「Shopifyで社販したいけど、どう設定すれば良いのか分からない」と悩んでいませんか?
割引設定やアクセス制限を間違えると、外部に漏れて不正利用されるなど、かえってトラブルを招くリスクもあります。
本記事では、Shopifyの標準機能やおすすめアプリを使った社販の導入方法から、設定時の注意点などを解説します。
目次
社販とは
Shopifyで社販を実施する方法
Shopify社販におすすめのアプリ
Shopifyで社販を実施する手順【標準機能】
Shopifyで社販を実施するメリット
Shopifyで社販を実施するときの注意点
Shopify社販に関するQ&A
社販とは
社販(社内販売・社員販売)とは、企業が自社の従業員に向けて、自社製品やサービスを特別価格で提供する制度です。
福利厚生の一環として行われることが多く、対象は主に正社員や契約社員など社内関係者に限られます。
利用には「転売禁止」など社内ルールが設けられることが一般的です。
Shopifyで社販を実施する方法
Shopifyで社販を実施する方法は、次のとおりです。
- 標準機能を利用する
- カスタマイズする
- アプリを利用する
それぞれを解説します。
標準機能を利用する
Shopifyの標準機能である「ディスカウント機能」を活用する方法があります。
ディスカウント機能では、購入条件に応じて商品や注文全体の割引、送料無料などを設定できます。適用方法は、クーポンコードの入力形式と、条件達成時に自動で割引を適用する形式から選べます。
社販で利用する場合は、社員タグが付いたユーザー限定のクーポンコードを配布し、購入時に入力してもらいます(詳細は後述します)。毎回入力が必要な点はデメリットですが、追加コストがかからず運用できる点が利点です。
カスタマイズする
Shopifyのテーマ編集やコードのカスタマイズを行うことでも社販を実施できます。
例えば、Liquidコードを編集して、特定のタグを持つ顧客のみが社販用のコレクションを閲覧できるよう設定可能です。
ただし、カスタマイズには一定の技術知識が必要なため、自信がない場合はShopifyエキスパートや制作会社に依頼すると良いでしょう。
アプリを利用する
Shopifyで社販を実施するもう一つの方法は、アプリの利用です。
アプリを利用すれば、「社員だけに商品を表示する」「購入条件をより細かく設定する」といった柔軟な対応ができます。
アプリによっては利用料がかかる点がデメリットですが、利便性が高く、知識がなくても簡単に利用できる点がメリットです。
Shopify社販におすすめのアプリ
Shopifyでの社販の実施におすすめのアプリは、次の二つです。
- Locksmith
- Wholesale Lock Manager
それぞれの特徴を紹介します。
Locksmith

Locksmithは、オンラインストア内のページや商品、コレクション、価格など、あらゆるコンテンツにアクセス制御をかけられるアプリです。
ロックを設定し、顧客タグやメールアドレス、パスコード、シークレットリンク、地域、購入履歴、日時など、さまざまな条件(キー)を組み合わせて公開範囲を制御できます。
社員限定の社販ページをタグで絞り込んだり、特定の地域からのみアクセスを許可したりと、柔軟な運用が可能です。LiquidやAPIを使ったカスタム設定もでき、チェックアウト時のBot対策機能も備えています。
料金プランは、月額12ドルの「Basic Shopify」、月額29ドルの「Shopify」、月額99ドルの「Advanced Shopify」、月額199ドルの「Shopify Plus」があります。全ての有料プランで15日間の無料体験が利用可能です。
Wholesale Lock Manager

Wholesale Lock Managerも、Shopifyストアにおいて特定の顧客にのみ商品やページを表示できるアクセス制御アプリです。
顧客タグに基づいて商品やコレクションを表示したり、未ログインの顧客に価格を非表示にしたりと柔軟に設定できます。
ページごとにパスワード保護をかけたり、秘密のリンクでURLを共有したり、アクセスコードでB2Bログインの構築も可能です。卸売と小売を一つのストアで効率的に管理できます。
料金プランは、無料の「Forever Free」プランと、月額9.99ドルの「LOCK MANAGER」プランがあります。有料プランでは7日間の無料体験が利用可能です。
Shopifyで社販を実施する手順【標準機能】
Shopifyの社販を標準機能を使って実施する手順は、次のとおりです。
1. 社員向けの顧客グループを作成する
2. 社員専用の割引コードを設定する
3. 割引が正しく適用されるか確認する
それぞれを詳しく解説します。
社員向けの顧客グループを作成する

まずは割引の対象を絞る準備として、社員だけを抽出する顧客グループを設定します。
Shopifyの管理画面で顧客セグメントの作成に進み、フィルター条件として「顧客タグに“社員”を含む」ことを指定します。条件を適用すると、社員タグが付いたユーザーだけがリストに表示されます。
作成したグループには分かりやすい名前を付けて保存しておきましょう。
社員専用の割引コードを設定する

次に、社員グループだけが使える割引クーポンを作成します。
Shopifyのディスカウント設定画面から、新しいディスカウントを作成し、ディスカウントタイプを選択します。選択したら、任意のコード名と割引内容(例:20%オフ)を入力します。
対象者の条件として、先ほど作成した顧客グループ(社員)を指定すれば、他のユーザーがこのコードを使っても無効になるよう制御できます。有効期間の設定も忘れずに行い、最後に保存すれば準備は完了です。
割引が正しく適用されるか確認する

割引設定が完了したら、実際に動作確認を行いましょう。
社員アカウントでログインした状態で商品を購入し、クーポンコードを入力すると設定した割引が反映されるはずです。
次に、社員タグが付いていない別アカウントで同じ操作を試し、割引が適用されないことを確認します。条件が正しく設定されていれば、そのまま利用可能です。
Shopifyで社販を実施するメリット
Shopifyで社販を実施するメリットは、次のとおりです。
- 社員の満足度が向上する
- 在庫管理に役立つ
- 社員の購買データを商品企画に生かせる
それぞれを詳しく解説します。
社員の満足度が向上する
社販の実施は、従業員満足度の向上と企業へのエンゲージメント強化につながります。
自社の商品やサービスを特別価格で手軽に購入できる環境は、社員にとって魅力的な福利厚生の一つです。また、試作品や新商品を社員限定で先行販売すれば、製品への理解や愛着が自然と深まります。
営業やカスタマーサポートの現場でも説得力ある説明が可能になり、社内外への好影響が期待できます。
在庫管理に役立つ
社販は、在庫管理の改善にも効果を発揮します。
一般販売が難しい商品を社員向けに提供すれば、廃棄や保管にかかる無駄なコストを抑えられるためです。
例えば、市場投入のタイミングを逃した製品や在庫過多になった商品も、社員に割引価格で販売すれば、社内で効率よく消化できます。
社員の購買データを商品企画に生かせる
社販で得られる購買履歴や人気商品の傾向は、商品企画やマーケティングに活用できる貴重な一次データです。
一般顧客と異なり、社員はブランドへの理解度が高く、改善点や魅力を客観的に把握しやすいため、より本質的なインサイトを得られます。
例えば、社販で特定の製品に集中して注文が集まるようであれば、訴求ポイントの明確化や一般販売に向けた強化材料として活用可能です。
Shopifyで社販を実施するときの注意点
Shopifyで社販を実施するときの注意点は、次のとおりです。
- アクセス制御を徹底する
- 割引コードや特別価格の不正利用に注意する
- 社販の対象範囲とルールを明確にする
それぞれを詳しく解説します。
アクセス制御を徹底する
社販を行う場合は、社員のみが社販ページにアクセスできるように設定することが重要です。
限定価格や商品情報が外部に漏れると、価格への不信感を招き、ブランドイメージの低下につながる恐れがあります。
前述のとおり、社員タグを付与した顧客だけが該当ページを閲覧できるように設定しましょう。
割引コードや特別価格の不正利用に注意する
社員専用の割引コードや特別価格を設定する際は、不正利用を防ぐ仕組みが欠かせません。
クーポンコードが社外に漏れると、本来対象外のユーザーにまで使われ、社販の公平性が損なわれます。
クーポンの共有は、口頭や紙ではなく、社内チャットやイントラネットなどクローズドな手段を利用しましょう。
社販の対象範囲とルールを明確にする
社販を円滑に運営するには、利用条件や販売ルールを事前に明確に定めましょう。
対象が曖昧だったり、購入数や用途に制限がないと、不公平感やトラブルを引き起こす恐れがあります。
例えば「1人月2点まで」「個人利用のみ」など、具体的な基準を設けて社内に共有すれば、混乱を防ぎつつ利用者の納得感も高められます。
Shopify社販に関するQ&A
最後に、Shopifyでの社販に関するよくある質問と回答を紹介します。
社販用のクーポンコードは毎回変更するべきか
必ずしも毎回変える必要はありませんが、一定期間ごとに更新することが望ましいでしょう。
同じコードを長期間使い続けると、社員以外の人に共有されたり、不正に利用されるリスクが高まります。
「月単位」や「キャンペーンごと」にコードを更新し、有効期限を設定すると良いでしょう。
社販の対象者を退職後に除外できるか
退職した社員は、社販の対象から除外できます。
具体的には、Shopifyの顧客管理機能における「顧客タグの削除」や「顧客セグメントの更新」を使って対応可能です。
セキュリティや運用の観点からも、定期的なタグ管理・アカウント確認のフローを組み込みましょう。
社販制度は税務上どのように取り扱うべきか
扱う商品や値引きの程度によって税務上の処理が変わります。
例えば、割引が常識的な範囲内であれば福利厚生の一環として認められることもありますが、割引率が高すぎると社員への経済的利益と見なされ、給与課税の対象になる可能性もあります。
制度導入前に経理部門や顧問税理士と相談しましょう。