ネットショップを始めたいと考えたとき、よく比較されるサービスが「Shopify」と「BASE」です。
どちらも人気の高いECプラットフォームですが、費用や機能、デザインの自由度、越境EC対応などに大きな違いがあります。
本記事では、ShopifyとBASEの特徴を分かりやすく整理し、事業規模や目的に合わせてどちらを選ぶべきかを解説します。
目次
ShopifyとBASEの特徴・概要
ShopifyとBASEの違い
ShopifyとBASEのメリット・デメリット
ShopifyとBASEはどっちがおすすめ?
ShopifyとBASEの特徴・概要
まず、ShopifyとBASEの特徴と概要を紹介します。
Shopifyとは

Shopify(ショッピファイ)とは、世界175カ国以上で利用されているグローバル規模のEC構築プラットフォームです。
専門的な知識がなくても簡単な操作でネットショップを開設できる手軽さと、デザインや機能を自由にカスタマイズできる柔軟性が大きな特徴です。
拡張アプリや外部サービスとの連携機能も充実しており、個人の小規模ビジネスから大企業の大規模ECまで、幅広い事業者に支持されています。
BASEとは

BASE(ベイス)は、日本発のEC構築プラットフォームです。
誰もが手軽にネットショップを立ち上げられる環境を整えており、初期費用・月額費用無料で利用できる点が大きな特徴です。シンプルな操作性も魅力で、コストを抑えて気軽にネット販売を始められます。
特にハンドメイド作家や小規模事業者、個人で活動するクリエイターに支持されています。
ShopifyとBASEの違い
ShopifyとBASEの違いを分かりやすく解説します。
機能全般
Shopifyは拡張性と成長支援に優れ、BASEはシンプルさと手軽さが魅力です。
Shopifyには、ECサイトの基本機能に加えて在庫管理や複数倉庫対応、高度な分析機能、マーケティングツール・SEO最適化など、事業の成長を支える機能を標準またはアプリで幅広く備えています。
一方、BASEはシンプルで直感的に操作できる点が特徴です。商品登録やデザイン変更、クーポン発行、予約販売、定期販売など、初心者や小規模事業者がすぐに使える機能が整っています。
初期費用・月額費用
初期費用については、Shopify、BASE共に無料です。初期導入にあたっての障壁は両者とも低いといえます。一方で、月額費用には違いがあります。
Shopifyには、事業規模に応じた四つの主要プランがあります。月払いの他、年払いを選ぶと25%オフで利用可能です。また「Basic」「Grow」「Advanced」の3プランは、最初の3カ月間は月額150円で利用できます。
個人事業主向けの「Basic」は月額4,850円で利用できます。少人数チーム向けの「Grow」は月額13,500円で、スタッフアカウントが5件まで利用可能です。さらに大規模事業向けの「Advanced」は月額58,500円で、15件のスタッフアカウントや強化されたサポート、マーケットごとのストアフロントなどが利用できます。また、「Plus」プランは、3年契約で月額2,300ドルに設定されており、大量取引を行うマーチャント向けです。
BASEには二つの料金プランがあります。一つは「スタンダードプラン」で、初期費用・月額費用共に0円のため、リスクなくショップを始められる点が特徴です。もう一つは「グロースプラン」で、初期費用0円、月額16,580円(年払いの場合)で利用でき、安定的にショップを運営したい事業者向けのプランといえます。
決済手数料・販売手数料
Shopifyではプランによって決済手数料が異なります。
例えば、「Basic」プランではオンライン決済で3.55%〜、外部決済サービスを利用した場合には2%の追加手数料が発生します。プランが上がるにつれて手数料は下がり、「Advanced」ではオンライン決済が3.25%〜、外部決済サービス利用時の追加手数料は0.6% です。Shopify独自の決済サービス「Shopify ペイメント」を使えば、外部決済手数料は発生しない点も特徴といえます。
BASEも同様に、選択するプランによって手数料が異なります。月額無料の「スタンダードプラン」では、商品が売れるごとに決済手数料3.6%+ 40円と、サービス利用料3%がかかります。一方、月額16,580円の「グロースプラン」では、販売時にかかる手数料は決済手数料2.9%のみでサービス利用料は不要です。売り上げ規模が小さいうちはスタンダードプラン、大きくなるとグロースプランの方がコストを抑えやすいといえます。
デザイン・カスタマイズ性
Shopifyは、世界規模で利用されるプラットフォームだけに、デザインテーマが無料・有料を含め900種類以上用意されており、業種やブランドイメージに合わせて選べます。さらに、HTMLやCSS、Liquidを使えば細部までデザインをカスタマイズできるため、オリジナリティの高いショップを構築可能です。
BASEには、22種類の無料のテンプレートや80種類以上の有料のデザインテーマがあります。プログラミング知識がなくても直感的に操作でき、カラーやフォントの変更など基本的なカスタマイズは管理画面から簡単に行えます。一方で、自由度はShopifyほど高くなく、テンプレートの枠組みに沿ったデザインが中心です。その分、操作性に優れ、ネットショップを初めて開設するユーザーにとって扱いやすい点が大きな魅力です。
アプリ・外部接続
Shopifyには公式の「App Store」があり、数千種類以上のアプリを利用できます。SEO対策や在庫管理、配送、会計システム、SNS連携など、幅広い機能を追加でき、外部サービスとの接続性も非常に高い点が特徴です。PayPalなどの外部決済サービスとの連携もスムーズに行えます。拡張性が高いため、事業の成長段階に合わせて機能を柔軟に追加できる点が大きな強みです。
BASEにも「BASE Apps」と呼ばれる独自のアプリストアがあり、ショップに必要な機能を追加できます。予約販売や定期購入やクーポン発行、レビュー機能など、運営に役立つアプリがそろっており、基本的な拡張には十分対応可能です。ただし、Shopifyに比べるとアプリの種類は限定的で、外部サービスとの連携先も国内中心に最適化されている点が特徴です。外部決済やSNS連携も可能ですが、選択肢の幅はShopifyほど広くありません。
越境EC対応
Shopifyは50以上の言語と130以上の通貨に対応しており、自動翻訳や価格の自動変換によって言葉や通貨の壁を低くできます。決済方法もPayPalをはじめ100種類以上に対応し、世界170カ国以上でスムーズな購買体験を提供可能です。さらに、送料や関税計算、送り状やインボイス作成を自動化でき、海外ユーザー向けのメール通知も50カ国語以上で利用できるため、国際販売を効率的に進められます。
BASEは基本的に日本国内向けのサービスで、Shopifyのように多言語・多通貨や海外発送機能が標準搭載されているわけではありません。越境ECを行いたい場合は、海外発送代行サービスや多言語対応サービスなどのアプリを併用する必要があります。そのため、海外展開を前提とした大規模な販売にはやや不向きで、主に国内市場向けのショップ運営に適している点が特徴です。
サポート体制
Shopifyは24時間365日のサポートを提供しており、全てのプランでチャットが利用できます。さらに「Plus」や小売向けプラン(Starter・Retail)では電話・メールでのサポートも受けられます。ただし、日本語での対応は返答に時間がかかる場合があり、チャットは混雑時につながりにくく、メールも返信が遅れる傾向があります。英語で対応するとスムーズなケースが多いことも実情です。一方で、英語中心ながらコミュニティフォーラムが充実しており、トラブル解決や運用ノウハウの共有に役立つ環境が整っています。
BASEは日本語でのサポートを前提としており、主にメールでの対応です。即時性はShopifyに比べて劣りますが、国内ユーザー向けにシンプルで分かりやすいサポートを提供している点が特徴です。また、公式の「BASEコミュニティ」も用意されており、ユーザー同士で情報交換を行ったり、ノウハウを共有できる環境が整っています。
ShopifyとBASEのメリット・デメリット
ShopifyとBASEのメリットとデメリットをそれぞれ紹介します。
Shopifyのメリット・デメリット
Shopifyのメリットは、次のとおりです。
- 豊富なデザインテーマとアプリで高いカスタマイズ性
- 多言語・多通貨対応や海外発送機能など、越境ECに強い仕組み
- 24時間365日のサポート体制
Shopifyは機能拡張やデザインの自由度が高く、事業の成長に合わせて柔軟にスケールできる点が大きな魅力です。越境ECにも標準機能で対応できるため、グローバル展開を視野に入れる事業者に適しています。
デメリットは、次のとおりです。
- 月額費用がBASEに比べて高く、小規模事業者には負担になりやすい
- 日本語でのサポートは即時性に欠ける場合がある
- 高度なカスタマイズにはHTMLやLiquidなどの知識が必要
高機能で拡張性に優れる一方で、コスト面では小規模事業者にとってハードルとなる可能性があります。また、日本語サポートはタイムリーに解決できないことがあり、細部までカスタマイズする際は技術的な知識を求められる点も課題です。
BASEのメリット・デメリット
BASEのメリットは次のとおりです。
- 初期費用・月額費用が無料でリスクなくスタートできる
- シンプルな管理画面で初心者でもスムーズに操作できる
- 日本語サポートやヘルプページが分かりやすい
BASEはコストをかけずにネットショップを始められる点が最大の強みです。操作性もシンプルで、特に初心者や個人事業主、小規模ビジネスに適しています。国内市場を前提にしたサービス設計のため、日本語で安心して利用できる環境が整っています。
デメリットは、次のとおりです。
- 越境ECは標準機能がなく、外部サービスやアプリが必要
- サポートはメール中心で対応スピードに限界がある
- アプリや外部連携の選択肢が限られており、拡張性に乏しい
初心者にとっては使いやすい反面、自由度や拡張性に制約があるため、事業を本格的に拡大したい場合には物足りなさを感じることがあります。特に海外展開や高度な機能を必要とするケースでは不十分に映る可能性があります。
ShopifyとBASEはどっちがおすすめ?
ShopifyとBASEどちらがおすすめなのか、簡潔に解説します。
成長を視野に入れて本格的に運営したい人はShopify!
Shopifyは将来的にショップを大きく成長させたい人におすすめです。
豊富なテーマやアプリを使えば、ブランディングに合った独自のストアを構築でき、事業の成長に応じて柔軟に拡張できます。さらに、多言語・多通貨対応や海外発送機能が標準で備わっているため、越境ECを見据えた展開もスムーズです。
コストはやや高めですが、中長期的に規模を拡大したい事業者にとって強力な武器となるプラットフォームといえます。
手軽に低コストで始めたい初心者はBASE!
BASEはネットショップを初めて運営する人や、できるだけコストを抑えてリスクなく始めたい人におすすめです。
初期費用や月額費用が不要のスタンダードプランがあり、商品が売れたときにだけコストが発生する仕組みなので、小規模な販売にも適しています。管理画面はシンプルで迷わず使える設計になっており、テンプレートを選ぶだけでショップを公開できるため、専門知識がなくても安心です。
本格的なカスタマイズや海外販売には制約がありますが、スモールスタートには最適なプラットフォームです。
結局どっちの方が売れる?
「どちらが売れやすいか」は一概にはいえません。なぜなら、売り上げはプラットフォームの性能だけでなく、扱う商材・ターゲット層・集客方法・販売戦略によって大きく左右されるためです。
「どちらが売れるか」ではなく「どんな売り方をしたいか」で選ぶと良いでしょう。国内で少量を手軽に売りたいならBASE、将来海外も視野に広げて本格的に伸ばしたいならShopifyがおすすめです。
BASEからShopifyへ移行はできる?

BASEのストアからダウンロードしたCSVファイルを利用し、Shopifyのストアへ商品データを登録できます。
必須項目は商品IDや商品名などで、説明文・価格・在庫数・画像などは、必要に応じて移行したいデータだけを選択可能です。
手順は次のとおりです。
1. BASE Appsから「CSV商品管理」をダウンロードする
2. アプリでCSVファイルをダウンロードする
3. Shopifyの「商品管理」セクションでCSVファイルをインポートする