Shopifyでオンラインストアを運営していた方の中には、「以前はAmazon Payを導入していたのに、使えなくなって困っている」「代替の決済手段をどう選べばいいのか分からない」とお悩みの方も多いのではないでしょうか?
2025年1月6日をもって、ShopifyはAmazon Payとの連携を正式に終了しました。
本記事では、その背景にある理由や影響、代替となるおすすめの決済手段、非クレジットカード決済の導入メリット・注意点まで、Shopifyユーザーが知っておくべき情報を分かりやすく解説します。
目次
Amazon Payについて
ShopifyとAmazon Payは利用できない
ShopifyでAmazon Payが使えなくなった理由
Amazon Payの代替決済手段
クレジットカード以外の決済方法を導入するメリット
クレジットカード以外の決済方法を導入するときの注意点
Amazon Payに関するQ&A
Amazon Payについて
Amazon Pay(アマゾン・ペイ)とは、世界的ECプラットフォームであるAmazonが提供するオンライン決済サービスです。
利用者は、普段使用しているAmazonアカウント情報(氏名、住所、クレジットカードなど)をそのまま使って、外部のネットショップでもスムーズに支払いができます。
ShopifyとAmazon Payは利用できない
現在、ShopifyではAmazon Payを利用できません。
2025年1月6日をもってShopifyがAmazon Payとの連携を終了したためです。
これにより、Shopifyストア上のAmazon Payによる決済オプションは自動的に削除され、以後は利用できなくなりました。
ShopifyでAmazon Payが使えなくなった理由
ShopifyがAmazon Payとの連携を終了した主な理由は、次の三つに集約されます。
- 技術的な互換性・連携の見直し
- Shopify Paymentsへの集中戦略
- 市場戦略上の競合関係
それぞれを分かりやすく解説します。
技術的な互換性・連携の見直し
ShopifyがAmazon Payとの連携を終了した背景には、技術的な維持負担の大きさがあります。
Amazon PayはAmazon独自のAPI仕様に基づいており、定期的に仕様変更やアップデートが行われます。これに対応するには、Shopify側でAPIの改修や連携テスト、セキュリティ強化といった継続的な開発リソースの投入が必要でした。
さらに、Amazon側の仕様変更によって予期せぬ不具合が発生するリスクもあり、運用面での安定性が損なわれる可能性も懸念されていました。
こうした理由から、Shopifyは外部決済サービスへの依存を見直し、自社エコシステム内で完結するShopify Paymentsへの移行を進める判断に至ったと考えられます。
Shopify Paymentsへの集中戦略
Shopifyは近年、自社決済サービスであるShopify Paymentsの普及と最適化に注力しています。
このサービスはApple PayやGoogle Payといったモバイル決済にも対応しており、顧客にとって一貫性のあるスムーズな決済体験を提供できる点が強みです。
顧客側にはスピーディかつ安心感のある購入体験を、ストア側にはカゴ落ち防止やコンバージョン率向上といった効果をもたらすことが期待されています。
結果として、Shopifyにとって外部決済サービスを排除し、Shopify Paymentsへと一本化することは、UXの最適化とビジネス成長の両面で合理的な戦略といえます。
市場戦略上の競合関係
表面的には異なるビジネスモデルを持つように見えるShopifyとAmazonですが、実際にはグローバルEC市場における競合関係にあります。
Amazonは自社プラットフォーム内で商品を販売するマーケットプレイス型、Shopifyは個人や企業が独自にストアを持つD2Cプラットフォーム型という違いはあるものの、「消費者がどこで購買を完結させるか」という観点で両者は競合と位置付けられます。
特に、Shopifyはパンデミック以降のEC拡大を追い風に、マーケットプレイスに依存しない販売モデルを明確に打ち出しており、「Amazonに頼らないEC運営の実現」を掲げています。
その戦略において、Amazon Payのような競合企業のサービスと連携を継続することは、ブランドメッセージと整合しないと判断された可能性があります。
Amazon Payの代替決済手段
現在Shopifyでは、Amazon Payの代替手段として次の決済サービスを利用可能です。
- Shopify Payments
- PayPal
- KOMOJU
- Paidy(ペイディ)
- GMOイプシロン
- SBペイメントサービス
それぞれの決済手段の特徴を解説します。
Shopify Payments

Shopify Paymentsは、Shopifyが公式に提供する決済プラットフォームです。
Apple PayやGoogle Payに加え、Shopify独自のShop Payも利用できる包括的なサービスで、Shopifyの管理画面とシームレスに連携しています。
注文情報、決済状況、返金対応などを一元管理できるため、ストア運営の効率が大幅に向上します。
さらに、一度Shop Payを利用したことのある顧客であれば、住所やクレジットカード情報を再入力する必要がなく、わずか2クリック程度で購入を完了できる点も大きな魅力です。
PayPal
PayPalは、海外ユーザーをターゲットとするShopifyストアにおいて有力な決済手段のひとつです。全世界で利用されており、信頼性と普及率の高さが強みです。
PayPalアカウントを持つ購入者であれば、カード情報を入力することなく安全に支払いを完了できます。
一方で、決済手数料はやや高めに設定されており、売り上げの銀行口座への引き出しにはPayPal上での操作が必要となるため、運用面での確認が求められます。
KOMOJU
KOMOJUは、日本国内のEC市場に特化した決済ゲートウェイです。Shopifyとの親和性が高く、多様な支払い方法を一括して導入できる点が特徴です。
コンビニ決済や銀行振込、キャリア決済、Pay-easy、後払い(Paidy)など、Amazon Payでは対応していなかった支払い手段も網羅しています。
導入は専用アプリを通じて比較的簡単で、個別に契約を結ぶ必要がなく、現金派やクレジットカードを使いたくない顧客層へのリーチ拡大に有効です。
Paidy
Paidyは、クレジットカード不要で購入できる日本向けの後払い決済サービスです。手軽に利用できる点から、初めてのEC利用者にも受け入れられやすいサービスです。
メールアドレスと携帯電話番号の入力だけで即時与信が行われ、購入が完了します。
支払いは一括払いや分割、口座引き落としなどから選べるため、顧客のライフスタイルに合った柔軟な決済が可能です。
ShopifyではKOMOJUを経由して導入できます。
GMOイプシロン
GMOイプシロンは、複数の決済手段を統合的に提供する大手決済代行サービスです。幅広い支払いオプションと、業務効率化のための一元管理機能が魅力です。
銀行振込や代引、コンビニ払い、後払いなどをまとめて導入・管理でき、未収金対応などの業務もサポートされます。
Shopifyとの連携には外部設定や開発が必要な場合がありますが、高単価商品や法人対応など、より高度なニーズに応える柔軟性があります。
SBペイメントサービス
SBペイメントサービスは、高度なセキュリティと企業向け機能を備えた決済代行サービスです。大手EC事業者のニーズにも対応できる信頼性があります。
クレジットカード決済やコンビニ決済、Pay-easy、キャリア決済、後払いなど多彩な決済に対応しており、不正検知などの高度なセキュリティ機能が実装されています。
Shopifyとの連携にはカスタム開発が必要になる場合がありますが、本格的なEC運営を目指す事業者にとっては有力な選択肢です。
クレジットカード以外の決済方法を導入するメリット
Shopifyにクレジットカード決済以外の決済方法を導入する主なメリットは次のとおりです。
- クレジットカード未所持の顧客へリーチできる
- セキュリティ不安を感じる顧客へリーチできる
- 売り上げの最大化につながる
それぞれを解説します。
クレジットカード未所持の顧客へリーチできる
クレジットカード以外の決済手段を用意することで、クレジットカードを保有していない顧客層の取りこぼしを防げます。
日本国内では、10~20代の学生・未成年や高齢者を中心に、クレジットカードを持っていない、あるいは利用を控えている人が一定数存在します。
特に学生や未成年は、審査上の理由でカード自体を作れないことが多く、こうした層にとっては代替決済手段の有無が購入の可否を大きく左右します。
セキュリティ不安を感じる顧客へリーチできる
クレジットカード以外の決済手段を導入することで、セキュリティ面に不安を抱える顧客の心理的ハードルを下げられます。
ECサイトにおいてクレジットカード決済は一般的ですが、今なお「カード情報を入力したくない」と感じている顧客は少なくありません。
例えば、中高年層や、過去に個人情報漏えい・不正利用に関するニュースを目にしたことのある人にとっては、カード番号やセキュリティコードの入力自体が心理的な抵抗につながります。
特に、後払い決済は商品を受け取ってから代金を支払う仕組みであるため、「商品が届くか不安」「初めてのショップで信頼性が分からない」といった購入前の不安感を軽減する効果が期待できます。
売り上げの最大化につながる
多様な決済手段を導入することは、結果として売り上げの最大化につながります。
顧客が「使いたい」と感じる支払い方法は、年齢層・ライフスタイル・利用デバイスによって大きく異なります。例えば、スマートフォンでの買い物に慣れた若年層はキャリア決済やモバイルウォレットを好み、シニア層やクレジットカードを持たない層はコンビニ払いや銀行振込を選ぶ傾向があります。
実際に、後払い決済やスマホ決済の導入をきっかけに、特定の顧客層からの注文数が増加したり、客単価が上昇したといった成果が報告されるケースも少なくありません。
クレジットカード以外の決済方法を導入するときの注意点
Shopifyでクレジットカード決済以外の決済方法を導入する際に気をつけるべきポイントは次のとおりです。
- 決済ごとに異なる入金タイミングを把握しておく
- 注文キャンセルや未払い時の対応ルールを明確にする
- 決済ごとの手数料体系を比較・精査する
- 顧客対応・サポート体制を整える
それぞれについて解説します。
決済ごとに異なる入金タイミングを把握しておく
決済手段によって入金のタイミングは異なるため、事前に把握しておくことが重要です。
クレジットカード決済では比較的早期に入金が反映されますが、他の決済方法では確認までに時間差が生じるケースがあります。
例えばコンビニ決済は、購入者が支払いを完了してから実際に入金が確認できるまで、数時間から1日程度かかることがあり、即時発送が難しい場合もあります。
また、後払いサービスでは、入金が「顧客の支払い完了後」や「決済会社の定める締日・支払日」に左右されることが一般的です。
注文キャンセルや未払い時の対応ルールを明確にする
銀行振込やコンビニ払いのような「先払い型」決済では、支払いが完了しない限り取引が成立しません。そのため、非クレジットカード決済を導入する際は、未払い時の対応ルールをあらかじめ整備しておく必要があります。
支払期限を過ぎた注文に対しては、自動キャンセルの設定や顧客へのリマインドメール送信など、効率的な処理体制を構築することで運営負担を軽減できます。
一方、後払い型の決済では、商品発送後に代金を回収するため、未回収リスクをどのようにカバーできるかが重要です。
決済ごとの手数料体系を比較・精査する
決済手段によって手数料体系は大きく異なるため、コスト構造を精査した上で導入を検討する必要があります。
一部の決済方法はクレジットカード決済に比べて手数料が高めに設定されており、収益性に影響する場合があります。
例えば、後払い決済では、売り上げの3.5~4.0%前後が手数料として差し引かれるケースが多く、コンビニ払いでは1件当たり数十円の固定費が発生します。
商品単価が低い、または利益率が薄い商材を扱っているストアでは、これらの費用が粗利を圧迫するリスクがあるため、特に注意が必要です。
顧客対応・サポート体制を整える
クレジットカード以外の決済手段では、顧客からの問い合わせが発生しやすくなるため、サポート体制の整備が欠かせません。FAQの整備や自動返信メールの設定、カスタマーサポートの拡充、注意事項の明記などの対応を実施しましょう。
特に手続きの多い支払い方法では、顧客の操作ミスや認識の違いによるトラブルが起こりやすくなります。
例えばコンビニ決済では「払込番号を忘れた」「支払完了後の確認メールが届かない」などの問い合わせが想定されます。また、後払いでは、請求書の送付時期や支払期日をめぐる誤解が起こることもあります。
Amazon Payに関するQ&A
最後に、Amazon Payに関するよくある質問とその回答を紹介します。
Amazon Payを導入していたときの情報はどうなるのか
ShopifyでのAmazon Pay提供が終了した後も、過去に発生した取引データはAmazon Seller Centralの管理画面から確認・管理が可能です。
注文ごとの決済状況や請求先住所、売上金額などの詳細情報も、Amazonのダッシュボードを通じて引き続き閲覧できます。
ShopifyでAmazon Payに代わる「Amazonアカウント支払い」はあるか
現時点で、Shopify上でAmazonアカウントと直接連携した支払い方法は提供されていません。
代替手段としては、PayPalやShop Pay(Shopify Payments)など、使いやすさと信頼性を兼ね備えた決済サービスの導入がおすすめです。
「Amazonアカウントでの支払い」は利用できなくなりましたが、同等の利便性を持つ決済手段を併用することで、顧客の離脱を最小限に抑えられます。
ShopifyのテーマやアプリにAmazon Pay関連の設定が残っていたらどうすべきか
Amazon Pay提供終了後も、テーマやアプリ内に関連ボタンや設定が残っている場合は、非表示設定やコードの削除を行う必要があります。
決済設定からAmazon Payを削除した上で、テーマのカスタマイズ画面やコード編集機能を使って不要な表示を取り除くことで、顧客の混乱や表示エラーを防げます。
操作に不安がある場合は、Shopifyサポートやテーマ提供者に相談することをおすすめします。