オンラインストアを持たず、既存のWebサイトやSNS上で商品を販売できるShopify Lite(ライト)は、多くの個人事業主や副業ユーザーに支持されていました。
しかし、2022年に新規受付を終了し、実質的な後継として「Starter(スターター)プラン」が登場し、月額750円というリーズナブルな価格で提供されています。
この記事では、Shopify LiteとStarterプランの違いや、Starterプランの機能・料金・活用方法について詳しく解説します。
目次
Shopify Lite(ライト)について
Starterプランの主な機能
Starterプランの料金と手数料
Starterプランを利用するメリット
Starterプランの利用手順
Starterプランを利用するときの注意点
Starterプラン以外のプラン
ShopifyのStarterプランに関するQ&A
Shopify Lite(ライト)について
まず、Shopify Liteの基本的な知識について解説します。
Shopify Lite(ライト)の概要
Shopify Lite(ライト)は、Shopifyがかつて提供していた最も低価格のプランで、月額9ドルという手頃な価格で利用できました。
このプランでは、独自のオンラインストアを構築することなく、既存のWebサイトやSNSなどにShopifyの販売機能(商品表示・決済機能)が追加可能でした。
例えば、自身が運営しているブログやFacebookのページに商品情報を埋め込み、訪問者がそのまま購入手続きに進めるような仕組みです。
また、対面販売に対応するPOS機能も含まれており、小規模な販売を多チャネルで手軽に始めたいユーザーに重宝されていました。
現在はサービスを終了している
Shopify Liteプランは既に新規受付を終了し、現在は提供されていません。
既存ユーザーの一部には継続利用が認められている場合もありますが、新規での申し込みはできない状態です。
Shopify Liteの後継プランは「Starterプラン」
Starter(スターター)プランは、かつて提供されていたShopify Liteの実質的な後継として、2022年6月に導入されたプランです。
EC初心者や、既に情報発信の場を持つ個人事業主・副業ユーザーにとって、手軽に始められるプランとして高い人気を集めています。
Starterプランの主な機能
Starterプランでは次の機能を使用できます。
- 購入ボタンの生成
- SNS販売機能
- 対面販売機能
- 管理機能
それぞれについて解説します。
購入ボタンの生成
Starterプランでは、Shopifyに登録した各商品について、Webサイトやブログに設置できる専用の購入ボタンを作成できます。
ページ内に設置されたボタンを顧客がクリックすると、そのまま商品をカートに追加して、スムーズに購入手続きへ進めます。
SNS販売機能
Starterプランでは、InstagramやFacebookといった主要SNSとの連携機能が標準機能として利用できます。
Shopifyに登録した商品は、連携しているSNSと自動で同期され、投稿やショップタブ内に商品情報を表示可能です。
対面販売機能
Starterプランは、ShopifyのPOS(Point of Sale)アプリに対応しており、実店舗やイベント出店などでの対面販売も可能です。
スマートフォンやタブレットにPOSアプリをインストールすれば、会計処理やレシート発行・在庫更新などをその場でスムーズに行えます。
オンラインとオフラインの在庫情報は自動的に同期されるため、販売チャネルが分かれていても一括管理が可能です。
管理機能
Starterプランは価格が安いプランではありますが、Shopifyの基本的な販売管理機能を一通り利用できます。
商品名や価格、在庫数、画像などを登録できるほか、注文が入ると自動で通知が届き、発送状況や売り上げも全てShopify上で管理可能です。
さらに、購入者の情報や注文履歴を保存・確認できるため、リピーター対応や顧客分析にも役立ちます。
Starterプランの料金と手数料

ShopifyのStarterプランは、月額750円(税込)で利用できます。また、月額以外の初期費用は不要で、契約期間の縛りもありません。いつでも自由に開始・解約ができます。
また、3日間の無料トライアルと3カ月間は月額150円(税込)となる割引も用意されており、実際の使用感を確認してから本格的な運用に移行できます。
決済手数料はShopifyペイメントを利用した場合に5%がかかります。なお、外部の決済サービスを使用する場合には、別途追加の手数料が発生することがあります。
Starterプランを利用するメリット
Starterプランを利用する場合、次のようなメリットが得られます。
- コストを抑えられる
- 専門知識がなくても運用しやすい
- ビジネスの成長に応じて拡張できる
それぞれについて解説します。
コストを抑えられる
Starterプランの大きな魅力は、月額750円(税込)という手頃な料金設定です。
固定費を最小限に抑えられることで、EC事業に踏み出すハードルが大幅に下がるため「まずは小さく試してみたい」という方にとって最適な選択肢です。
副業や小規模ビジネス、ハンドメイド作家など限られた予算で販売活動を行いたい人にとって、無理のない範囲で始められます。
専門知識がなくても運用しやすい
Starterプランは、EC初心者でも扱いやすいシンプルな設計が特徴です。Shopifyの管理画面は視覚的に分かりやすく、複雑な操作や専門的なスキルを必要としません。
また、Starterプランでは機能が基本的なものに絞られている分、設定や運用の手間が少なく、初めてネット販売に取り組む人でも迷わず使い始められます。
ビジネスの成長に応じて拡張できる
Starterプランは、「まずは小さく始めたい」という方に最適な選択肢ですが、ビジネスの成長に応じて柔軟にステップアップが可能です。
販売が軌道に乗った後は、ベーシックプランやスタンダードプランなどの上位プランへスムーズに移行できます。プランを切り替える際も、注文履歴や顧客情報などのデータはそのまま引き継がれるため、運用を中断することなく拡張できる点も大きなメリットです。
Starterプランの利用手順
Starterプランを利用する手順は次のとおりです。
1. Shopifyにアカウント登録する
2. 商品を登録する
3. 購入ボタンを作成・埋め込む
4. SNSに販売チャネルを連携する
それぞれを順番に解説します。
Shopifyにアカウント登録する
Starterプランの利用を始めるには、まずShopify公式サイトでアカウントを作成します。
登録は非常にシンプルで、メールアドレスとパスワードを入力するのみです。
プラン選択時に「Starterプラン」を選べば、3日間の無料トライアルと3カ月間の割引が自動的に適用されます。
クレジットカードの登録が後回しにできるため、「まず試してみたい」という段階でも気軽に始められます。
商品を登録する
アカウント登録が完了したら、管理画面にログインして販売する商品を登録します。
商品名や価格、在庫数、画像、説明文など、基本的な情報を入力すればすぐに公開可能です。
Starterプランでは、登録した商品がそのまま購入ボタンやSNS連携に表示されるため、商品の魅力や分かりやすさを意識して情報を入力しましょう。
登録後は、商品の販売準備が整った状態となり、次のステップでボタンや販売チャネルの設定に進めます。
購入ボタンを作成し、埋め込む
Webサイトやブログなどで商品を販売したい場合は、商品を登録した後に購入用のボタンを作成し、ページ内に埋め込むことで対応できます。
Shopifyの管理画面で対象商品を選ぶと、購入ボタン用のHTMLコードが自動生成されます。
このコードをコピーして、ブログ記事やWebページの編集画面に貼り付けるだけで、その場で商品を販売可能です。
SNSに販売チャネルを連携する
InstagramやFacebookなどのSNSを活用して販売したい場合は、Shopifyの管理画面から販売チャネルの設定に進み、希望するSNSを追加します。
連携が完了すると、Shopifyに登録した商品情報が自動で反映され、投稿内やショップタブに商品を表示可能です。
Starterプランを利用するときの注意点
Starterプランを利用するにあたっては、次の点に注意が必要です。
- 一部のアプリや機能は利用できない
- スタッフアカウントの利用は1名まで
- 多言語・多通貨販売には対応していない
それぞれを詳しく解説します。
一部のアプリや機能は利用できない
Starterプランでは、Shopifyが無料で提供する非常にシンプルなテーマでのみ、簡易的なオンラインストアを作成できます。そのため、デザインやレイアウトの自由度は限られており、カスタマイズ性は大きく制限されています。
また、Shopifyアプリストアに掲載されているアプリの多くは、オンラインストアとの連携を前提に設計されているため、Starterプランとは互換性がありません。そのため、アプリによっては一部または全部の機能が利用できません。
本格的なネットショップの構築やアプリを活用した高度な運用を検討している場合は、ベーシックプランの利用がおすすめです。
スタッフアカウントの利用は1名まで
Starterプランでは、利用できるスタッフアカウントは1名までに制限されています。
複数人での同時運用や担当ごとに権限を分けた管理は行えないため、注意しましょう。
個人での運用や小規模なテスト販売には十分な仕様ですが、チーム体制で在庫管理・注文処理・顧客対応などを分担したい場合には不向きです。
本格的なストア運営や拡大を視野に入れる場合は、スタッフアカウントを複数持てるベーシックプラン以上へのアップグレードを検討しましょう。
多言語・多通貨販売には対応していない
Starterプランは、国内向けの小規模な販売には適していますが、海外展開を目指す場合にはいくつかの制約があります。
例えば多言語対応や複数通貨での販売といった機能は、Starterプランでは基本的に利用できません。購入ボタンやSNS経由での販売は、表示や通貨が固定されるため、国や地域に応じた柔軟な対応が難しいです。
本格的な越境ECを検討する場合は、これらの機能が使えるベーシックプラン以上への移行をしましょう。
Starterプラン以外のプラン
ShopfyにはStarterプラン以外に次のプランがあります。
- Basic
- Grow
- Advanced
- Shopify Plus
それぞれについて解説します。
Basic

Basic(ベーシック)プランは、本格的なオンラインストアを構築したい個人や小規模ストア向けの標準的なプランです。
カート機能や独自ドメイン設定、デザインテーマのカスタマイズ、ブログ機能、多言語・多通貨対応など、オンライン販売に必要な基本機能が全てそろっています。
スタッフアカウントは2名まで追加可能で、料金は年払いで月額3,650円です。
決済手数料はShopifyペイメント利用時で3.55%、Shopifyペイメントを使用しない場合の外部サービス取引手数料は2%です。
Grow
Grow(グロウ)プランは、少人数チームでの中規模ビジネスやECの運用体制を拡大したいストア向けのプランです。
スタッフアカウントも5名まで追加でき、月額料金は料金は年払いで月額10,100円です。
決済手数料はShopifyペイメント利用時で3.4%、Shopifyペイメントを使用しない場合の外部サービス取引手数料は1%です。
Advanced
Advanced(アドバンスト)プラン)は、大規模なオンラインストア運営や海外展開を検討しているストア向けのプランです。
関税と輸入税などの国際配送の自動計算といったより高度な業務管理ができます。スタッフアカウントは最大15名まで追加可能で、部署ごとの役割分担にも柔軟に対応できます。
月額料金は料金は年払いで月額44,000円です。決済手数料はShopifyペイメント利用時で3.25%、Shopifyペイメントを使用しない場合の外部サービス取引手数料は0.6%です。
Shopify Plus
Shopify Plus(プラス)は、大企業やグローバルブランドなど、大規模なビジネス向けに設計された最上位プランです。1年または3年契約で利用可能です。
チェックアウト画面の完全カスタマイズやAPIの拡張利用、BtoB販売機能、24時間体制の電話サポートなど、他プランでは実現できない高度な機能を備えています。
月額料金は2,300ドルですが、利用規模やカスタマイズ内容に応じて決まります。決済手数料や追加サービスも、契約内容により調整されます。
ShopifyのStarterプランに関するQ&A
最後に、ShopifyのStarterプランに関するよくある質問とその回答を紹介します。
Starterプランは法人・個人事業主どちらでも使えるか
ShopifyのStarterプランは法人・個人事業主のどちらでも利用可能です。
開業届や法人登記がなくてもアカウントを作成できるため、副業や趣味の延長として商品を販売したい個人ユーザーにも適しています。
必要に応じて後から請求先や運営者情報を変更・追加することもできます。
Starterプランでもクーポンや割引コードは使えるか
Starterプランでもディスカウントコード(割引クーポン)の発行と適用が可能です。
Shopifyの管理画面から割引コードを自由に作成でき、購入時にコードを入力すれば、設定した割引が反映されます。
ただし、Starterプランはオンラインストア機能が制限されているため、テーマ上に割引表示を組み込んだり、アプリを通じて動的に割引を見せたりするような演出はできません。
商品説明に画像や動画を入れることはできるか
Starterプランでも、商品画像の登録は標準機能として利用可能です。
複数の画像を設定でき、拡大表示にも対応しているため、視覚的に分かりやすい商品紹介が行えます。
一方で、動画の直接埋め込みは機能制限のため非対応となっており、商品ページ内に動画を掲載したい場合は、YouTubeなどの外部サービスにアップロードし、そのリンクを説明文に記載する形が現実的です。