
佐川急便
佐川急便の代引き(e-コレクト®)手数料も、代金引換額に応じて分かれています。
代引金額
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代金手数料(税込)
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1万円以下
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330円
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3万円以下
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440円
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10万円以下
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660円
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30万円以下
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1,100円
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50万円以下
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2,200円
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60万円以下
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6,600円
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60万円超 10万円増すごとに
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1,100円を加算
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代金引換額が50万円を超える場合は、手数料に加えて配達手数料55,000円(税込)が別途発生します。
1件当たりの代金引換額が5万円(税抜)以上の場合は、印紙代相当額が必要です。
代引金額(消費税除く)
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収入印紙代相当額(税込)
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5万円以上100万円以下
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220円
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200万円以下
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440円
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300万円以下
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660円
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500万円以下
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1,100円
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日本郵便
日本郵便の代引き(代金引換)手数料は全国一律290円です。
引換金額が30万円を超える場合は、通常の発送方法では取り扱えません。必ず一般書留(ゆうパックの場合はセキュリティサービス)を利用する必要があります。そのため、通常の送料に加えて書留料(350円〜)やセキュリティサービス料金(420円)が発生します。
引換金額から消費税額等を差し引いた額が5万円以上の場合、印紙代が必要です。
引換金額から消費税額等を差し引いた額
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収入印紙代相当額
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5万円以上100万円以下
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200円
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100万円を超える場合
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400円
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Shopify代引きおすすめアプリ
Shopifyで代引きを活用する際におすすめのアプリは次のとおりです。
- Ship&co
- MR.DAIBIKI
- 配送カスタム.amp
- シンプル代引き
- Releasit Cash On Delivery
- 代引きコンシェルジュ
それぞれのアプリの特徴を紹介します。
Ship&co

Ship&coは、株式会社Ship&coが開発したShopfyアプリです。
EC店舗の受注データをリアルタイムで同期し、ヤマト運輸や佐川急便など国内外の運送会社の送り状やインボイス、代金引換伝票を作成する機能を備えています。
送料比較や受注ステータスの自動更新、追跡番号の同期など、出荷業務全般を一元管理できるため、複数店舗を運営している事業者にとって便利です。
料金プランは、月額1,100円の月額割引プランがあり14日間の無料体験が利用可能です。
MR.DAIBIKI

「MR.DAIBIKI」は、株式会社キャスティングが開発したShoifyアプリです。
代引き決済を選択した購入者に対し、自動で計算された手数料を含む支払総額をメールやSMSで通知できます。
注文金額も手数料を含んだ金額に自動で更新されるため、ストア運営者が注文情報を手動で編集する必要がなく、購入者との手数料に関するトラブルを防ぎます。
料金プランは、無料プランの他、月額7ドルの「BASIC」と月額14ドルの「STANDRD」、月額30ドルの「PREMIUM」があり、有料プランでは10日間の無料体験が利用可能です。
配送カスタム.amp

配送カスタム.ampは、合同会社ampが開発したShopifyアプリです。
代引き配送の際に代引き手数料を含めた送料を自動で表示でき、ストア運営者が個別に手数料を再計算して購入者に通知する手間を省けます。
都道府県別や商品タグ別、重量別など、多様な条件を組み合わせて送料を設定できるため、ユーザーのニーズに合わせて柔軟にShopifyを運営できます。
料金プランは月額12ドルの「NORMAL」と月額24ドルの「ADVANCED」があり、14日間の無料体験が利用可能です。
シンプル代引き

シンプル代引きは、株式会社UnReactによって開発された日本製のShopfyアプリです。
購入者が配送方法として「代引き」を選択した場合にのみ、代引き手数料を自動で計算し、決済金額に含める機能を提供します。
注文合計金額などの条件に応じて手数料を細かく設定できるため、店舗側の運用負担を軽減し、また購入者にとっても分かりやすい仕様です。
料金プランは月額6.99ドルの「Basic Plan」があり、7日間の無料体験が利用可能です。
Releasit Cash On Delivery

Releasit Cash On Deliveryは、E-TRADE PARTNERによって開発された代引き手数料設定アプリです。
代引き手数料を簡単に設定でき、特定の国や地域、または特定の商品に限定して代引きを非表示にするといった柔軟なカスタマイズが可能です。
管理画面から直接操作できるシンプルな設計であり、加えて、不正注文対策として特定の場所や商品をブロックする機能も備えています。
料金プランは無料プランに加え、月額9.99ドルの「PREMIUM」と月額29.99ドルの「ENTERPRISE 」があります。
代引きコンシェルジュ

Shopifyアプリの「代引きコンシェルジュ」は、株式会社Yagikenが開発したアプリです。
代引き手数料を自動で決済金額に含める機能があり、合計金額は購入完了メールに反映されるため、支払金額を明確に把握できます。
購入者が代引き手数料について問い合わせる手間が省けるため、ECサイトの運用コストを削減し、また顧客満足度の向上にも貢献します。
料金プランは月額7.99ドルの「Basic Plan」があり、7日間の無料体験が利用可能です。
Shopifyの代引きに関するQ&A
最後に、Shopifyの代引きに関するよくある質問とその回答を紹介します。
Shopifyで利用できる代引き以外の決済方法はあるか
Shopifyでは代引き以外にもさまざまな決済方法が利用可能です。
Shopifyペイメントを導入すれば、各種クレジットカードやApple Pay、Google Payなど、複数の決済方法に対応できます。
Shopifyペイメントは初期費用や月額費用がかからず、管理画面で簡単に設定できるため、誰でも手軽に導入できる点がメリットです。
代引きを利用する際、クレジットカードは使えるか
代引きを利用する際、購入者が配達員に手数料を支払う方法は配送業者ごとに異なります。
例えば、ヤマト運輸では現金の他、クレジットカード(タッチ決済のみ)や電子マネー、商品券が利用でき、佐川急便では、クレジットカードとデビットカードが利用可能です。日本郵便の代引きは現金支払いのみです。
代引きを利用する際、おつりはもらえるか
代引きを利用する際、配達員がお釣りを用意しているケースが多いです。
ただし、配達員が十分な現金を持ち合わせていない可能性もあるため、スムーズな受け渡しのために、できるだけお釣りが出ないように現金を用意しておくと良いでしょう。
代引きを利用する際の領収書はストア側で発行すべきか
代引きを利用した場合の領収書は、基本的に配送業者が発行します。
商品代金を直接受け取るのが配送業者であるため、その場で金銭の授受を証明する書類として発行されるためです。
ストア側が改めて領収書を発行すると、二重発行となってしまう可能性があるので注意が必要です。
購入者から領収書の発行を求められた際には、配送業者が発行する控えが正式な領収書になる旨を案内するようにしましょう。