Shopify Plusとは?主な機能や他プランとの違い、導入事例も紹介
現在Shopifyを利用中で上位プランを検討している、またはShopifyの導入そのものを検討中の方の中には、「Shopify Plusと通常のShopifyの違いがわからない」という方もいるのではないでしょうか。
そこで本記事では、「Shopify Plusとは何か?」を解説しつつ、通常のShopifyで用意されている3つのプランとShopify Plusの違いについて、「機能」「料金」などの観点で比較しつつご紹介します。Shopify Plusの導入メリットもご紹介しているので、自社のECサイトに求めることと照らし合わせながら、導入検討のヒントとしてご覧ください。
1.Shopify Plusとは?
Shopify Plusとは、Shopifyで利用できる最上位プランの名称です。通常のShopifyは「ベーシック」「スタンダード」「プレミアム」の3プランですが、Shopify Plusは機能がより充実しており、カスタマイズしやすいという特徴があります。複数のECサイトを運営したり、業務を自動化するための拡張機能が豊富だったりと、大規模事業者のEC展開・運営に向いているプランです。
2.Shopify PlusとShopifyの違い
それでは、通常のShopifyとShopify Plusには、具体的にどのような違いがあるのでしょうか。「機能」「料金」「その他」に分けてご紹介します。
機能
以下の表は、両者の機能面を比較したものです。「ベーシック」「スタンダード」「プレミアム」の3プランでもECサイトの構築・運営は十分に可能ですが、Shopify Plusは、より高度で複雑な運営を行う場合に適していることがわかります。
機能 |
Shopify ベーシック |
Shopify スタンダード |
Shopify プレミアム |
Shopify Plus |
|
共通の機能 |
オンラインストア |
フル機能 |
フル機能 |
フル機能 |
フル機能 |
無制限の商品登録数 |
◯ |
◯ |
◯ |
◯ |
|
追加可能なスタッフアカウント |
✕ |
5 |
15 |
無制限 |
|
コラボレーターアカウント |
◯ |
◯ |
◯ |
◯ |
|
24時間体制のサポート |
ライブサポート |
ライブサポート |
拡張されたライブサポート |
拡張されたライブサポート |
|
販売チャネル |
◯ |
◯ |
◯ |
◯ |
|
ヘッドレスストアフロント |
1 |
1 |
1 |
25 |
|
ストア分析 |
スタンダード分析 |
スタンダード分析 |
カスタムレポートと分析 |
カスタムレポートと分析 |
|
在庫のロケーション |
10 |
10 |
10 |
200 |
|
手動での注文作成 |
◯ |
◯ |
◯ |
◯ |
|
カスタムアプリ |
スタンダード |
PIIアクセス + $29/年 |
PIIアクセス + $29/年 |
PIIアクセスを含む |
|
チェックアウトのキャパシティ |
スタンダード |
スタンダード |
10x |
10x |
|
クーポンコード |
◯ |
◯ |
◯ |
◯ |
|
ギフトカード |
◯ |
◯ |
◯ |
◯ |
|
カゴ落ち対策メール |
◯ |
◯ |
◯ |
◯ |
|
無料のSSL証明書 |
◯ |
◯ |
◯ |
◯ |
|
外部サービスの計算済み配送料 |
✕ |
✕ |
◯ |
◯ |
|
顧客セグメンテーション |
◯ |
◯ |
◯ |
◯ |
|
マーケティングオートメーション |
◯ |
◯ |
◯ |
◯ |
|
無制限の連絡先登録数 |
◯ |
◯ |
◯ |
◯ |
|
Eコマースのオートメーション |
◯ |
◯ |
◯ |
✕ |
|
実店舗販売 |
Shopify POS Lite |
◯ |
◯ |
◯ |
◯ |
Shopify POS Pro (ロケーションごと) |
$89/月 |
$89/月 |
$89/月 |
Shopifyペイメントでは無制限 |
|
Shopify Marketplace Connect |
マーケットプレイスの注文をインポート |
◯ |
◯ |
◯ |
◯ |
商品の連携と掲載 |
◯ |
◯ |
◯ |
◯ |
|
Shopifyに同期された最初の50件の注文 |
無料 |
無料 |
無料 |
無料 |
|
Shopifyに同期された50件を超える注文 |
1%から最大$99/月 |
1%から最大$99/月 |
1%から最大$99/月 |
1%から最大$99/月 |
|
国際 |
カスタムマーケットを使用したローカライズされた販売 |
3 |
3 |
3 + $59/追加された有効なマーケット1つあたり (月額) |
50 |
マーケット別の商品の価格設定 |
◯ |
◯ |
◯ |
◯ |
|
マーケットのドメインとサブフォルダ |
◯ |
◯ |
◯ |
◯ |
|
言語翻訳 |
◯ |
◯ |
◯ |
◯ |
|
通貨両替 |
◯ |
◯ |
◯ |
◯ |
|
現地の決済方法 |
◯ |
◯ |
◯ |
◯ |
|
関税と輸入税 |
✕ |
✕ |
◯ |
◯ |
|
限定機能 |
チェックアウトの拡張機能 |
✕ |
✕ |
✕ |
◯ |
ShopifyのB2B |
✕ |
✕ |
✕ |
◯ |
|
Shopify Audiences |
✕ |
✕ |
✕ |
◯ |
|
無料の追加ストア9店舗 |
✕ |
✕ |
✕ |
◯ |
|
Avalara税務オートメーション |
✕ |
✕ |
✕ |
その他の有料サービス |
|
ShopifyQL Notebooks |
✕ |
✕ |
✕ |
◯ |
|
Shopify Plusアカデミー |
✕ |
✕ |
✕ |
◯ |
|
マーチャントサクセスプログラム |
✕ |
✕ |
✕ |
◯ |
|
Launchpad |
✕ |
✕ |
✕ |
◯ |
|
組織の管理画面 |
✕ |
✕ |
✕ |
◯ |
|
Shopify Functionsで構築されたカスタムアプリ |
✕ |
✕ |
✕ |
◯ |
|
Shopify Plus Certified App Partners |
✕ |
✕ |
✕ |
◯ |
|
Betaプログラム |
✕ |
✕ |
✕ |
◯ |
|
Cashキャンペーンを表示する |
✕ |
✕ |
✕ |
◯ |
|
ボット防止 |
✕ |
✕ |
✕ |
◯ |
|
専用APIのアクセスとエンドポイント |
✕ |
✕ |
✕ |
◯ |
出典:Shopify PlusとShopifyの比較:アップグレード方法|Shopify 日本(閲覧日:2024年2月12日)
利用料と決済手数料
通常のShopifyとShopify Plusの料金プランの違いは以下のとおりです。
Shopify ベーシック |
Shopify スタンダード |
Shopify プレミアム |
Shopify Plus |
||
月額利用料 |
$33 |
$92 |
$399 |
$2,500 (1年契約) |
|
ディスカウント適用時の月額利用料 |
$25 (年払い) |
$69 (年払い) |
$299 (年払い) |
$2,300 (3年契約) |
|
手数料 |
国内クレジットカード手数料 |
3.55% |
3.4% |
3.25% |
2.9% |
海外クレジットカード手数料 |
3.9% |
3.85% |
3.8% |
3.75% |
|
Shopifyペイメント以外の決済サービスを利用する場合の追加手数料 |
2% |
1% |
0.6% |
0.2% |
出典:Shopify PlusとShopifyの比較:アップグレード方法|Shopify 日本(閲覧日:2024年2月12日)
上記の表からもわかるように、Shopify Plusの月額利用料金はその他のプランに比べて高額です。一方、決済手数料が低いため、注文や売上の数が多ければ、それだけShopify Plusを利用するメリットが大きくなると言えます。Shopify ペイメントの決済手数料は業界でも最安水準です。
なお、Shopify Plusに限りませんが、年払いや契約期間によるディスカウント率も大きいため、EC事業の戦略によっては、長期的な利用を前提とした導入も検討すべきでしょう。
その他
通常のShopifyとShopify Plusの機能面・料金面以外の違いとしては、Shopify Plusでは高性能(1分間に10,000件以上の注文を処理できる)のサーバーを使用できることが挙げられます。これは、アクセス過多によるサーバーダウンのリスクが極めて低いことを意味し、大規模なアクセスが見込まれるイベント等の際にはShopify側からのサポートを得ることができます。
このほか、ECサイトを構築する際にShopifyのエンジニアに相談できたり、構築後の運営に関してアカウントマネージャーから改善アドバイスを受けられたりと、専任スタッフによるサポート体制が充実している点も、通常のShopifyとShopify Plusの違いです。
3. Shopify Plusを利用する主なメリット
上述したように、Shopify Plusでしか利用できない機能は豊富にあります。ここからは、そうした機能を利用することで事業者が得られるメリットをご紹介します。
EC業務を自動化・効率化できる
Shopify Plusは独自の拡張機能が豊富で、それらを利用することでEC業務の自動化・効率化を図ることができます。拡張機能の例としては、以下のようなものが挙げられます。
・プロモーション設定の自動化 →複合条件での割引やプロモーションの自動設定が行える。 ・キャンペーンの自動化 →事前にイベントスケジュールを設定できる。 ・既存システムからのデータ移行 →リプレースの際、顧客情報や商品データなどを自動で移行できる。 ・ストア移行の通知 →既存のECサイトからShopifyに移行した場合、顧客への移行通知を自動で行える。 ・BtoBストアの開設 →法人顧客向けのBtoBストアを開設できる。 |
最大10サイト運営できる
同一ブランド・同一商品の販売であれば、最大9サイトまで無料で追加(つまり10サイトまで運営)することができ、各サイトのアクセス解析や顧客管理も一元的に行うことができます。例えば、国内向けと海外向けのサイトを分けて構築・運営したり、BtoB向けのストアを解説したりする際に役立つでしょう。
チェックアウト画面をカスタマイズできる
通常のShopifyのプランでもチェックアウトページの編集は可能ですが、Shopify Plusはコード編集が可能なため、より自由にカスタマイズすることができます。下記が、チェックアウト画面でカスタマイズできることの例です。
・氏名のカナ文字入力ができる ・配送時間指定の項目を追加できる ・すべての入力項目の配置を変更できる ・配送先の国によって処理を変更できる |
Googleツールを一元管理できる
Shopify Plusでは、オンラインストア上でGoogleタグマネージャーを設定できます。そのためGoogle AnalyticsやGoogle広告などのツールを一元管理することが可能です。
Shopify POS Proを無料で利用できる
通常のShopifyのプランでは月額$89の追加料金が必要な「Shopify POS Pro」を無料で利用できます。Shopify POS Proは円滑なオムニチャネル販売に貢献する機能や、在庫管理機能が充実しているPOSシステムです。
通常プランでも「Shopify POS Lite」というPOSシステムを無料で利用できますが、「スタッフのアカウントを無制限に追加できる」「店舗での商品受け取りが可能になる」といった機能はShopify POS Proにしかないため、ECサイトだけでなく複数の実店舗を展開している事業者にとって、Shopify POS Proを無料で利用できる点は大きなメリットと言えるでしょう。
4.Shopify Plusの導入事例
ここでは、Shopify Plusを利用している企業の事例を3社ピックアップしてご紹介します。
事例1:ブルーボトルコーヒー
2015年に日本に上陸して以降、カフェ数を拡大し続け、コーヒートラックやポップアップストアなどを含む全国の店舗でスペシャルティコーヒーを提供しているブルーボトルコーヒー。オンラインストアも展開しており、もともとその立ち上げにはShopifyを利用していました。
その後、ECサイトの拡大・成長が見込めた段階でShopify Plusに移行。Shopify PlusならGoogleタグマネージャーを一括管理できるという点が、導入の大きな決め手になったようです。
事例2:亀田製菓
「亀田の柿の種」や「ハッピーターン」などの人気商品を販売する日本最大の米菓メーカーである亀田製菓。ECサイトの立ち上げにあたっては、顧客一人ひとりのニーズや購買行動に適したアプローチを重視していたといいます。
そこで導入したのがShopify Plus。顧客の属性を理解でき、カスタマイズしやすいプラットフォームだったことが導入の理由となりました。導入後は、セグメンテーションやターゲティングなどの課題をワンストップで解決できるようになったそうです。
事例3:Soup Stock Tokyo
「いつでも、誰にでも、おいしいスープを」を理念に掲げ、全国で50店舗以上を展開する食べるスープ専門店、Soup Stock Tokyo。ECサイトと実店舗のシームレスな連携を実現すべく、2022年4月にShopify Plusを導入して、ECサイトを刷新しました。
もともとは実店舗とECサイトの顧客データベースが分離していましたが、Shopify Plusを導入することで、Soup Stock Tokyoの会員情報を維持したままECサイトへのログインが可能になりました。加えて、安全性が向上し、セキュリティ面の強化と保守コストの削減にもつながったようです。
Shopifyを使用したショップのその他の事例を確認したい方はこちらからご確認ください。
5.Shopify Plusパートナーとは?
Shopify Plusパートナーとは、Shopify Plusの構築に関する豊富な知見と支援実績を持つ企業のことで、Shopifyパートナープログラムの中でも最上位に位置する資格です。Shopifyによる審査を通過することで認定されます。Plusパートナーへの条件や認定条件や継続条件は厳しいため、Shopify Plusを活用したプロジェクト推進の心強い相談相手と言えるでしょう。
Shopify Plusパートナー一覧
2023年12月21日時点の情報では、下記の企業がShopify Plusパートナーとして紹介されています。
・株式会社アパレルウェブ ・株式会社R6B ・株式会社イーライフ ・株式会社ウェブライフ ・株式会社KIYONO ・CREAM株式会社 ・コマースメディア株式会社 ・株式会社これから ・コロニーインタラクティブ株式会社 ・株式会社GO RIDE ・SAI DIGITAL株式会社 ・株式会社電通デジタル ・株式会社電通プロモーションプラス ・凸版印刷株式会社 ・トランスコスモス株式会社 ・株式会社飛躍 ・株式会社フラクタ ・フラッグシップ株式会社 ・株式会社リゾート |
出典:日本のShopify ExpertsとShopify Plus Partnersの一覧|Shopify
6. まとめ
Shopify Plusは通常のShopifyより利用料金が高額であるものの、機能が豊富であり、自由にカスタマイズできるため、高度なEC運営に向いています。導入事例で紹介した企業を見てもわかるように、大規模で複雑なECサイトの運営に適したサービスと言えるでしょう。
もちろん、ECサイトの規模が大きく複雑になれば、それだけオペレーションの手間も増えます。そうした手間のかかる代表的な業務として挙げられるのが配送業務です。ECサイトの規模が大きければ、それだけ配送業務の負担も増えるので、その効率化はコスト削減の大きなカギと言えます。
そこで役立つのがプラスシッピングという配送アプリ。送り状の発行や配送日時指定機能がついているほか、複数の送り元にも対応。さらに、個別運契約なしで配送業者の配送料を特別料金で利用できます。月額料金も無料で使えるので、配送業務のお困りごとを抱えている方は、ぜひ導入をご検討ください。