日本のEC業界でも存在感を増している「Shopify」。最近では自社ネットショップを作成しようとするときには名前が必ず出てくるサービスです。一方で日本で有名になったのはここ最近のことなので、まだShopifyに馴染みがない人もいるかもしれません。それでも注目度は抜群で、毎日日本中で新しいネットショップがShopifyを通して生まれています。
この記事では、Shopifyの歴史やプラン、特徴、基本機能、メリットなどを説明していきます。今からでもShopifyを使うのは遅くありません。今後世界中でもより拡大していくサービスを一緒に勉強してみましょう。
Shopifyの歴史
Shopifyとは、誰もが簡単にネットショップを作成できるEコマースプラットフォームです。Shopifyはカナダから生まれたサービスで、日本語では「ショッピファイ」と読みます。
Shopifyの歴史は長く、2006年に創業者でエンジニアでもあるTobi Lütkeが、趣味であるスノーボードを販売するために作ったネットショップから始まりました。当時はネットショップを開設するのは非常に大変な作業で、いちいちプログラミングを組む必要がありました。その課題を解消すべく、誰でもかんたんにネットショップを作れるようなサービスを作ろうということでShopifyが誕生しました。
こちらの記事は、2006年のCNET Japanの記事で、Shopifyの創業メンバーにインタビューをしています。
日本での展開は2017年から開始しており、今や日本でもサントリーといった大企業から、アンカーのような成長中のD2C企業、タレントやYouTuberなどの著名人、個人店や地方のお店など幅広い層がShopifyを使ってネットショップを開設しています。大企業から個人まで誰でも使いこなせるというのが特徴のサービスです。
Shopifyの読み方
Shopifyの読み方が気になっている方も多いかもしれません。実際、調べてみると「ショッピファイ」と「ショピファイ」の2つの読み方が出てきます。
どちらが正しいのでしょうか?
Shopifyの公式サイトの記事によると
Shopify(ショッピファイ)とは?
となっているので、「ショッピファイ」が正しい読み方です。
Shopfyの料金プラン(2024年最新版)
Shopifyにはベーシックプラン、スタンダードプラン、プレミアムプラン、スタータープラン、Shopify Plusの5つの料金プランがあります。2024年には待望の日本円による決済が開始されました。なお、Shopify Lite プランはスタータープランの登場に伴い、廃止されました。
プラン |
ベーシック |
スタンダード |
プレミアム |
スターター |
Shopify Plus |
月額料金 |
4,850円 |
13,500円 |
58,500円 |
750円 |
$2,300~ |
月額料金(年払い) |
3,650円 |
10,100円 |
44,000円 |
750円 |
なし |
クレカ手数料 |
3.55%〜 |
3.4%〜 |
3.25%〜 |
5% |
〜2.9% |
*2024年5月現在
通常Shopifyを使ってネットショップを作成したい事業者はベーシック、スタンダード、プレミアムからプランを選択します。
この3つのプランの大きな違いは、Shopify ペイメントと呼ばれるShopifyが提供するクレジットカード決済の決済手数料の違いと、ショップに追加できるアカウントの数です。ショップの規模と月商に合わせてプランを選びましょう。
また、2022年に登場したスタータープランは、上で説明した3つのプランよりも格安で、月額5ドルで使えるプランです。このプランでは、簡易的なデザインのネットショップと、SNS連携の機能が魅力で、インフルエンサーやとにかく安い固定費で商品を販売したいという事業者にぴったりです。プランについて詳しくはこちらの記事をご覧ください。
Shopify Plusに関しては次の章で説明します。
ShopifyとShopify Plus
Shopifyには、月額2,300ドルから利用可能なShopify Plusという大企業向けのプランがあります。このプランでは、Shopify Plus専用のフラッシュセール向けのスケジュールの機能や、通常では編集することができない決済画面のカスタマイズ、BtoB機能、専任の担当者のアサイン、Plus専用のサポートチーム、ローンチの際にShopifyのデベロッパーが手伝ってくれるなど、機能の他にも様々な特典があります。
通常のプランから管理画面やドメインを変更することなく、いつでもアップデートできるのも魅力です。エンタープライズ企業や成長中の企業にぴったりのプランです。
Shopifyの特徴
Shopifyの特徴は、誰でも簡単に本格的なネットショップを作成することに尽きるのですが、日本の他のECプラットフォームと比較しても、特筆すべき特徴があります。
アプリで機能を拡張
Shopifyの特徴の一つにShopifyアプリの存在が挙げられます。
Shopifyでは、オンラインで販売するのに必要な機能は網羅されていますが、ネットショップが成長するに従って「もっと配送業務を効率化したい」、「定期購買機能をつけたい」、「ギフトのオプションを増やしたい」など、各事業者によって異なるニーズが生まれてきます。
そのようなときに、Shopifyアプリという追加機能を使うことで、各事業者に合った機能というのを追加することができます。よくShopifyはスマートフォンで、Shopifyアプリはアプリと言われることがあるのですが、スマートフォンで様々なアプリを追加して、自分向けの使いやすいスマートフォンを作成するのと同じように、ShopifyではShopify アプリを使うことで唯一無二の自分だけのネットショップを作ることができます。
プラスシッピング公式ブログでは、数あるShopifyアプリの中から、日本の事業者におすすめのアプリを紹介しています。こちらの記事もぜひご確認ください。
パートナーエコシステム
Shopifyには、Shopifyパートナーという制度があります。これはShopifyを使ってサイトを構築する制作会社や、Shopify事業者向けにアプリ開発する開発者などが登録して収益を得ることができる制度です。Shopifyでは、このShopifyパートナーが常に事業者の悩みを解決します。
開発が必要な機能拡張や、外部サービスとの繋ぎこみ、またはコードの編集が必要なちょっとしたデザインの改善などは、全国にいるShopify パートナーにお願いすることで実現することができます。
無料のアップデート
Shopifyでは、事業者ご自身でセキュリティ対策や機能のアップデートをする必要はありません。Shopifyが最新のトレンドに合った機能や、セキュリティ対策などをすべて自動でアップデートしてくれるので、事業者は安心して自分の事業に集中することができます。1日に10回以上も様々な機能がアップデートされているとも言われており、常に安全なシステムを利用することができます。
サーバーが落ちない
Shopifyの特徴のひとつにアクセス耐性の強さが挙げられます。自前でサーバーを管理しているネットショップや、日本国内のECプラットフォームを使ったネットショップでは、テレビで取り上げられたり、キャンペーンを行うタイミングでよくサーバーが落ちることがありますが、Shopifyではよっぽどの急激なトラフィック増加がない限り処理可能です。
また、あらかじめShopifyチームに連絡することで、サーバーの増強も行ってくれるので、大規模なキャンペーンを行うときでも、顧客満足度を下げることなく、売上を最大化することができます。
また、このことにより、Shopifyを自社ECサイトだけでなく、自社ホームページ用に契約する事業者もいます。様々な使い方ができるのもShopifyの魅力です。
実店舗とオンラインを連携
事業者の中には、実店舗を持っている事業者も数多くいます。Shopifyでは、Shopify POSという実店舗向けの販売チャネルを無料で提供していて、ネットショップの在庫数と実店舗の在庫数を同期することができます。ネットショップ用にわざわざ在庫を確保しなくても、実店舗で購入されたときに、Shopify POSを使って在庫を減らすことで、ネットショップの在庫も自動で減ります。
Shopifyのメリット
Shopifyをネットショップのプラットフォームに利用するメリットをご紹介します。
使いやすい
Shopifyはユーザーフレンドリーで、初心者でも手軽にネットショップを立ち上げることができます。特別な技術的知識やプログラミングスキルがなくても、直感的な管理画面を通じて商品の追加、価格設定、ショップのデザインのカスタマイズが可能です。もちろん、新しいサービスを使うには、慣れが必要な期間はありますが、iPhoneを使うのと同じように、説明書を読まずに、色々な機能を触るだけで、理解を深めることも可能です。
また、Shopifyでは、初心者向けのガイドブックを用意しているので、以下のリンクからダウンロードしてください。
固定費が安い
Shopifyを使用するメリットに「固定費が安い」ことが挙げられます。非常に多機能で、大企業も使っているプラットフォームを月額たった4,850円(年支払いの場合は3,650円)で誰でも使うことができます。
世界中で使われているからこそ、この低価格で提供することができています。さらに、スタータープランは月額$5でオンライン販売とSNS販売が可能です。さらに手数料もわかりやすいシンプルなものとなっています。
さらに、プラスシッピングというShopify唯一の配送サービスを利用すると、月額料金無料で配送料金を下げて配送することが可能です。人気のヤマト運輸をShopifyでお得に配送したい方、日本郵便や佐川急便を割引料金で使いたい方はおススメです。
デザインにこだわれる
Shopifyでは、他の日本のECプラットフォームにはないデザイン性が人気です。テーマと呼ばれるデザインテンプレートは無料・有料のものがありますが、無料のデザインでも十分に自分のブランドを表現することが可能です。デザイン性の良さから、新規D2Cブランドやインフルエンサーが使うECプラットフォームとしても人気があります。
Shopify アプリを使って簡単に機能拡張可能
ショップを運営する上で、独自のマーケティング施策や機能をつけたい場合もあると思います。そのようなときに日本・世界の開発者が作ったShopify アプリを活用することで、大規模な開発費なしで機能を拡張することができます。さらに、ほとんどのアプリで無料体験が設定されているので、機能が合わなければすぐにアンインストール可能です。
海外販売も簡単
カナダ発のプラットフォームだからこそ、越境ECはデフォルトで実現可能です。各国の税やEU圏内に販売する際に必要なGDPRといった地域で異なりポリシーにも特別な設定や追加料金なしで対応できます。もちろん、多通貨や多言語にも対応しており、国ごとに複数のURLを用意しなくても、1つの管理画面、サイトから異なる国や地域への販売が可能です。
Shopifyの事例
Shopifyでは、国内海外で様々な事例が公開されています。さらにショップの規模も個人店から、大企業、セレブなどと様々です。ここでは、いくつかの有名な事例を紹介します。
日清食品グループ オンラインストア
日清食品グループのオンラインストアはShopifyで構築されています。人気の完全メシシリーズでは、組み合わせ自由の「X食セット」があり、お客様が好きな商品を選んで自分だけのセットを作ることができます。また、定期購買に対応していたり、自社ECで即日出荷を実現したりと、新しい時代のECサイトとして注目です。
ShopMrBeast
世界で最も稼いでいるYouTuberのMrBeastのECサイトはShopifyで構築されています。ヘッドレスコマースを採用しており、デザイン面や挙動はかなりのカスタマイズがされていて、訪問者にワクワク感を与えてくれます。世界で最も有名なYouTuberのサイトもShopifyのインフラなら安定して供給できるので、セレブのECサイトやセール時や商品販売時に注文が殺到するようなECサイトでも、Shopifyは人気の選択肢のひとつです。
カキモリ
蔵前に実店舗を構える文房具屋さんのカキモリはShopifyを使って国内・海外販売を実現しています。実店舗では体験しながら作るオーダーノートやオーダーインクが人気ですが、ECサイトではギフト需要を見据えて、シーンや価格帯ごとのコレクションを作成し、贈り主がギフトを選びやすいように設計されています。
このほかにも多数の事例があります。他のShopifyの事例はこちら。
まとめ
日本でもECプラットフォームとして一定の地位を確立したShopify。魅力はやはり、料金と拡張性、そして耐久性というところでしょうか。自分が実現したい施策や機能をアプリを使うことで大規模な開発なしで実行できるところも良いですね。今後もさらに様々な機能が追加されることが予想されるShopifyを利用して、時代に乗り遅れないようにするのは大事です。