Shopifyで複数ストアを開設・運営することは可能です。
しかし、複数ストアを解説する方法が分からない方や「運営コストや管理の手間が増えるのでは?」と不安になる方は多いのではないでしょうか。
本記事では、Shopifyで複数ストアを開設する方法や切り替え方、運用時の注意点、メリットを分かりやすく解説します。
目次
Shopifyで複数ストアを開設することは可能か
Shopify Plusで複数ストアを開設する方法
Shopify Plusについて
Shopifyで複数ストアを開設するメリット
Shopifyで複数ストアを開設する方法
Shopifyで複数ストアを切り替える方法
Shopifyで複数ストアを運用する際の注意点
Shopifyで複数ストアを開設することは可能か
Shopifyで複数ストアの開設は可能です。
それぞれのストアは独立したショップとして運営でき、管理や設定、デザイン、商品登録なども別々に行えます。
Shopify Plusで複数ストアを開設する方法
Shopifyで複数ストアを開設する方法は、次のとおりです。
- 方法①ストアごとに月額料金を支払って開設
- 方法②Shopify Plusで追加料金なしで開設
それぞれの方法を分かりやすく解説します。
方法①ストアごとに月額料金を支払い開設可能
一つ目は、ストアごとに月額料金を支払って開設する方法です。
1店舗目と同じメールアドレスとパスワードを使用して新しいストアを作成できます。ただし、プランは各店舗ごとに契約する必要があります。
料金プランは、1店舗目がベーシックプラン、2店舗目がスタンダードプランにするなど別プランの契約も可能です。
方法②Shopify Plusで追加料金なしで開設可能
もう一つは、Shopify Plusプランで追加料金なしで開設する方法です。
Shopify Plusでは一つの契約内で最大10店舗の開設が可能です。内訳は、メインストアが1ストア、追加ストアが9ストアです。開発ストアやステージングストアについては、10ストアの制限には含まれません。
追加ストアの資格要件は次のとおりです。
- メインブランドの拡張であること
- 主要ブランドと同じストア名・ブランディングを使用すること
- メインブランドと同じ種類の商品・サービスを扱うこと
オンラインストアの場合は、言語や通貨の変更が可能です。実店舗や卸売ストアの場合も、上記の要件を満たす必要があります。
複数ストアの開設はどちらがお得?
Shopifyで複数ストアを開設する場合、どちらがお得かはストア数やプランによって異なります。
例えば、月額3,650円のBasicプランで10店舗を運営すると、月額36,500円です。また、月額39,800円のAdvancedプランで10店舗を契約した場合、月額39万8,000円となり、月額2,300ドルのShopify Plusよりも高額です。
一方、Shopify Plusであれば月額2,300ドルで最大10店舗を追加料金なしで開設可能です。そのため、多店舗展開を視野に入れる事業では、1ストア当たりのコストが大幅に抑えられ、運営効率も高まります。
Shopify Plusについて
Shopify Plusについて、詳しく解説します。
Shopify Plusの概要
Shopify Plusは、成長企業や大規模事業者向けに設計されたShopifyの最上位プランです。上述したように、月額2,300ドル(3年契約)で利用でき、通常プランでは制限のある機能やサポートを拡張した形で提供されます。
主な特徴として、200カ所までの在庫ロケーション管理や無制限のスタッフアカウント、完全にカスタマイズ可能なチェックアウト機能、B2B/卸売向け機能が挙げられます。
また、24時間体制の強化サポートが受けられ、国や地域ごとに最適化されたローカルストアフロントを持てるため、グローバル展開にも対応しています。
Shopify Plusと他プランとの違い
Shopify Plus以外のプランには、「Basic」「Grow」「Advanced」の三つがあります。
Basicは、個人事業主や小規模ビジネス向けのエントリープランです。月額3,650円で利用できます。オンライン決済手数料は3.55%〜で、外部決済サービス利用時の手数料は2%です。24時間のチャットサポートや10カ所までの在庫ロケーション、電話またはPOSによる対面販売に対応しており、まずネットショップを始めたい人に適しています。
Growは、少人数のチーム向けの月額10,100円のプランです。オンライン決済手数料は3.4%〜、外部決済サービス手数料は1%と、Basicよりコスト効率が良いです。スタッフアカウントが5件まで利用でき、より組織的な運営に対応可能です。
Advancedは、ビジネスが拡大した企業向けプランで、月額44,000円で利用できます。オンライン決済手数料は3.25%〜、外部決済サービスは0.6%と低く、マーケットごとのローカルストアフロントや15件のスタッフアカウントが利用可能です。グローバル展開や高度な運営に対応するプランです。
Shopifyで複数ストアを開設するメリット
Shopifyで複数ストアを開設するメリットは、次のとおりです。
- 売り上げをアップしやすい
- 販売経路を分散できる
- ターゲット市場に合わせた運営が可能
- 顧客体験をカスタマイズできる
- 専任サポートを受けられる(Shopify Plus限定)
それぞれを分かりやすく解説します。
売り上げをアップしやすい
複数ストアを運営することで、異なる地域や顧客層に幅広くアプローチできます。
例えば、国内向けと海外向けにストアを分けることで、それぞれの市場の特性に合わせた商品展開やプロモーションができ、販売機会が増加します。
また、ブランドや商品ラインごとに独立したショップを設けることで、ターゲット顧客が迷うことなく商品を選べる環境を作れる点も大きなメリットです。
結果として、顧客との接点が増え、売り上げの拡大につながりやすくなります。
販売経路を分散できる
一つのストアに依存すると、トラブルや市場変動によって売り上げが大きく左右されるリスクがあります。
複数ストアを展開することで、販売経路を分散できるため、リスクを軽減できます。
例えば、ある市場で需要が落ち込んでも、他のストアで売り上げを確保できれば全体の収益は安定します。
新しい市場へのテスト出店もしやすく、事業の柔軟性も高められます。
ターゲット市場に合わせた運営が可能
顧客層や地域ごとに異なるニーズに対応するため、複数ストアを使い分けることで市場に合わせた戦略が立てやすくなります。
例えば、高級志向のブランドと日常使いの商品を分けて展開することで、ブランドイメージを損なわずに幅広い顧客層へアプローチできます。
また、地域ごとに人気商品や文化的背景に合わせた品ぞろえを調整できるため、より的確なマーケティングが実現します。
顧客体験をカスタマイズできる
複数ストアを展開すると、それぞれの地域や市場に合わせた顧客体験を最適化できます。
言語や通貨、配送方法を現地のニーズに合わせることで購入ハードルを下げ、顧客満足度を高められる点が大きな強みです。越境ECでも、地域ごとに適した決済手段や表示を設定できるため、安心して利用してもらえます。
また、ストアごとにスタッフの権限を柔軟に設定できるため、運営管理の透明性や効率性が向上します。さらに、セキュリティ面でもアクセス権を限定することで不正利用を防止し、安全性の高い環境を構築可能です。こうした仕組みにより、信頼性と利便性を兼ね備えた顧客体験を実現できます。
専任サポートを受けられる(Shopify Plus限定)
Shopify Plusを利用すると、通常プランでは受けられない専任サポートを利用できます。
専任のアカウントマネージャーがつき、ストア立ち上げから運営、マーケティング施策に至るまで手厚い支援を受けられるため、大規模かつ複雑な運営でも安心です。
さらに、トラブル発生時も迅速に対応してもらえるため、リスクを最小限に抑えられます。多店舗展開や海外進出を目指す企業にとって、専任サポートは大きな安心材料です。
Shopifyで複数ストアを開設する方法

Shopifyで複数ストアを作成する手順は次のとおりです。
1. 既存ストアの管理画面にログインする
2. メニューから[すべてのストア]を選択する
3. [ストアを作成する]を選択する
新しいストア開設の手続きを進めて、ストアの開設が完了します。
Shopifyで複数ストアを切り替える方法
Shopifyで複数ストアを切り替える方法を分かりやすく解説します。
事前確認:同じメールアドレスが登録されていることを確認する
複数ストアを切り替えて利用するためには、全てのストアに同じメールアドレスが登録されていることが必須条件です。
ストアの切り替え機能は、メールアドレスを基準にアカウントを識別しているため、異なるメールアドレスで登録されたストアはリストに表示されません。
メールアドレスの確認は、管理画面から簡単に行えます。まず管理画面でストア名をクリックし、プロフィールを開きます。メールアドレス確認用のバナーが表示されていれば「確認メールを送信する」を選択します。バナーが出ていない場合は、既に確認済みの状態です。
デスクトップの場合

同じメールアドレスが登録されていることが確認できたら、前述の方法で新規ストアを追加します。
新規ストア追加後に、デスクトップ版で複数ストアを切り替える方法は次のとおりです。
1. 既存ストアの管理画面にログインする
2. 管理画面右上のストア名をクリックし[すべてのストア]を選択する
3. 表示したいストア名をクリックする
Shopifyアプリの場合
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Shopifyアプリ上でも新規ストアの追加ならびに複数ストアの切り替えが可能です。手順は次のとおりです。
1. Shopifyアプリ画面のストア名をタップする
2. ストア名をタップし[ストアを追加]をタップする
3. 追加するストアを選択または追加する
4. 任意のストアの管理画面にログインする
5. ストアの名前をクリックし、別のストアを選択する
Shopifyで複数ストアを運用する際の注意点
Shopifyで複数ストアを運用する際の注意点は、次のとおりです。
- 効率的に運営する
- ストアごとに販売戦略を練る
- 市場をしっかりと見極める
- 法律とコンプライアンスを順守する
- リソースを適切に配分する
それぞれを詳しく解説します。
効率的に運営する
複数ストアを同時に運営する場合、管理業務が煩雑になりやすいため、効率化が欠かせません。
特に在庫や注文、顧客データをストアごとに管理していると、入力ミスや重複対応が発生しやすいです。そのため、一元管理できるアプリや外部システムを導入する、もしくは業務フローを標準化しましょう。
効率的に運営する仕組みを整えることで、限られた時間と人員をより戦略的な業務に活用でき、複数ストアを運営するメリットを最大化できます。
ストアごとに販売戦略を練る
複数ストアを運営する場合、それぞれのストアでターゲットとする顧客やブランドイメージが異なることも珍しくありません。
そのため、販売戦略を一律に適用するのではなく、ストアごとに最適化することが求められます。例えば、高価格帯のブランドストアでは上質なデザインや限定キャンペーンが効果的ですが、低価格帯や日常使いの商品を扱うストアでは手軽さやコストパフォーマンスを訴求する戦略が有効です。
さらに、販売チャネルや広告手段も市場に合わせて選び分けることで、それぞれのストアが持つ強みを最大限に生かし、売り上げ拡大につなげられます。
市場をしっかりと見極める
複数ストアを開設すると販路が広がりますが、その分、市場選定を誤るとコストだけがかかってしまいます。
特に新規市場へ進出する際には、需要の大きさや競合状況をしっかり分析することが不可欠です。リサーチを怠ると、在庫が売れ残ったり広告費が無駄になったりするリスクがあります。
競合が多い市場は避けるなど、ストアごとの役割や市場ポジションを明確に定めることが、複数ストア運営を成功させる鍵です。
法律とコンプライアンスを順守する
複数ストアを運営する際には、法律やコンプライアンスを順守することが非常に重要です。
特に越境ECを行う場合は、輸出入規制や関税、消費税、返品ポリシーなど国ごとに異なるルールを理解して対応しなければなりません。また、個人情報保護や決済セキュリティといった国際基準にも従う必要があります。
違反すると罰則だけでなく、ブランドイメージや顧客からの信頼を大きく損なうリスクがあります。そのため、各国の法規制を調査し、必要に応じて専門家に相談しながら対応体制を整えることが欠かせません。
リソースを適切に配分する
複数ストアを運営するには、人員や時間、予算といったリソースをどのように配分するかが成否を分けます。全てのストアに均等にリソースを投下すると、どこも中途半端な結果になる恐れがあります。
そのため、売り上げ規模や成長性に応じて優先度を決め、重点的にリソースを投入するストアを見極める必要があります。また、人員を複数ストアに兼務させる場合は、役割分担を明確にして業務の重複や漏れを防ぐことが重要です。
リソースを戦略的に配分することで、全体最適を図りながら効率的な運営ができます。