Shopifyでオンラインストアを運営していると、「プライバシーポリシーをどこまで整備すれば良いのか分からない」「決済サービス導入に必要と聞いたけど詳細が不明」と感じることはありませんか?
こうした不安を解消するには、個人情報保護法やGDPR、CCPAといった各種法規制への対応を正しく理解し、Shopifyに適したプライバシーポリシーを整備することが不可欠です。
本記事では、Shopifyにおけるプライバシーポリシーの必要性、作成・設定手順、記載すべき項目、テンプレート例、さらに関連するポリシーやQ&Aまでを分かりやすく解説します。
目次
プライバシーポリシーとは
プライバシーポリシーを作成する方法
Shopifyでプライバシーポリシーを設定する手順
Shopifyプライバシーポリシーに記載すべき項目
Shopifyプライバシーポリシーのテンプレート
Shopifyプライバシー以外のポリシーと規約
Shopifyプライバシーポリシーに関するQ&A
プライバシーポリシーとは
プライバシーポリシーとは、企業やウェブサイト運営者が顧客から取得する個人情報の取り扱いを示す方針のことです。
個人情報保護法などの法規制に基づき、どのような情報をどのような目的で取得・利用・管理し、第三者と共有するかなどを明確に記載します。
Shopifyにプライバシーポリシーが必要な理由
Shopifyを運営する上で、プライバシーポリシーが必要な主な理由は次のとおりです。
- 個人情報保護法に対応する必要がある
- 決済サービス利用に必須の場合がある
- 海外ではGDPRやCCPAに配慮する必要がある
それぞれを解説します。
個人情報保護法に対応する必要がある
Shopifyでストアを運営する場合、プライバシーポリシーの作成と公開は法律上必要です。
日本の個人情報保護法では、氏名・住所・メールアドレス・クレジットカード情報などの個人情報を取得する全ての事業者に対し、その利用目的や取り扱い方法を事前に明示することが義務付けられています。Shopifyで顧客から情報を得る場合も例外ではありません。
法令遵守の観点だけでなく、プライバシーポリシーを明示することで顧客に安心感を与え、ショップへの信頼性向上にもつながります。
決済サービス利用に必須の場合がある
Shopifyで外部の決済サービスを利用する際、プライバシーポリシーの掲載がアカウント審査の条件として求められることがあります。
例えば、PayPalやShopify Paymentsを導入する場合、審査時にストア内でプライバシーポリシーが確認できないと、アカウントの承認が保留されたり、一部機能の利用が制限されるケースが実際に報告されています。
特に新規ストアでは、事前にポリシーを整備しておくことで、審査の通過や決済機能の有効化がスムーズに進み、開店後のトラブルを防ぐことにもつながります。
海外ではGDPRやCCPAに配慮する必要がある
Shopifyは国際的なプラットフォームであり、海外ユーザーを対象に商品を販売する場合は、各地域の個人情報保護法への対応が求められます。
例えば、EU諸国向けにはGDPR(一般データ保護規則)、アメリカのカリフォルニア州向けにはCCPA(カリフォルニア州消費者プライバシー法)といった法規制への準拠が必要です。
これらの法律では、Cookieバナーの表示やデータ収集に対するオプトアウト機能、情報開示の方法などが厳しく定められており、プライバシーポリシーの整備が前提条件となります。
プライバシーポリシーを作成する方法
Shopifyでプライバシーポリシーを作成する主な方法は次のとおりです。
- Shopifyの自動生成テンプレートを使う
- 自社に合わせてカスタマイズする
それぞれの方法について解説します。
Shopifyの自動生成テンプレートを使う
Shopifyでは、プライバシーポリシーを簡単に作成できる自動生成テンプレート機能が用意されています。
テンプレートには、収集する情報の種類やその利用目的、第三者提供の有無など、一般的な構成要素があらかじめ含まれています。
管理画面の「設定」→「ポリシー」を開くと、プライバシーポリシー欄が出てきて、Shopifyが用意した標準の雛形を利用可能です。
自社に合わせてカスタマイズする
Shopifyが提供するプライバシーポリシーのテンプレートは手軽に使える反面、内容は汎用的であり、自社の実態と完全には一致しない場合があります。
そのまま使用すると、実際の運用との間にズレが生じる恐れがあるため、収集する情報の種類(氏名・メールアドレス・電話番号など)や利用目的(商品の発送・マーケティング利用など)、第三者提供の有無や範囲について、自社の方針に合わせて具体的に編集する必要があります。
AIツールを活用してドラフトを作成したり、同業他社のECサイトで公開されているプライバシーポリシーを参考にすることで、自社に適した内容に調整しやすくなります。
Shopifyでプライバシーポリシーを設定する手順
Shopifyでプライバシーポリシーを設定する手順は次のとおりです。
1. 管理画面にログインする
2. 「ポリシー」セクションを開く
3. 保存と公開をする
4. フッターにリンクを追加する
それぞれの手順を詳しく解説します。
管理画面にログインする

まずは、ストアオーナーとしてShopifyの管理画面(Shopify Admin)にログインしましょう。
ログイン後、画面左下の「設定」をクリックすると、基本情報、通知、決済、配送、ポリシーなど、各種設定項目にアクセスできます。
複数人でストアを管理している場合は、必要な操作権限を持つアカウントでログインしていることも併せて確認しておきましょう。
「ポリシー」セクションを開く

「設定」メニューを開いたら、一覧の中から「ポリシー」をクリックしましょう。
このセクションでは、プライバシーポリシーや返金ポリシー、利用規約など、Shopifyストアに必要な法務関連ページを一括で管理できます。
各項目には、Shopifyが自動生成したテンプレートがあらかじめ用意されており、自社の事業内容や運用方針に合わせて自由に編集可能です。
保存と公開をする

プライバシーポリシーの編集が完了したら、「保存」ボタンをクリックして内容を確定します。
保存と同時に、Shopify側で専用の公開ページが自動生成され、固定のURLも発行されます。このURLは外部からもアクセス可能で、購入者がポリシー内容を確認できる状態になります。
フッターにリンクを追加する

プライバシーポリシーのページを作成・公開すると、チェックアウトページのフッターには自動でリンクされます。ただし、訪問者が通常のページからも確認できるように、ストアのフッターメニューなどにもリンクを追加することが推奨されています。
プライバシーポリシーをストアのフッターに表示するには、Shopify管理画面で「コンテンツ」→「メニュー」を開き、該当のメニュー(例:フッターメニュー)を選択します。「メニュー項目の追加」をクリックし、リンク名(例:「プライバシーポリシー」)を入力後、「検索またはリンクを貼り付ける」欄でポリシーページを選択します。「追加」をクリックし、「保存」または「メニューの保存」で設定完了です。
Shopifyプライバシーポリシーに記載すべき項目
Shopifyプライバシーポリシーに記載すべき項目は次のとおりです。
- 収集する個人情報の種類
- 利用目的
- 第三者への提供について
- Cookieや解析ツールの使用
- 顧客の権利と問い合わせ先
それぞれを解説します。
収集する個人情報の種類
プライバシーポリシーでは、顧客からどのような個人情報を取得しているかを明確に示す必要があります。
Shopifyのストアでは、氏名や住所、電話番号、メールアドレス、購入履歴、決済情報(クレジットカード情報など)が一般的に収集されます。また、アカウント登録や会員機能を設けている場合は、ログイン情報や生年月日なども対象に含まれることがあります。
こうした情報の範囲を具体的に記載することで、顧客に透明性と安心感を提供できます。
利用目的
収集した個人情報を何に利用するのかは、法的にも明記すべき内容です。
Shopifyストアにおける主な利用目的には、商品の発送や決済処理、注文状況の通知、カスタマーサポート対応などが含まれます。また、メールマガジンの配信やキャンペーン情報の案内といったマーケティング活動への活用も対象となります。
加えて、法令に基づく情報開示や不正行為の防止といったコンプライアンス目的も、利用範囲に含めることが一般的です。
第三者への提供について
顧客情報を第三者に提供する可能性がある場合、その範囲や目的を明示しておく必要があります。
Shopifyストアでは、配送業者や決済代行会社、カスタマーサポートツールなどの外部サービスとの連携により、必要最小限の情報を共有するケースが多く見られます。これらの提供はサービスの運営上不可欠なものであり、その旨を明記して顧客の不安を軽減することが大切です。
また、顧客の同意がない限り不要な情報提供は行わない方針であることを明示すると、ポリシーとしての信頼性がより高まります。
Cookieや解析ツールの使用
Cookieやアクセス解析ツールの利用についても、プライバシーポリシー内での明確な説明が求められます。
Shopifyストアでは、顧客体験の向上やサイト改善を目的に、Cookieを使って閲覧履歴や操作情報を一時保存することがあります。さらに、Google AnalyticsやFacebook Pixelなどの外部ツールを利用する場合は、その利用目的(アクセス解析・広告最適化など)や取得される情報の種類を具体的に記載しましょう。
加えて、顧客が情報収集を拒否できる手段(オプトアウト)の案内や、GDPRなど海外法規制に基づく同意取得の必要性がある場合は、その旨も忘れずに記載します。
顧客の権利と問い合わせ先
顧客が自身の個人情報について行使できる権利と、その手続き方法を明記することも重要です。
主な権利としては、情報の「開示」「訂正」「削除」「利用停止」などがあり、これらの請求方法を分かりやすく記載することが求められます。また、プライバシーに関する問い合わせを受け付けるために、運営者の氏名・住所・連絡先(電話・メールアドレス)なども明記しましょう。
受付時間や対応窓口の情報も併せて記載しておくと、顧客にとってより親切な内容となります。
Shopifyプライバシーポリシーのテンプレート
Shopifyでストアを運営する際に使用できる、プライバシーポリシーのテンプレート例を紹介します。自社の事業内容や取り扱う個人情報の範囲に応じて適宜カスタマイズしてください。
株式会社〇〇(以下「当社」といいます)は、当社が運営するオンラインストアにおける個人情報の取扱いについて、以下のとおりプライバシーポリシー(以下「本ポリシー」)を定めます。
取得する個人情報について
当社は、商品購入・お問い合わせ・会員登録などを通じて、以下の情報を取得することがあります。
- 氏名
- 住所
- 電話番号
- メールアドレス
- 決済情報(クレジットカード情報など)
- アクセス履歴、Cookieなど
個人情報の利用目的
取得した個人情報は、以下の目的のために使用します。
- 商品の発送および代金の請求
- お問い合わせへの対応
- サービス改善およびマーケティング
- 法令の遵守対応
個人情報の第三者提供
当社は、法令に基づく場合を除き、本人の同意なく第三者に個人情報を提供することはありません。
ただし、業務遂行上必要な範囲で、以下のような外部委託先に個人情報を提供することがあります。
これらの提供は、サービスの円滑な提供を目的とした必要最小限の範囲に限られます。
Cookie等の使用について
当社では、顧客体験の向上やサイトのアクセス状況分析のため、Cookieを使用しています。
また、Google Analyticsなどのアクセス解析ツールを導入しており、これらのツールによって取得された情報は、匿名で収集され、個人を特定するものではありません。
個人情報の管理と開示請求
当社は、個人情報の漏えい、改ざん、紛失、不正アクセスなどを防止するため、適切な安全管理措置を講じます。
また、本人からの個人情報の開示・訂正・削除・利用停止などの請求があった場合には、法令に基づき適切に対応します。
お問い合わせ先
個人情報に関するご相談・お問い合わせは、下記窓口までご連絡ください。
株式会社〇〇
個人情報管理責任者:〇〇〇〇
メール:privacy@example.com
電話番号:03-xxxx-xxxx
プライバシーポリシーの変更
当社は、本ポリシーの内容を予告なく変更することがあります。変更後の内容は当社ウェブサイト上に掲載された時点で効力を生じます。
※本テンプレートは一般的な記載例であり、実際の運用に際しては、取り扱う情報の内容や関連法令に応じて修正・加筆を行ってください。必要に応じて法務専門家の確認を受けることを推奨します。
Shopifyプライバシー以外のポリシーと規約
Shopifyストアの運営において、プライバシーポリシー以外に整備しておくべきポリシー・規約は、次のとおりです。
- 特定商取引法に基づく表記
- 返金ポリシー
- 配送ポリシー
- 利用規約
それぞれを分かりやすく解説します。
特定商取引法に基づく表記
「特定商取引法(特商法)」とは、訪問販売や通信販売などで消費者が被害を受けないようにするための日本の法律です。オンラインショップを運営する事業者は、この法律に基づき、消費者が安心して購入できるように販売者情報などを明示する義務があります。
具体的な項目は次のとおりです。
- 販売業者
- 事業責任者
- 所在地
- 電話番号
- 連絡先メールアドレス
- 商品の販売価格
- 商品代金以外の必要料金
- お支払方法
- お支払時期
- 商品の引渡し時期
- 返品・返金・交換
返金ポリシー
返金ポリシーは、購入後の返品・交換・キャンセルに関するルールを明示し、トラブル防止や顧客の安心感につながる重要な文書です。
特に、返品不可の商品(例:食品・セール品など)がある場合は、その旨を例外としてはっきり記載することが求められます。
Shopifyでは、「設定」→「ポリシー」画面から返金ポリシーのテンプレートを自動生成でき、初期状態でも基本的な構成が整っています。記載内容としては、返品受付期間や返送先住所、返金条件や方法、返送料の負担者などが含まれます。
返金ポリシーを適切に設定することで、購入者との認識のズレを防ぎ、万が一のトラブルにも冷静に対応できる体制を整えられます。
特定商取引法に基づく表記があれば別途記載する必要はありません。
配送ポリシー
配送ポリシーは、商品が「いつ・どのように届くのか」を購入前に明確に伝えるための重要な情報です。配送に関する誤解や「届かない」「遅い」といったクレームを未然に防ぐ役割を果たします。
記載する内容としては、送料の有無や料金体系、配送にかかる目安日数、利用する配送業者、追跡番号の有無、海外配送への対応可否などが基本です。
Shopifyでは、管理画面内の「ポリシー」設定から配送ポリシーのテンプレートを自動生成でき、自社の商品特性や物流体制に合わせてカスタマイズしやすい構造になっています。
特定商取引法に基づく表記があれば別途記載する必要はありません。
利用規約
利用規約は、ストアのサービスを利用する際のルールや条件を示す法的文書であり、顧客と販売者双方の権利と義務を明確にします。
Shopifyでは、「設定」→「ポリシー」画面から利用規約のテンプレートを自動生成でき、これを基に独自のルールを補足・編集可能です。サービス提供者としての信頼性を高めるためにも、掲載が強く推奨されます。
一般的に盛り込むべき内容は、禁止事項や知的財産権の扱い、免責事項、契約解除の条件、準拠法および裁判管轄などです。法的な効力を持たせつつも、顧客にとって理解しやすい表現を心がけることが大切です。
Shopifyプライバシーポリシーに関するQ&A
最後に、Shopifyのプライバシーポリシーに関するよくある質問とその回答を紹介します。
Shopifyにあるテンプレートをそのまま使っても問題ないか
Shopifyのテンプレートには、基本的な構成が整っており、雛形として活用するには十分です。ただし、そのままでは自社の実情に合わないケースもあります。
テンプレートの内容は汎用的に作成されており、自社が実際に収集・利用している個人情報の種類、連携しているツールや外部サービスに応じて内容をカスタマイズする必要があります。
例えば、Google Analyticsや広告配信ツールを導入している場合は、それらの利用目的や情報取得の範囲、オプトアウト方法などを明記しておかなければ、顧客への説明責任を果たせません。
英語や他の言語でもプライバシーポリシーは表示できるか
Shopifyでは多言語対応が可能で、英語や他の言語でもプライバシーポリシーを表示できます。
例えば、Shopifyマーケットを活用することで、国や地域ごとの言語・通貨に応じたストア表示が可能です。自動翻訳アプリを使えば、プライバシーポリシーも簡単に翻訳できます。
ただし、法的な表現はニュアンスの違いが大きいため、翻訳ミスが規制違反や誤解を招く恐れもあります。特にGDPR(EU)やCCPA(カリフォルニア州)などの現地法に対応する必要がある場合は、プロによるリーガルチェック付きの翻訳を用意することが理想です。
プライバシーポリシーはどこに表示すべきか
プライバシーポリシーは、Shopifyユーザーがいつでも確認できる場所に常時表示しておくことが基本です。
一般的には、全てのページに共通で表示されるフッターメニューにリンクを設置する方法が広く採用されています。Shopifyの「コンテンツ > メニュー」から簡単に追加できます。
さらに、チェックアウトページや会員登録フォーム、お問い合わせフォームなど、顧客が個人情報を入力するタイミングにも、プライバシーポリシーへのリンクを明示しておくと、透明性が高まり、顧客の信頼向上にもつながります。
法務チェックをする必要はあるか
プライバシーポリシーは法律に関わる重要な文書であるため、可能であれば弁護士など専門家による確認を受けることが望まれます。
特に、顧客情報の取り扱いが複雑な場合や、広告サービス・外部システムとの連携により第三者とデータを共有するようなケースでは、表現の曖昧さが大きなリスクにつながる可能性があります。
さらに、Shopifyを通じて海外の顧客に商品を販売する場合には、GDPR(EU)やCCPA(カリフォルニア州)といった厳格なデータ保護規制への対応も必要です。日本の個人情報保護法よりも厳しい要件を課されることがあるため、事前に専門家の助言を得ることで、将来的な法的リスクを効果的に回避できます。