Shopifyでオンラインストアを運営していると、「ページが正しく表示されない」「カートに商品が追加されない」「チェックアウトに進めない」といった技術的なトラブルに直面することがあります。
そうした障害に迅速かつ適切に対応するためには、Shopifyで発生しやすい不具合の種類や原因、確認方法、事前の備えについて把握しておくことが重要です。
本記事では、Shopifyで発生しがちな障害の概要から、代表的なエラーメッセージの意味、確認手順、過去の事例、障害への備え方まで幅広く詳しく解説します。
目次
Shopifyにおける障害とは
Shopifyにおける障害の種類
Shopifyの障害が原因のよくあるエラー
よくあるShopifyのエラーメッセージ
Shopify側の障害か確認する方法
過去の具体的な障害事例
Shopifyでの障害に対する備え
Shopifyの障害に関するQ&A
Shopifyにおける障害とは
Shopifyにおける障害とは、管理画面やストア機能が一時的に正常に動作しなくなる状態を指します。原因はShopify本体やアプリ、外部サービスの不具合などさまざまです。
基本的にユーザー側で復旧はできないため、公式ステータスページで状況を確認し、影響範囲に応じて速やかに対応を行うことが大切です。
Shopifyにおける障害の種類
Shopifyで発生する障害は「Shopify全体で発生している障害」と「特定ストアでのみ発生する障害」の二つに大別できます。
Shopify全体で発生している障害
Shopifyのサーバーや基幹システムに不具合が生じた場合、複数のストアや地域に同時に影響が及ぶ大規模な障害が発生します。
Shopify全体に関わる障害は、公式のステータスページに加え、X(旧Twitter)などのSNSでも多くの利用者から報告されることが一般的です。
例えば、全てのストアでカート機能が使えなくなる、あるいは決済処理が完全に停止するなど、運営に直結する深刻な影響が発生することがあります。
特定ストアでのみ発生する障害
Shopifyでは、特定のストアでのみ障害が発生するケースもあります。
特定のストアのみで発生している場合は、使用しているテーマやアプリ、カスタマイズ内容などに原因がある場合が多く、端末やブラウザの相性、通信環境といったユーザー側の要因も影響していることが多いです。
例えば、トップページが正しく表示されなかったり、Safariでは正常だがChromeではレイアウトが崩れるといった問題が起こりがちです。
Shopifyの障害が原因のよくあるエラー
Shopifyで障害が起きた場合、よく発生するエラーには、次のようなものがあります。
- Shopifyにログインできない
- ページの読み込みが遅い、つながらない
- カートへの追加や決済が失敗する
それぞれのエラーについて詳しく解説します。
Shopifyにログインできない
Shopifyにログインできない場合、原因は大きく分けてShopify側の障害とユーザー側の環境不具合の二つが考えられます。
まず、Shopifyの管理画面にシステム障害やメンテナンスが発生していると、管理者自身もダッシュボードにアクセスできなくなります。
Shopify側に異常がなければ、2段階認証の誤入力や接続環境、ブラウザのキャッシュが原因の可能性があります。ブラウザ変更やキャッシュ削除などを試してみましょう。
ページの読み込みが遅い、つながらない
Shopifyストアのページが重くなったり開けなくなる原因は、アクセス集中や、画像表示などを支える仕組みやページ表示機能の不具合によるものです。
特にセールやプロモーション期間中など、アクセス集中によるトラフィック過多が引き金になることもあります。
また、非最適化のテーマや重いShopifyアプリの組み込みにより、ページ表示が遅延する場合もあります。
カートへの追加や決済が失敗する
カートに商品が追加できない、決済ページに進めない、エラーで購入完了できないといった障害は、Shopifyのチェックアウト機能の停止や不具合が主な原因です。
Shopify全体の問題だけでなく、決済プロバイダーとの連携エラーや、テーマやSopifyアプリの不具合によっても発生します。
特にシステムアップデート直後には、アプリやテーマとの互換性により決済エラーが頻発することがあります。
よくあるShopifyのエラーメッセージ
Shopifyでよく発生するエラーメッセージには、次のようなものがあります。
- 500 Internal Server Error
- 403 Forbidden
- Too Many Redirects
- Checkout system is currently unavailable
- Your payment can’t be processed at this time
- このページを読み込む際に問題が発生しました
- 何かがおかしかったようです。
それぞれについて詳しく解説します。
500 Internal Server Error
「500 Internal Server Error」は、Shopifyのサーバー内部で処理エラーが発生した際に表示されるエラーです。
全体的な障害やメンテナンスが原因のこともあれば、個別ストアにおけるテーマ・アプリの負荷や処理のタイムアウトが原因のこともあります。
まずはShopifyの公式ステータスページを確認し、原因がストア固有であればアプリやテーマの設定を見直しましょう。
403 Forbidden
「403 Forbidden」は、アクセス権限がないページに対してアクセスした場合に表示されるエラーです。
非公開ページや、パスワード保護ストア、IP制限、ログインが必要な会員ページなどが主な原因です。
多くの場合Shopifyの障害ではなく、ストア設定の問題です。対象ページの公開設定やアクセス権限、ログイン状態を確認しましょう。
Too Many Redirects
「Too Many Redirects」は、リダイレクト設定がループ状態になってしまい、ページが表示できなくなるエラーです。
URL転送の設定ミスや、アプリによる自動リダイレクト、カスタムコードの不備などが原因です。
Shopifyのリダイレクト設定やテーマのコード、アプリ動作を確認し、循環参照が発生していないかをチェックしましょう。
Checkout system is currently unavailable
「Checkout system is currently unavailable」は、Shopifyの決済機能に障害が発生した際に表示されます。
Shopify側の一時的な不具合が原因で、ストア管理者が直接解決することはできません。
復旧までの間はストア内のお知らせ欄やSNSで顧客に状況を共有しましょう。
Your payment can’t be processed at this time
「Your payment can’t be processed at this time」は、決済処理が何らかの理由で完了できなかった際に表示されるエラーです。
入力ミスや有効期限切れなど購入者側の要因、あるいは決済サービス側の障害やメンテナンスが原因です。
繰り返し発生する場合は、決済プロバイダーのステータスを確認し、購入者にはカード情報の確認や他の支払い方法を案内しましょう。
このページを読み込む際に問題が発生しました
「このページを読み込む際に問題が発生しました」は、ページ表示処理に失敗した場合に表示される汎用的なエラーです。
通信環境の不安定さや一時的なブラウザ不具合によることが多く、再読み込みで解決するケースもあります。
ただし、テーマやアプリ由来のエラーが背景にある場合もあります。
何かがおかしかったようです
「何かがおかしかったようです」というメッセージは、フォーム送信や決済処理などの操作が正常に完了しなかった場合に表示されるエラーです。
通信遅延やセッションの有効期限切れ、一時的な処理エラーなどが主な原因です。
再読み込みや再ログインなどで解決することが多いです。
Shopify側の障害か確認する方法
Shopifyで不具合が発生した場合、その障害がShopify全体に影響するものかどうかを確認する主な方法は次のとおりです。
- Shopify公式ステータスページを確認する
- 周辺システムの稼働状況を確認する
- SNSで他のユーザーの声を探す
- Shopifyサポートに問い合わせる
それぞれの方法について詳しく解説します。
Shopify公式ステータスページを確認する

最初に確認すべきは、Shopifyが公式に提供しているステータスページです。
Shopifyステータスページ(https://www.shopifystatus.com/) では、管理画面やストアフロント、チェックアウト、決済など、各機能の稼働状況がリアルタイムで公開されています。
Shopifyステータスページで「パフォーマンス低下」や「停止」といった表示がある場合、Shopify側でシステムトラブルが発生している可能性が高いと判断できます。
障害の詳細や復旧の見込みも随時更新されるため、状況が落ち着くまでは定期的に確認することをおすすめします。
周辺システムの稼働状況を確認する
Shopifyで不具合が発生した際は、連携する周辺システムが原因の場合もあります。
AWSやGCPなどのクラウドサービスに障害があると、Shopifyのシステム全体に影響が及ぶことがあるため、こうした周辺環境を確認することが必要です。
また、GitHub連携機能やCDN(コンテンツ配信ネットワーク)を担うFastlyの停止も表示不具合などを引き起こすことがあります。
SNSで他のユーザーの声を探す
Shopifyステータスページに情報がない場合でも、実際には障害が発生していることがあります。そんなときは、X(旧Twitter)などで「Shopify 障害」などのキーワードを検索してみましょう。
他のストアが「決済できない」「ページが表示されない」などの報告をしていれば、Shopify側の不具合である可能性が高いと判断できます。また、投稿から障害の影響範囲や対応状況も把握できます。
Shopifyサポートに問い合わせる

自分では障害の有無を判断できない場合や、他の情報源からも明確な状況が把握できない場合には、Shopifyの公式サポートに直接問い合わせることが確実です。
Shopifyヘルプセンター(https://help.shopify.com/)にログインし、画面の案内に従って「ストアに関する問題」などの該当項目を選択すると、チャットボックスが表示され、サポート担当者にリアルタイムで相談できます。
また、Shopify Plusを契約していれば、専用電話サポートの利用が可能です。一般ユーザーには、必要に応じてメール対応や、予約制のサポート対応が提供されています。
過去の具体的な障害事例
過去に実際にShopifyで起きた具体的な障害事例を紹介します。
商品をカートに追加できない不具合
2022年12月、一部ストアで商品がカートに追加できない不具合が発生しました。
原因はShopify側の仕様変更にあり、古いアプリやカスタムテーマが対応できなかったためです。そのため、多くのストアでは、該当アプリの一時停止やコードの修正といった対応が行われました。
決済ボタンが表示されない事象
2023年8月、一部のShopifyストアにおいて、「購入へ進む」ボタンが表示されなくなるという深刻な不具合が発生しました。
特に定期購入や外部決済連携を使うストアで多発し、カートに入れても決済できず、売り上げに影響しました。原因はShopifyのアップデートと一部アプリの仕様変更の不整合と見られます。
配送アプリ連携の不具合
2024年5月、Shopifyと外部の配送管理アプリ(例:Ship&co、オープンロジなど)との間でAPI通信が正常に行えず、発送処理が滞るトラブルが複数のストアで報告されました。
原因は、配送アプリ側で実施された仕様変更やAPIの挙動が、Shopify側の設定と整合しなくなっていたことにあります。その後、アプリ側が仕様を調整したことで、問題は解消されました。
Shopifyでの障害に対する備え
Shopifyでの障害に備えるための基本的な対策は次のとおりです。
- データの定期バックアップを取る
- テーマやアプリを導入する際は慎重に進める
- 顧客への連絡手段を複数確保する
- チーム内で障害対応マニュアルを共有する
それぞれを詳しく解説します。
データの定期バックアップを取る
Shopifyはクラウドベースのサービスであり、日々のデータは自動的に保存されていますが、予期せぬ不具合に備えて、自分自身でバックアップを取っておくことが非常に重要です。
商品情報や注文履歴などはCSV形式でエクスポートできるため、安全な場所に保管しておきましょう。また、テーマ編集時は、事前に「複製テーマ」を作成しておくと、トラブル時もすぐに元に戻せます。
テーマやアプリを導入する際は慎重に進める
テーマやアプリの導入は手軽な一方で、不具合のリスクを伴うため慎重な対応が必要です。
実際に、新たなアプリが既存機能と競合し、カートボタンが表示されなくなるケースもありました。
特にアップデート直後はトラブルが起こりやすいため、事前にテスト環境で検証し、信頼性やサポート体制を確認した上で段階的に反映しましょう。
顧客への連絡手段を複数確保する
トラブル時にユーザーの信頼を維持するには、迅速かつ正確な情報提供が重要です。
ストア内のお知らせに加え、X(旧Twitter)やLINEなどの外部チャネルも活用できるよう備えておきましょう。
チーム内で障害対応マニュアルを共有する
ストアを複数人で運営する場合は、障害発生時に備えて担当範囲や対応手順を明記したマニュアルを事前に共有しておくことが重要です。
全員が同時に動くと混乱や重複対応を招き、復旧が遅れる原因になります。
あらかじめ連絡フローを定めておくことで、冷静かつ効率的な対応が可能になります。マニュアルは都度見直し、実践的な形に更新していきましょう。
Shopifyの障害に関するQ&A
最後にShopifyの障害に関するよくある質問とその回答を紹介します。
Shopifyの障害はよく起こるのか
Shopifyは高い信頼性を誇る大規模なECプラットフォームで、大規模障害が頻繁に起こることは多くありません。
ただし、アップデートや機能変更により、一部のテーマやアプリとの互換性に問題が生じ、特定ストアで不具合が発生するケースは年に数回程度あります。影響はストアの設定や環境によって異なります。
Shopifyで障害が起きたら通知は来るか
通常、Shopifyから個別に障害通知メールが届くことはありません。そのため、公式ステータスページやX(旧Twitter)などを自ら確認する習慣が重要です。
なお、Shopify Plus契約者であれば、専用サポートから通知を受け取れる場合もあります。
エラーが出たらすぐにサポートに連絡すべきか
全てのエラーを即座に問い合わせる必要はありません。
まずはステータスページで障害情報を確認し、他のブラウザや端末での再現テストや最近追加・更新したアプリやテーマの影響の有無など、基本的な切り分け作業を行いましょう。
それでも解決が難しい場合はサポートへ連絡しましょう。その際は「エラー画面のURL」「操作内容」「表示されたエラーメッセージ」などを整理しておくと対応がスムーズです。