Shopifyで越境ECを始めたいけれど、「どう設定すれば海外の顧客にも分かりやすく伝わるのか?」「言語や通貨、関税などの調整は難しそう…」と悩んだことはありませんか?
そんな課題を一括で管理・解決できる機能がShopify Markets(ショッピファイ・マーケット)です。複数地域への販売設定やローカライズ、価格調整、関税表示などを効率よく行える機能で、海外ユーザーに最適化された購入体験を提供できます。
この記事では、Shopifyマーケットの基本概要から設定方法、各プランで使える機能の違い、導入時の注意点までを詳しく解説。これから越境ECを始める方にも、運用を見直したい方にも役立つ情報をお届けします。
目次
Shopifyマーケットとは?
Shopifyマーケットの主な機能
Shopifyマーケットの種類
Shopifyマーケットの料金プラン
Shopifyマーケットを利用するメリット
Shopifyマーケットを設定する手順
Shopifyマーケットの注意点・デメリット
Shopifyマーケットの活用ポイント
Shopifyマーケットに関するQ&A
Shopifyマーケットとは?
Shopify Markets(ショッピファイ・マーケット)は、海外展開を目指すShopifyストア向けの越境EC支援機能です。言語や通貨の自動切り替え、関税や輸入税の計算、価格の調整などを一元的に管理でき、複数の国や地域への販売を効率化します。
ここでいう「マーケット」とは、国や地域ごとのグループ設定を指し、それぞれに適した通貨・言語・価格・決済方法などを個別にカスタマイズできます。これにより、訪問者の居住地に応じた最適な購入体験を提供できる仕組みです。
例えば、アメリカ市場専用のマーケットを作成し、米ドル建ての価格表示や現地の配送オプションを設定するといった対応が可能です。
Shopifyマーケットの主な機能
Shopifyマーケットの主な機能は次のとおりです。
- 販売エリア区分の作成
- 現地通貨での価格設定
- ドメイン戦略と国別SEO対策
- 翻訳とローカライゼーション
- 販売エリア別の商品表示設定
- 決済方法の最適化
- 関税や輸入税の計算と徴収
- 配送設定と現地通貨での配送料表示
それぞれを詳しく解説します。
・販売エリア区分の作成
Shopifyマーケットでは、販売対象エリアを「北アメリカ(アメリカ・カナダ・メキシコ)」や「東アジア(中国・韓国)」といった地域単位でグループ化できます。
マーケット内の各国には同一の販売条件が適用されるため、設定や管理の効率化を図りながら、地域ごとにローカライズされたユーザー体験を提供できます。
作成可能なマーケットの数には、利用中のShopifyプランによって上限が設定されており、ビジネスの成長に応じて段階的に拡張できます。
・現地通貨での価格設定
Shopifyペイメントを導入している場合、130以上の通貨に対応しており、最新の為替レートに基づいて商品価格が自動的に換算されます。
また、マーケットごとに価格に上乗せや割引を設定することもできるため、各地域の市場状況や戦略に応じた価格調整が可能です。
さらに、顧客は自動リダイレクトや通貨セレクターを通じて、自国通貨で商品価格を確認できます。
・ドメイン戦略と国別SEO対策
Shopifyマーケットでは、国や地域ごとに最適化されたページを作成するために、三つのドメイン構成から選択できます。
ひとつ目はサブフォルダ形式です(例:example.com/fr)。メインドメインの評価を引き継げるためSEO効果が高く、管理が比較的シンプルです。
二つ目はサブドメイン形式です(例:fr.example.com)。構造上の柔軟性はあるものの、サブフォルダ形式に比べるとSEO効果はやや限定的です。
三つ目は国別ドメイン形式です(例:example.fr)。現地ユーザーや検索エンジンからの信頼性が高く、ローカルSEOに有利ですが、ドメインの取得・維持や管理の手間がかかります。
これらのドメイン戦略は、販売戦略やターゲット市場に応じて柔軟に使い分けたり、併用できます。
・翻訳とローカライゼーション
Shopifyマーケットでは、最大20言語まで対応可能な多言語展開機能が提供されており、グローバル販売に欠かせないローカライゼーションに対応しています。
翻訳には、Shopify公式アプリ「Translate & Adapt」の他、CSVファイルのインポートや外部アプリ(WeglotやLangifyなど)を利用できます。これらの手段を通じて、商品説明やページ全体のテキストを柔軟に翻訳・管理可能です。
これにより、各地域の言語や文化に合わせた情報発信が可能となり、ユーザーの信頼獲得とコンバージョン率の向上につながります。
・販売エリア別の商品表示設定
Shopifyマーケットでは、マーケット(地域)ごとに表示する商品を柔軟に設定できます。
例えば、国際配送が難しい商品や特定地域でのみ取り扱う商品は、対象エリアの顧客に対して非表示にすることで、誤注文や配送トラブルを防げます。
新しいマーケットを追加した際には、初期設定で全ての商品が公開状態になりますが、管理画面から個別に表示・非表示の制御が行えます。
・決済方法の最適化
Shopifyマーケットでは、各マーケット(地域)に最適な決済手段(クレジットカード、PayPal、コンビニ払いなど)を柔軟に設定できます。
Shopifyペイメントを利用すれば、地域ごとの支払い習慣に応じた決済オプションを簡単に提供でき、コンバージョン率の向上が期待できます。
また、チェックアウト時の住所入力フォームは、訪問者の国や地域に応じて自動でローカライズされ、Googleのオートコンプリート機能によりスムーズな購入体験が可能です。
・関税や輸入税の計算と徴収
Shopifyマーケットは、越境取引に欠かせない関税や輸入税の自動計算と表示に対応しています。
要件を満たすストアであれば、チェックアウト時に該当する税金を明示し、購入者に最終的な支払金額を事前に提示できます。
ただし、この機能を利用するには、Shopify Plusまたは一部の上位プランの契約に加え、各商品のHSコードの登録が必要となります。
・配送設定と現地通貨での配送料表示
Shopifyマーケットでは、マーケット(地域)ごとに現地通貨で固定配送料を設定できます。
例えば、アメリカ向けには米ドル(USD)、日本向けには日本円(JPY)で送料を表示することで、現地ユーザーにとって分かりやすい価格表示が可能です。
ただし、ひとつのマーケットに複数の通貨圏が含まれている場合は、基準となる通貨からの自動換算が適用されるため、通貨構成を踏まえた適切な設定戦略が求められます。
Shopifyマーケットの種類
Shopifyマーケットは、販売戦略に応じて主に四つのタイプに分類されます。
- 主要マーケット
- 国際マーケット
- その他(販売しない国と地域)
- 独自マーケット
それぞれのマーケットの特徴について解説します。
・主要マーケット
Shopifyでストアを開設すると、自動的に「主要マーケット」が設定されます。
主要マーケット主要マーケットは、ストアの所在地や使用通貨などを基に決定される、最も重要な販売対象地域で、通常は自国の市場が該当します。例えば、日本に拠点を置く事業者であれば、「日本」が主要マーケットとして設定されます。
主要マーケットは、顧客が最初にアクセスした際に表示されるストア環境の基準となるため、ローカル顧客向けの販売基盤として非常に重要な役割を果たします。
・国際マーケット
「国際マーケット」とは、Shopifyがあらかじめ選定した、他のマーチャントによる販売実績が高い有望な海外市場のセットを指します。
ストア作成時に自動的に追加されますが、初期状態では無効化されており、販売を行うには管理画面から手動で有効にする必要があります。
このマーケットを有効化しない限り、対象地域の顧客は商品を閲覧できても、購入(チェックアウト)することはできません。
越境ECを本格的に始める際には、国際マーケットを有効化し、販売対象とする地域を適切に調整することが重要です。
・販売しない国と地域
Shopifyでは、いずれのマーケットにも含まれていない国や地域は、自動的に「販売しない国と地域」として分類されます。
これらの地域のユーザーは、ストアの閲覧は可能ですが、商品をカートに追加したり、購入手続きを完了したりすることはできません。つまり、チェックアウト機能が無効化された状態になります。
販売対象地域を拡大したい場合は、管理画面から該当する国や地域を既存のマーケットに追加するか、新しいマーケットを作成して有効化することで、販売可能エリアとして設定できます。
・独自マーケット
特定の国や地域を自由にグループ化し、独自マーケットとして設定することもできます。
ひとつの国だけを対象にした「単一国マーケット」では、その国固有の通貨が自動的に適用され、例えばアメリカ向けにローカライズした販売ページを設けることで、コンバージョン率を高められます。
一方で、複数の国をまとめた「複数カ国マーケット」では、類似の配送条件や価格帯を共有するエリア(例:ドイツ・フランス・イタリアなど)をひとつにまとめて管理可能です。
独自マーケットを作成することで運用の手間を減らしながら、各国のユーザーに合わせた柔軟な対応が実現できます。
Shopifyマーケットの料金プラン
Shopifyマーケットの料金体系は次の四つのプランです。
- ベーシックプラン(月額3,650円〜)
- スタンダードプラン(月額10,100円〜)
- プレミアムプラン(月額44,000円〜)
- Plusプラン(月額最低2,300ドル〜)
Shopifyのサブスクリプションに登録していれば、Shopifyマーケット自体は無料で使用できますが、プランに応じて追加可能なマーケット数や利用できる機能が異なります。
各プランの詳細を説明します。
・ベーシックプラン
Shopifyのベーシックプランは、月額4,850円(年払い時は月額換算3,650円)で利用できるエントリープランです。これから越境ECを始めたい小規模事業者や、特定の国に絞って海外販売を試したい方にとって、テスト運用に最適なプランといえます。
追加できるマーケット数は最大三つまでです。
また、関税や輸入税の自動計算機能には対応していないため、複数国への本格的な展開にはやや制限があります。
・スタンダードプラン
スタンダードプランは、月額13,500円(年払い時は月額換算10,100円)で利用できる中位グレードのプランです。組織的な運用やマーケティングを強化したい事業者に適しており、より本格的なビジネス展開をサポートします。
ベーシックプランと同様に最大3マーケットまで追加可能で、関税や輸入税の自動計算には対応していません。
スタンダードプランでは、スタッフアカウントの上限が増える他、売り上げや顧客動向に関する詳細なレポート機能が利用でき、チームでの運用やデータ分析を重視するストアに適しています。
・プレミアムプラン
プレミアムプランは、月額58,500円(年払い時は月換算44,000円)で利用できる上位プランです。複数国への本格的な販売展開を目指す中〜大規模ストアや、安定した越境EC運用を重視する事業者に最適です。
標準で最大三つのマーケットが利用でき、さらに必要に応じて、1マーケットあたり月額59ドルで追加できます。
また、関税や輸入税の自動計算・徴収機能に対応しており、海外発送時の予期せぬ請求やトラブルを回避できる点がメリットです。
・Plusプラン
Shopify Plusは、最低月額2,300ドルで利用できるエンタープライズ向けの最上位プランです。大規模な越境ECを展開したいブランドや、複雑なオペレーション・高トラフィックに対応する体制を構築したい企業に最適です。
最大50のマーケットを作成・運用でき、より高度なローカライズ戦略を実現できます。また、関税や輸入税の自動計算・徴収にも標準対応しており、海外顧客に対して透明性の高い購入体験を提供できます。
さらに、専任アカウントマネージャーによるサポートや、API拡張・独自チェックアウトカスタマイズなど、エンタープライズレベルの柔軟な開発・運用環境が整っています。
Shopifyマーケットを利用するメリット
Shopifyマーケットを活用する主なメリットは次のとおりです。
- 現地の顧客に合わせた販売ができる
- 越境ECの初期コストと負担を抑えられる
- 将来のマーケット拡大にも柔軟に対応できる設計
それぞれを詳しく解説します。
・現地の顧客に合わせた販売ができる
Shopifyマーケットでは、言語・通貨・商品・送料・決済方法などをマーケットごとに個別に設定できるため、現地の顧客はスムーズに商品を購入できます。
例えば、日本市場には日本語・日本円の表示や日本の配送業者、コンビニ決済など慣れ親しんだ購買環境を整えることで、購入のハードルを下げられます。
また、市場ニーズに合わせた柔軟な商品展開やプロモーションが行え、結果としてコンバージョン率や顧客満足度の向上につながります。
・越境ECの初期コストと負担を抑えられる
通常、海外向けに販売展開を行うには国ごとにストアを分けたり、外部システムを導入したりと高コストになりがちです。
しかしShopifyマーケットを活用すれば、ひとつのShopifyストア内で多国展開ができ、追加開発や複数サイト運用の必要がありません。
翻訳や通貨設定、ドメイン切り替えがツール内で完結するため、初期費用や人手を抑えつつ、効率よく海外販売をスタートできます。
・将来のマーケット拡大にも柔軟に対応できる
Shopifyマーケットは、事業の成長に合わせて海外展開を段階的に拡大できる柔軟な設計が特徴です。
初期段階では、特定の国や地域に限定してテスト販売を行い、市場の反応を見ながら対象エリアを少しずつ拡張できます。
マーケットごとに設定を個別管理できるため、新たな地域を追加する際も既存の運用に影響を与えにくく、スムーズにスケールアップを図れる点も大きなメリットです。
Shopifyマーケットを設定する手順
Shopifyマーケットを設定する手順は次のとおりです。
- Shopify管理画面にログインする
- マーケットの追加・管理をする
- 各マーケットの詳細設定をする
- ドメイン・URL構造を最適化する
- 公開・テストをする
それぞれの手順について詳しく解説します。
・Shopify管理画面にログインする

まずは、Shopifyの管理画面(管理者ダッシュボード)にログインします。
ログイン後、画面左下のサイドメニューから「設定」をクリックし、表示されるメニュー内の「マーケット」を選択してください。
この画面から、マーケットの作成や既存マーケットの管理を行えます。
・マーケットの追加・管理をする

Shopifyでは、既存の「主要マーケット」に加えて、販売したい国や地域を自由にまとめたマーケットを新たに作成できます。
例えば、「北アメリカ」や「ヨーロッパ」といった形で複数の国をグループ化することで、その地域ごとに通貨、価格、商品表示などの設定を一括で管理できるようになります。
マーケットを追加するには、管理画面の右上にある「マーケットを作成」をクリックし、任意のマーケット名を入力した後、対象とする国や地域を選択して「マーケットを追加」をクリックしてください。
・各マーケットの詳細設定をする

マーケットを作成した後は、それぞれのマーケットごとに言語、通貨、価格、商品表示、関税、決済手段などを個別に設定できます。
アメリカ向けには米ドル建ての価格と英語での表示、ヨーロッパ向けにはユーロ建ての価格と各国の言語への対応など、地域ごとのニーズに応じたカスタマイズが可能です。
また、特定の国では特定の商品を非表示にしたり、独自の送料ルールを設定したりすることもでき、柔軟な販売戦略を実現できます。
・ドメイン・URL構造を最適化する

前述のとおり、Shopifyではマーケットごとに「サブフォルダ」「サブドメイン」「国別ドメイン」のいずれかのURL構造を設定できます。
それぞれにSEO効果や管理のしやすさが異なるため、販売戦略や社内の運用体制に応じて最適な構成を選択することが重要です。正しいURL設計は、検索順位の向上にも大きく寄与します。
設定を行うには、各マーケットの管理画面から「言語とドメイン」をクリックし、画面右上に表示される「ドメインを管理」を選択してください。そこから各マーケットに適したドメイン構成を設定できます。
・公開・テストをする
マーケットの設定が完了したら、Shopify管理画面の「設定」→「マーケット」に進み、一覧から公開したいマーケットを選択します。その後、「概要」セクションに表示される「マーケットを有効にする(Enable)」ボタンをクリックして公開しましょう。
マーケットを有効化した後は、プレビュー機能やテスト購入を活用して、言語・通貨・価格・リダイレクトなどが正しく表示・動作しているかを確認することが大切です。実際の購入者の視点でストアをチェックすることで、誤表示や設定漏れによるトラブルを未然に防げます。
Shopifyマーケットの注意点・デメリット
Shopifyマーケットを使用する上での注意点やデメリットは次のとおりです。
- プランによって機能に制限がある
- 為替レートの変動リスクがある
- 設定や運用には一定の専門知識が必要なこともある
- SEOへの影響に配慮が必要
それぞれを詳しく解説します。
・プランによって機能に制限がある
Shopifyマーケットの機能自体は、全てのプランで利用可能です。ただし、前述のとおり、利用できる機能の範囲にはプランごとの差があります。
ベーシックプランやスタンダードプランでは、関税や輸入税の自動計算、追加マーケットの拡張など一部の機能が制限されるため、本格的に越境ECを展開したい場合には、プレミアムプラン以上の導入が適しています。
ただし、上位プランにはそれ相応のコストがかかるため、ストアの規模や成長段階に応じて慎重に検討することが大切です。
・為替レートの変動リスクがある
Shopifyマーケットでは、自動通貨変換機能により複数通貨での価格表示が可能ですが、為替レートの変動によって利益率が変動し、収益を圧迫するリスクがあります。
特に、仕入れや製造コストが外貨建ての輸入商品などは、円安や円高の影響を受けやすく、マージンの維持が難しくなる可能性があります。
このような場合には、あらかじめ為替変動を考慮した価格設定や、必要に応じて手動での価格調整を行うなど、リスクへの備えが重要です。
海外展開では、販売だけでなく為替リスクを含む収益管理の視点も欠かせないことを意識しておきましょう。
・設定や運用には一定の専門知識が必要なこともある
Shopifyマーケットは非常に便利な機能ですが、マーケットごとに通貨・価格・翻訳・配送・商品表示などを個別に管理する必要があるため、一定の操作スキルやシステムへの理解が求められます。
特に、多言語や多通貨への対応を行う場合は、初期設定だけでなく、運用中の調整やアップデートに時間と労力がかかることがあります。
社内に十分な知識を持つ人材がいない場合は、外部の専門パートナーやサポートサービスの活用も検討すると良いでしょう。
・SEOへの影響に配慮が必要
Shopifyマーケットを活用して多言語・多通貨対応を行うと、同じ商品ページが異なる言語や通貨で複数存在することになり、検索エンジンから重複コンテンツとみなされるリスクがあります。
適切に評価されるようにするには、各ページの関連性を示すhreflangタグの設定が不可欠です。
Shopifyでは自動生成される場合もありますが、対象地域と言語が正確に反映されているか確認しましょう。
Shopifyマーケットの活用ポイント
Shopifyマーケットを効果的に活用するための主なポイントは、次の三つです。
- 各地域の価格設定・利益率を調整する
- 翻訳とローカライズで信頼感を高める
- 配送・関税情報は事前に明示する
それぞれを解説します。
・各地域の価格設定・利益率を調整する
Shopifyマーケットでは、地域ごとに最適な価格戦略を採用することで、収益性の向上とユーザー満足度の両立が可能です。
自動為替レート変換に加えて、「〇%上乗せ」や「〇円割引」といった価格調整をマーケット単位で設定できるため、各地域の購買力、物流コスト、関税負担などを考慮した柔軟な価格戦略を構築できます。
例えば、、物価の高い北欧では価格をやや上乗せし、価格競争の激しいアジア地域では割引を設定するなど、市場環境に応じた調整が効果的です。
また、必要に応じて手動で通貨換算を行うことも可能なため、利益率のコントロールやブランド価値の維持にも貢献します。
・翻訳とローカライズで信頼感を高める
言語対応は、越境ECの成果を大きく左右する重要な要素です。
Shopifyマーケットでは、公式アプリ「Translate & Adapt」の他、WeglotやLangifyなどの外部アプリを活用することで、最大20言語までの翻訳に対応できます。
顧客が自国語で安心して商品を閲覧・購入できる環境を整えることにより、購入率やリピート率の向上が期待できます。
単に機械翻訳を適用するだけでなく、現地の文化や商習慣に配慮した表現に調整する「ローカライズ」が重要です。
特に商品名や説明文、注意書き、決済画面の文言などは、直訳や翻訳ミスがあると信頼性を損ない、コンバージョン率の低下につながるため注意が必要です。
・配送、関税情報は事前に明示する
越境ECでトラブルを避けるためには、購入前の段階で送料、関税、輸入税に関する情報を明確に提示することが不可欠です。
Shopifyマーケットでは、対応プランを利用すれば関税や輸入税を自動で計算・表示でき、さらにマーケットごとに配送料を現地通貨で設定することも可能です。これにより、購入者は最終的な支払金額を事前に把握でき、安心して購入手続きに進めます。
不明瞭な送料や予想外の関税請求は、カゴ落ちや注文キャンセルの大きな原因となるため、情報の提示は丁寧かつ正確に行いましょう。
Shopifyマーケットに関するQ&A
最後に、Shopifyマーケットに関するよくある質問とその回答を紹介します。
・マーケットを途中で削除したり編集したりできるか
マーケットはいつでも追加・削除・編集が可能です。
Shopify管理画面の「マーケット」セクションから、既存のマーケットの名称・対象地域・表示商品・通貨・言語などを編集し設定します。
例えば、販売エリアの戦略を見直したいときや一部の国への販売を一時的に停止したい場合に柔軟な運用が可能です。
特定地域への対応を段階的に調整したい場合にも役立ちます。
・無料テーマでもマーケット機能に対応しているか
Shopifyマーケットは、多くの無料テーマで対応しています。
Shopify公式の無料テーマ「Dawn」などには、言語や通貨の切り替え機能が標準で組み込まれており、訪問者の位置情報やブラウザ言語に応じた自動切り替えも可能です。
また、ページ上に国・言語のセレクターを表示させることで、ユーザー自身が好みの表示を選べます。
ただし、全ての無料テーマが完全対応というわけではなく、一部テーマではコードのカスタマイズやアプリの導入が必要です。
・訪問者の地域によって自動でマーケットは切り替わるか
Shopifyでは訪問者のIPアドレスを基に、最適な言語や通貨を提案する仕組みがありますが、完全な自動切り替えではありません。
Shopifyが提供する「Geolocation」アプリを使用すると、地域に基づいた言語や通貨をバナーで案内し、ユーザーの同意により切り替えを促せます。